2011年 国連気候変動ボン会議


2011年6月6日から17日まで、ドイツのボンで、気候変動枠組条約第34回補助機関会合(SB34)、第16回京都議定書特別作業部会(AWGKP16)・第14回長期的協力行動特別作業部会(AWGLCA14)が開催されます。年末の南アフリカでのダーバン会議(COP17)まで残された時間があとわずかです。ボン会議では実質的な議論の進展が期待されます。

何が焦点となるのか、温暖化の国際交渉の行方

 2010年12月メキシコ、カンクンでのCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)では、国連の気候変動における交渉において、先進国・途上国ともに歩み寄り、重要な論点について合意が採択されました。

2009年コペンハーゲンCOP15会議においては、次期枠組みに合意ができず、単に留意するだけにとどまってしまったため、2010年の交渉では、果たして194カ国も集まる国連で合意なんて可能なのかと世界が疑問を抱いていました。そんな中、カンクン合意は成立し、国連における世界が集まっての国際交渉への信頼回復を果たすことが出来たのです。

そのカンクン合意からはじめての中間会合が、2011年4月にバンコクで開催されました。ところが、画期的に合意に達したカンクン合意から、むしろ再び対立構造に戻る結果となってしまいました。京都議定書第2約束期間への先進国の約束を強く迫る途上国、合意の困難な事柄は先送りしたまま、カンクン合意で定まった論点だけを技術的に進展させることに専念したい先進国、溝は深まるばかりでした。

一方、先進国・途上国ともに、2020年の削減目標/削減行動の中身が、バンコク会議で行なわれたワークショップの中で少しずつ明らかになっており、ボン会議でもワークショップが継続されることになりました。

これらは表舞台の議論ではありませんが、世界の平均気温を2度未満に抑えるためには不可欠なプロセスで、実質的な中身の進展が期待されるものです。なお、大震災と原発事故のため、日本は準備が整わず2020年の削減目標の内訳を発表していません。

2011年12月にはいよいよCOP17会議が南アフリカ・ダーバンで開催されます。京都議定書の第1約束期間は2012年まで。次の枠組みに合意できなければ、いよいよ世界は排出削減の国際約束のないまま、間が開いてしまうことになります。その意味でCOP17は、ぎりぎりの会議です。

ボン会議のポイント

COP17まで、中間会合は今回のボンを入れてあと2回。会期にして3週間しかありません。
今回のボン会議では、いたずらに対立の構造を深めるのではなく、中身の議論をスピード感を持って進めていかなければなりません。まずカンクン合意で決められた論点の議論をきちんと進めていくこと。そして年末のダーバンCOP17で次期枠組みに合意できるように基礎を作っていくことです。

WWFが考えるボン会議における重要点は次の3つです。

  • ギガトンギャップを埋める議論を進めること
    気温上昇を産業革命前に比べて2度未満にとどめることをカンクン合意で合意していますが、実際に先進各国及び途上国が国際的に表明している削減目標及び削減行動を積み上げても、2度をはるかに超えてしまう水準です。これを2度未満に抑えるためには、50億トンから60億トン(二酸化炭素トン)に上る量をさらに削減しなければなりません。まず各国の目標レベルを上げること。そして目標の抜け穴となるルール(森林吸収源やオフセットなどのルール)を引き締めていくことです。
  • 2020年に必要となる途上国への資金援助のための資金源の議論をする場を確保すること
    2020年に先進国は1000億ドル単位で途上国の削減行動と適応の支援をしてくことを国際的に表明しています。しかし、その1000億ドルを何でまかなっていくのかはまだ見えておらず、話し合いの場すらまだ決まっていません。まずは国際航空、船舶税や国際通貨取引税などの有望な資金源を具体的に話し合う場を作って、議論を進めていくことが早急に求められます。
    アメリカや途上国を含めた各国の削減行動をきっちり確保していくための、排出量の算定、報告、検証制度を具体的に決めていくこと
    京都議定書に参加していない米国や、まだ義務的な排出量削減目標を持たない途上国の削減行動を、国際的に信頼できる形で確保していくには、世界で統一した透明性のある排出量の算定、報告、検証制度が必要です。これらの議論の作業計画はカンクン合意の中で決められており、今後さらに詳細につめていく必要があります。
  • 先進国、途上国ともに低炭素開発戦略/計画を設定していくこと
    カンクン合意の中で先進国は低炭素開発戦略/計画の設定が義務であり、途上国は低炭素開発戦略/計画を設定することを奨励されています。これは長期的に排出量を減少させて、低炭素社会へと移行していくために、欠かせない重要な計画設定です。まだカンクン合意では、曖昧にしか決まっていないので、どのように決めていくのか、議論を深める必要があります。

