活動トピック

国際的な地球温暖化防止

REDD+(レッドプラス)とは、途上国が自国の森林を保全するため取り組んでいる活動に対し、経済的な利益を国際社会が提供する、というものです。これは、森林を伐採するよりも保全する方が、経済的に高い利益を生むようにすることで、森林破壊と温暖化を防止する施策です。また、地域のコミュニティや、先住民族の権利も守りながら、このREDD+が実施されれば、気候変動や生物多様性の劣化をくいとめながら、地域の人たちの生活にも恩恵をもたらすことが期待されます。

気候変動の原因となる森林減少

森林は海洋に次ぐ炭素の貯蔵庫です。しかし、伐採や農地への転換のために森林が破壊されると、そこから大量の二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガスが大気中に放出され、地球温暖化を促進することとなります。

森林減少と森林劣化を減らすことが、温暖化による気候変動という地球課題への取り組みとして不可欠なのです。

森林は私たちに様々な「生態系サービス」を提供してくれています。食料や医薬品、木材といった物資(供給サービス)から、空気清浄や土砂崩れの防止、水源涵養といった機能(調節サービス)まで、私たちの暮らしに欠かせないものばかりです。

しかし、この森林がひとたび破壊され、あるいは荒廃すると、CO2を大量に排出する源となってしまうのです。

特に、インドネシアやアマゾンをはじめとする、熱帯域での森林減少は、世界のCO2排出源の2割を占めており、国別排出量にこれを含めれば、ブラジルとインドネシアは世界の排出国トップ10の中に入ってきます。

逆に、気候変動が残存する森林に与える影響も深刻なものがあります。熱帯雨林に雨が降らず、針葉樹林では森林火災が増加する恐れがあります。気候変動は森林の生物多様性に壊滅的影響を及ぼすのみならず、日々の暮らしを森林に頼っている人たちにとっても打撃を与えます。

森林は温暖化との闘いに非常に重要な影響を果たしています。森林の損失を減らすことで、温室効果ガスの排出量が減り、炭素が吸収され、生態系サービスが保たれ、そして気候変動に耐えて適応する可能性が最も高い原生林が維持されます。

森林の損失を減らすことが生態系そして私たち人類を救うのです。
WWFではこの森林の損失を減らす活動として、「森林と気候」プログラムを立ち上げました。

森林が減少するインドネシア
森林が減少するインドネシア
農地への転換のために破壊される森林

REDD+とは

REDD(Reduction of Emission from Deforestation and forest Degradation)+とは「途上国における森林減少と森林劣化からの排出削減並びに森林保全、持続可能な森林管理、森林炭素蓄積の増強」の略称で、途上国に対し森林保全に経済的インセンティブを提供することで、森林を伐採するよりも残す方を経済的価値の高いものにしようという試みです。

REDD+が地域コミュニティや先住民族の権利を保障する方法で実施されれば、単に気候変動の解決策となるだけでなく、生物多様性や地域の人たちの生活にも恩恵がもたらされると期待されています。

REDD+を実施するためには、途上国が各自の実施枠組を定めることがまず必要です。同時に森林減少や劣化の原因を取り除くには資金が必要であり、先進国にはこの資金の提供が求められます。

森林減少がまだ深刻ではない国に対しても、今後森林減少が急速に進行しないよう、保全のための資金が提供されなければなりません。

しかし、REDD+についての国際的議論は複雑であり、また見解も分かれています。2012年以降2020年までの資金も大幅に不足しています。

WWFの目標とREDD+への見解

WWFの「森林と気候」プログラムは、世界の森林が気候と人と自然にもたらす恩恵によって評価されるようになることを目指しています。そして2020年に森林減少と森林劣化からのCO2排出量が正味ゼロととなることを目標にしています。

この目標は決して不可能なものではありません。WWFの「生きている森林レポート」では森林減少と劣化を止めることの現実性及びその意味合いを4つのシナリオで検証しました。

そこで用いた「生きている森林モデル」から、人が必要とする食料や燃料を供給しつつこの目標を達成することは可能であるとWWFは考えています。

「生きている森林レポート」第3章では、気候変動と将来の炭素排出量に特に着目し、REDD+の可能性とあるべき姿を、関係者の声と共に提示しています。

 

