国際マーコールの日
2026/05/24
今日5月24日は、国連が定めた「国際マーコールの日」です。中央・南アジアの山岳地帯に生きる有蹄類、マーコール(Capra falconeri)は、生息地の劣化や密猟、気候変動の影響を強く受ける象徴的な種です。この記念日は、山岳生態系の健全性と地域社会の暮らしを同時に守る国際協力の重要性を広く伝える機会でもあります。

大きな角が印象的なマーコールはウシ科ヤギ属で最大級の種であり、オスは100kgを超えることもあります。一方、ユキヒョウは、最大でも50kg程度ですが、この大型の動物を捕食することもあります。
私たちがWWFインドと共にユキヒョウを含む野生生物の保全に取り組む西ヒマラヤではマーコールの生息数が特に少なく、50頭ほどとみられていますが、十分な調査もなされていません。
この危機的な状況を受け、WWFインドのフィールドチームは、科学的調査と地域参加を融合した包括的な保全計画を進めています。
体系的な調査によりマーコールのみならず、同じ大型の草食性有蹄類であるキアン(チベットノロバ)や肉食動物であるヒマラヤオオカミの生息状況の把握を目指します。
オオカミについては、音響記録装置で鳴き声を記録し、AIで解析するという新しい方法を用います。他にもフンの成分分析や行動観察から食性分析も行ないます。
さらに地理情報システムを活用して、放牧地の状態、獲物の入手可能性、家畜の密度、および人間活動に関する情報を統合し、種の分布モデル、生息地適性モデル、および移動コリドー(動物の移動に適したルート、回廊)を構築したいと考えています。

カメラトラップが捉えたヒマラヤオオカミ(Canis lupus chanco)。標高の高い過酷な環境に適応しているオオカミの亜種で、絶滅のおそれが高い状況です。保護対象種ですが、家畜を襲う害獣として駆除の対象となることがあります。また、野犬との交雑も問題となっています。
生息調査や放牧等の人間活動に関する情報収集には地域住民の協力が欠かせません。
加えて、専門的なトレーニングを積んだ地域住民の若者が「マウンテン・ガーディアン」として保全チームに参画し、知識の循環を高めることで、保全活動は研究にとどまらず暮らしに根付くことが期待されます。

ユキヒョウ調査用カメラトラップ(自動撮影カメラ)設置のため、雪山を行くマウンテン・ガーディアンのメンバー
国連が呼びかける国際マーコールの日は、こうした現場の挑戦を世界と共有するのにうってつけの日です。山の未来を守る一歩として、野生動物と時に脅威にもなるそうした生きものと隣り合って暮らす人々の現状を知り、若者の頑張りを応援してください。