そのほか、適応や森林減少についても議論を進める必要があります。
ダーバン会議まで残された時間があとわずかです。ボン会議では実質的な議論を進めていかなければなりません。

WWFはジャパンも含めて世界のオフィスから30人あまりのエキスパートが現地入りして、交渉を追っています。


第1週目の報告

(2011年6月19日)

開催されている4つの会議

気候変動に関する国連会議、第34回補助機関会合が2011年6月6日から17日まで、ドイツ・ボンで始まりました。
今回の会議は、以下の4つが同時に開催される会議です。

  1. 国連気候変動枠組条約および京都議定書の第34回科学および技術の助言に関する補助機関会合
  2. 同実施に関する補助機関会合(以上2つを合わせて、気候変動枠組条約第34回補助機関会合:SB34)
  3. 京都議定書の下にある特別作業部会(第16回京都議定書特別作業部会:AWGKP16)
  4. 国連気候変動枠組条約の下にある特別作業部会(第14回長期的協力行動特別作業部会:AWGLCA14)

2010年12月メキシコ・カンクンCOP16では、国連の気候変動における交渉において、先進国・途上国ともに歩み寄り、重要な論点について合意が採択されました。

今回の2011年6月のボン会合に先立って、4月にはタイのバンコクで中間会合が開催されましたが、カンクン合意で積み残した非常に難しい政治的課題である、京都議定書の第2約束期間について議論が紛糾し、むしろ再び対立構造に戻る結果となりました。

京都議定書第2約束期間への先進国の約束を強く迫る途上国、カンクン合意で定まった論点だけを技術的に進展させることに専念したい先進国、溝は深まるばかりでした。

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ボンの会議場

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一方、交渉ではなくワークショップ形式で開催された削減目標の内容について各国が解説する場では、少しずつ議論が深まってきています。この結果は、技術的ペーパーとして交渉の場で参照される形になりました。これを受けてボン会議でもワークショップが継続されることになりました。

ボン会議では、目標の中身や、目標の算定方法、国際的な監視方法などの実質的な議論がどれだけ進められるかが勝負ですが、相変わらず議論は遅々として進んでおらず、一週目は終わってしまいました。

1 補助機関会合において、議題決定のための意見対立で議論がストップ

本来、気候変動の会議において、補助機関会合というのは、政治的な判断を伴うことは少なく、すでに実施することが決定された議題を専門家たちが技術的に決めていく場として設定されています。

ところが、今回の会合では、この補助機関会合において、取り上げるべき議題や、議題を話し合う順番について文句がつけられて、初日から議論はストップしました。前回のバンコク会議でもこうしたそもそもの「議題」をめぐる対立が深刻化して議論がストップしたため、交渉の現場にいる人間の間では次第に「議題(アジェンダ)ファイト」という言葉まで定着しはじめています。

これはカンクン合意で実施が決められた議題が補助機関会合におりてきて、粛々と実施に向けて進めていくことに反対したい国が、ここで代理戦争をしていると考えられます。
これで3日間も議論が始まらず、全員が焦燥感を味わう中、やっと決着がついて、4日目の木曜日から議論がスタートしました。主な議題の進展については、「5.注目された論点について」の項目をご参照ください。