WWFの「森林と気候」をめぐる活動

WWFではREDD+への取り組みとして、二つのテーマで活動しています。

  1. 国際的な政策枠組づくり:REDD+が実際に排出削減に結びつき、生物多様性の保全となり、森林に日々の生活を頼っている人たちの権利と暮らしを守るものとなるよう、REDD+に求められる5原則を提唱しています。また、途上国側のREDD+のための制度や法律整備についても、各国のWWFで提言活動を行なっています。
  2. 現場での活動:REDD+を実施する力をつけるため、地域コミュニティと共にフィールドプロジェクトを実施しています。特に生物多様性に富む世界の代表的森林地帯で、大規模なデモンストレーション事業を開始しました。さらに、計測・モニタリング・報告・認証(MRV)という、REDD+の進展を評価するのに欠かせない技術的側面についても、研究しています。

【関連資料】ウェビナー「MRV:正しい判断をするには何を知っておくべきなのか」

森林の保全と温暖化防止をめざすREDD+に関連した取り組み

REDD+フィールドプロジェクトの具体例

WWFでは、REDD+プログラム(REDD+ programmes)やその基準、アプローチそして技術が、本当にCO2の排出量削減に結びつき、また生物多様性や人々の暮らしに恩恵をもたらすものとなるよう、地域コミュニティとの協働によるフィールドプロジェクトを行なっています。世界でも代表的な森林であるアマゾン・ボルネオ島・コンゴ盆地で、規模の大きいデモンストレーション事業に着手しました。

先住民族・地域コミュニティとREDD+

 REDD+の登場は、先住民族や地域コミュニティによる森林管理活動に対する支援を増やす手段になりうることから、大きな関心を呼びました。もしREDD+がうまく実行されれば、土地や資源に関するコミュニティの権利を強化し、コミュニティ組織の力を強め、利益分配によって収入増加にもなると思われるからです。

しかし、REDD+は同時に先住民族や地域コミュニティの権利や生活に対し悪影響を及ぼすのではないかという懸念も引き起こしました。例えば土地や資源に関する権利が制約されたり、森林管理活動が政府に一元化されたり、利益分配が不公平なものとなるかもしれないという懸念です。

WWFはREDD+は気候変動の緩和策の一つとして有望と見ていますが、このような問題が起きないよう、しっかりとした社会的・環境的セーフガード(防止措置)が講じられている必要があります。

WWFの提唱するREDD+原則は、先住民族や地域コミュニティの権利を尊重し、コミュニティの生活に寄与することを求めています。効果的なREDD+プログラムは、懸念されている事態が生じるリスクを減らし、コミュニティによる管理を奨励するものでなければなりません。

関連情報

REDD+フィールドプロジェクトの具体例

REDD+国別情報(PDF)

「気候変動」というまさに地球的な問題につながる地球温暖化の解決には、世界の国々が協力した取り組みが必要です。そのための重要な場の一つが、国連を中心とした国際会議。各国の政府代表が集まり、温暖化防止に向けて世界が取り組むべき施策や、めざすべき目標について、意見を戦わせ、合意をめざします。しかし、こうした場では、各国が自国の利益にこだわった発言をすることも多いため、本来の目的が忘れられがちになることがしばしばです。そこでWWFは、特定の国や立場に属さない視点から、この問題に取り組む世界中のNGO(民間団体)と共に、各国政府に対し、真に温暖化の防止につながる対策のありかたを提言しています。

求められている世界の取り組み

欠かせない国際的な協力

世界全体で増え続ける、二酸化炭素(CO2)の排出量。それによって引き起こされる地球温暖化は、一つの国の取り組みだけで解決できる問題ではありません。

地域や国によって程度の差はあれ、地球上の人類ほぼすべてが、普段の生活や経済活動を通じて、CO2を始めとする温室効果ガスを排出しているためです。

また、実際に温暖化がもたらす重大な影響も、国境に関係なく広がり、被害を及ぼしています。
このような問題に、世界規模で取り組み、解決してゆくためには、各国がそれぞれの事情に合わせて対策をするだけでは、不十分です。