2 京都議定書AWG 「第2約束期間をどうするのかの政治的決定が先か、森林吸収や市場メカなどの技術的論題を進めるのか」で対立して進まない

2.1 カナダのケース

今回のボン会合で、カナダははじめて「第2約束期間に目標を書き入れない」と明言しました。選挙を終えて、気候変動問題に後ろ向きであるハーパー政権が正式に誕生したことを受けて、公式に京都議定書の第2約束期間への移行を拒否したものです。これで京都議定書の継続に反対している国は、日本とロシアとあわせて3国になりました。

なお、カナダは事実上第1約束期間の目標達成もすでに投げ出しており、今後の動向が注目されています。緩和のワークショップで、「第1約束期間の目標達成ができるかどうかは、2014年にならないとわからない」と発言し、顰蹙をかっていました。

2.2 3国キックアウト

途上国の苛立ちは募っており、京都議定書の第2約束期間の約束が継続するのかどうかについて政治的決着をもとめる声が高まっています。
第2約束期間に入るかどうかわからない国と一緒に、吸収源やCDM(クリーン開発メカニズム)などの京都議定書のルールを話し合っても仕方ないという強い主張が、AOSISをはじめとする途上国から出され、京都を継続しない3国(カナダ、日本、ロシア)を除いて話を進めようという極端論まで出ています。
一方、EU、オーストラリア、ニュージーランドは、他の大量排出国が参加することを条件に、京都の第2約束期間を考慮するとしています。
途上国の強硬論に対し、EUは懸命になだめようとする発言を繰り返し、京都を抜けるか否かにかかわらず、ルールを決めていくのは役立つから、3国を除くなどということはせずにルールをつめていこうと提案していました。

3 条約AWG14 も、議題ファイトで遅々として進んでいない

3.1 14の議題に分かれて新枠組みのドラフティングを継続

条約AWGは、まさにバンコク会合で議題ファイトで進まなかった会議。本来は、カンクン合意で定められた途上国の削減行動やアメリカの削減目標をきっちり確保していくために必要な、排出量の統一した算定方式や、報告方式、検証方式などを決めていくことになっています。

また、それを国際的に監視できるようにする仕組み、「国際コンサルテーションと分析(途上国向け、以降ICAと呼ぶ)」「国際査定とレビュー(以降IARと呼ぶ)」についてもつめていく必要があります。
2011年末に南アフリカのダーバンで開かれるCOP17までに時間がないため、一国も早くこうした議題について仕組み立ち上げを進めていかなければなりません。

その他、先進国から途上国への資金援助や技術援助の仕組みのための組織の立ち上げなども、至急議論していく議題です。 

ところが、ここでも、どの議題から優先して始めていくか、どの議題に時間を多く割いていくかで、再び紛糾しています。一週目の最後になってやっと決まってきた議題は、14に分かれており、それぞれ新枠組みのドラフト作りが始まりました。

  1. 長期的行動のための長期ビジョン(ピークの年、2050年世界目標など)
  2. 先進国の削減目標(つまりアメリカ)
  3. 途上国の削減行動
  4. 森林減少防止
  5. セクター別アプローチ(農業や国際船舶・航空からの排出など)
  6. 市場メカニズムを含む様々なアプローチ
  7. 対応措置(産油国に対し化石燃料が売れなくなるための措置)
  8. 適応(途上国の温暖化の被害に対策するための措置と資金援助の仕組み)
  9. 資金(途上国への資金援助の仕組みや資金源など)
  10. 技術援助(途上国の緩和と適応のための技術援助の仕組み)
  11. キャパシティビルディング(途上国の能力向上の仕組み)
  12. レビュー(2013年から2015年に行われることが決まっているレビューの範囲や内容など)
  13. 法的オプション(新枠組みの法的形式)
  14. その他経済移行国に関する特別配慮について

いずれも通常は環境団体などのオブザーバーに公開されるのですが、今回はそれぞれの議長にまかされる形になり、中の議論がよく見えないものが多くなっています。透明性を高めていくためにも、議論が公開されることが求められます。

3.2 緩和のワークショップ

バンコク会合に引き続き、先進国と途上国の二つの緩和のワークショップが開催されました。
緩和において大きな課題は、ギガトンギャップ(後述)を埋める議論を進めることです。