また、ある国が対策を頑張っているのに、別の国が頑張っていないというような、不公平な状況が続けば、頑張っている国の中でも国民の不満が高まってくるでしょう。

地球規模の問題であるからこそ、地球規模で取り組まなければ、十分かつ公平な取り組みにならないのです。

人類全体の問題として世界のリーダーたちが認識を深め、協力して温室効果ガスの削減に、取り組んでゆかねばなりません。

温暖化に関する国際的な取り組みは、主に国連の会議で議論がされていますが、WWFは、その国連会議に黎明期から参加し続けています。

世界中から集まる環境NGOの仲間たちとともに国連会議での交渉の進展を見守るとともに、各国の政府代表団に温暖化対策のあり方についての提言や働きかけを続けてきました。

WWFジャパンもWWFの国際的なネットワークの一員として、日本をはじめとする世界のNGOの仲間たちと協力して、各国政府にはたらきかけを行なっています。

出典:IEA(国際エネルギー機関)(2013)CO2 Emissions from Fuel Combustion 2013 より作成。世界合計には、国際船舶・航空の排出量も含む。

国際条約と国際会議

国際社会が協力して温暖化問題に取り組んでいくための土台となるのが、国際条約や、それを話しあう国際会議です。

現在、温暖化問題に関する国際条約は2つあります。

1つは、世界のほぼ全ての国が参加していて、今の国際的な取り組みの礎となっている「国連気候変動枠組条約」です。英語の頭文字をとって、UNFCCCとも呼ばれます。

もう1つは、先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付けた「京都議定書」です。

現在、これらに加えて、新しい国際協定を作るための国際交渉が続けられています。

気候変動枠組条約に加盟している国々は、毎年世界の地域を順番にめぐって開催される「締約国会議」(COP)と呼ばれる国連会議に参加し、国際的な温暖化対策のあり方について、議論や交渉を行なっています。

COPのような国際会議は、その内容が報道されても、なかなか理解するのが難しく、通常の日常的な暮らしとはかけ離れた、遠い世界の問題と思われるかもしれません。

しかし実際には、こうした国際会議での取り決めが、やがては一つ一つの国々での取り組みにも反映され、そして、生活の中の身の回りの取り組みにもつながってきます。

たとえば、1997年に作られた京都議定書がなければ、日本で今日ほど「温暖化」問題に関する対策の重要性が、政府や自治体、企業の中で認識され、日常の中でも「温暖化対策」という言葉を見かけることにはならなかったでしょう。

京都議定書があったからこそ、以前よりも省エネ製品の選択肢が増えたり、「CO2の排出量の削減に取り組んでいます」というアピールをするサービスを選択できたりするといったことにつながっているのです。

国際会議で取り決められる温暖化対策は、遠いようでしかし、着実に身の回りの暮らしにも関係してくる、重要なものなのです。

枠組条約から京都議定書へ

温暖化に関する国際的な取り組みは、1992年の国連気候変動枠組条約を起点に始まりました。

この条約は、温暖化に国際的に取り組むことを世界中が合意した条約で、今日までの国際的な取り組みの土台となっています。

その後、1997年に合意された京都議定書の下で取り組みは本格化し、先進国は2008~2012年までの間に、温室効果ガスを全体で約5%(1990年比)減らすという約束を交わしました。

そして新しい国際枠組みへ

京都議定書は、はじめて先進国に温室効果ガス排出量を削減する数値目標を義務づけたという点で画期的でしたが、いくつかの課題を残しました。

まず、(当時)最大の排出国であったアメリカが、そもそも京都議定書には参加しなかった(批准しなかった)ことです。

また、京都議定書では、温室効果ガス排出量削減の数値目標を持ったのは先進国だけでした。

これは、現在生じている温暖化の問題が、過去の産業化の過程でCO2を排出してきた先進国により引き起こされたものであることから、まずは先進国から取り組むべきだと、いう原則に基づいた結論でした。

しかし、その後、途上国の中でも、特に新興国と呼ばれる国々は、急速な経済発展と共に排出量を増やしてきたので、そうした国々でも対策が必要になりました。

そこで、アメリカの参加や、途上国の排出量削減を視野に入れた新しい枠組みの創設が、2007年以降目指されてきました。

2009年のコペンハーゲンで開催されたCOP15・COP/MOP5でその合意が目指されましたが、残念ながら各国の根深い利害対立を解消できず、その合意に至りませんでした。

結果として、各国は、2020年までは、京都議定書の時のように条約で合意した目標ではなく、あくまで自主的な目標や取り組みの下で温暖化対策に取り組むことになりました。

その一方で、もう一度、新しい国際的な枠組みの合意に向けた交渉も、仕切り直しで再スタートしました。

2011年の南アフリカ・ダーバンでの合意でその交渉再開が宣言され、2015年の年末にフランス・パリで開催されるCOP21・COP/MOP11において、世界各国による合意の成立が目指されています。

国際交渉の舞台で

国際交渉の意義とNGOの働き

国連会議で行なわれる交渉は、基本的に国の代表団同士の交渉です。その交渉を通じて、地球環境の保護につながる成果が合意されることが理想です。

しかし、実際の会議では、それぞれの国々の間で利害の対立があったり、取り組みに消極的な国が存在することによって、必ずしも温暖化対策として十分な結果を生み出せるとは限りません。

WWFのようなNGO(非政府組織)の役割の1つは、このような国際会議の動向を見守り、よりよい合意への代替案をもって、各国政府代表団に働き掛けることです。

国連会議では、WWFのようなNGOは、産業界、研究者、労働組合など、他のさまざまなグループと同様、オブザーバーという立場で参加します。

会議で自由に発言したり、最終的な議決に参加したりすることはできませんが、世界の国々の代表が交渉する様子を見守りつつ、会議の合間にそれぞれの代表団に意見・提言を伝えることができます。

また、複雑で専門的になりがちな交渉において、各国がとっている姿勢に、実際にどのような意味があるのかを、メディアに対して解説したり、争点を明らかにすることで、世界の市民の理解を促し、政策を変えてゆく世論の高まりをめざします。

各国政府の代表団が、そうしたNGOからの直接的な働きかけを真剣にとらえたり、あるいは、世論からの圧力を感じたりすれば、国連会議での交渉や議論が、一歩でも二歩でも進展を見せる可能性があります。

WWFの役割

WWFも地球温暖化に関連する重要な国際会議には、必ずスタッフを送り、国際ネットワークを活かした提言活動や、他のNGOと協力した働きかけを行なっています。

温暖化問題については、Climate Action Network(CAN)という国際的なNGOのネットワークがあり、WWFもその一員です。

国連会議では、このCANという形で、世界のNGOが力を結集してメッセージを出すこともあります。

WWFジャパンもこのネットワークの一員として、日本をはじめとする世界各国の動向を見守り、世界のNGOの仲間たちと協力して政府に働きかけを行なっています。

国連気候変動会議の過程

2017年 2017年【COP23/CMP13】国連気候変動パリ会議
2016年 2016年【COP22/CMP12】国連気候変動パリ会議
2015年
2014年 2014年【COP20/CMP10】国連気候変動リマ会議
2013年 2013年【COP19/CMP9】国連気候変動ワルシャワ会議
2012年 2012年【COP18/CMP8】国連気候変動ドーハ会議
2011年 2011年【COP17/CMP7】国連気候変動ダーバン会議
2010年 2010年【COP16/CMP6】国連気候変動カンクン会議
2009年 2009年【COP15/CMP5】国連気候変動コペンハーゲン会議
2008年 2008年 【COP14/CMP4】国連気候変動ポズナニ会議
2007年 2007年 【COP/MOP3】第3回 京都議定書締約国会議
2006年 2006年 【COP/MOP2】 第2回 京都議定書締約国会議
2005年 2005年 【COP/MOP1】第1回 京都議定書締約国会議
あなたの支援で、できること。たとえば… 地球温暖化を防ぐ WWF会員が25人集まれば、WWFの専門家チームが国際会議の場へ出向き、各国の代表に働きかけることができます。 「あなたの支援でできること」を見る