気温上昇を産業革命前に比べて2度未満にとどめることをカンクン合意で合意していますが、実際に先進各国及び途上国が国際的に表明している削減目標及び削減行動を積み上げても、2度をはるかに超えてしまう水準です。これを2度未満に抑えるためには、50億トンから90億トンの二酸化炭素(これを10億トン単位でギャップ=差があるという意味で、ギガトンギャップと呼ぶ)に上る量をさらに削減しなければなりません。

まず各国の目標レベルを上げること。そして目標の抜け穴となるルール(森林吸収源やオフセットなどのルール)を引き締めていくことです。

そのため、各国の削減目標の中身について発表させ、それらを比較可能にし、いずれは目標を引き上げていくことを目的に、このワークショップが開催されています。

バンコク会合のワークショップの結果は、国連文書のテクニカルペーパーにまとめられて、今後の議論の参照にされていくことになりました。実際の交渉が進まない中で、こうしたワークショップ形式の中で各国が目標の中身について国際的に発表していくことを促すことの意義は大きくあります。

今回のボン会合ではカナダやアメリカに質問が集中していました。とくに今回正式に京都議定書の継続に参加しないことを発表したカナダには各国からの質問が相次ぎ、タールサンドからの排出を含まないことや、第1約束期間の排出量は京都の目標を達成できるかどうかは2014年までわからない、などの回答に会場からの失望が集まっていました。

4 南アフリカホストのダーバンへの期待

2011年末の南アフリカ・ダーバンにおけるCOP17で議長国を勤める南アフリカのディセコ大使がはじめて交渉にデビューし、議長として「ダーバンへの期待」と題した会合を主催しました。これは今回の会議で最も中身があったことかもしれません。

もともと京都の継続を強く望む途上国(小島嶼国、アフリカ諸国、BASICなど)、京都に強く反対する先進3国(カナダ・日本・ロシア)、カンクン合意だけを進めるアメリカ、条件つきで京都と新枠組みの2本立てを支持するEUなど、立場がはっきりしている国の発表とともに、中間にいる国の発表が、それぞれの考え方を反映しており、大変興味深いものでした。また現実的に考えるとダーバンで法的拘束力のある新枠組みに合意することが難しくなってきていることを反映した発表もいくつかありました。その中のいくつかを紹介します。

ニュージーランド「京都議論は欠かせない。京都ルールの議論進展は条約の枠組み進展にも役立つため進めるべき。あと半年のダーバンで法的な新枠組みの合意に達することは誰も期待できないが、すべての排出国が参加する包括的な合意が必要。その際には、京都の下の国と、新枠組みの下の国に分かれる形が考えられる」

シンガポール「京都は欠かせないシステム、しかし条約の下においても法的枠組みを求める。ダーバンでは合意に達するのはまだ無理だが、いずれ合意に達することを前提とした決定が考えられる」

コロンビア「ダーバンで法的枠組みが立ち上がらないなら、強い緩和のルールが必要。京都の下では暫定的な決定が考えられる。条約の下の法的枠組みと京都の合意などバランスのある結果には、それぞれには異なったタイムラインがあることを認識すべき。ダーバンでは(条約の下の結果が法的合意になるなどの)今後のプロセスについての決定に合意するなど考えられる」

今後の困難な議論の収束には、こうした中間的な考えを持つ先進国・途上国が活躍して、先進国と途上国間の大きな意見の隔たりを取り持っていくことが強く期待されるところです。

5 注目された論点について

5.1 原発をCDMに入れるか

京都議定書のルールであるCDM(クリーン開発メカニズム)における議論において、第2約束期間に向けてCDMの改善が話し合われています。

その中の一つの論点として、CDMに原発を入れるかどうかということが議論されてきましたが、1週目の最終日に日本が「CDMに原発を入れるべき」というオプションへの支持を改めて表明しました。

これは今までの日本のポジションを再確認した形ですが、福島の事故のあとだっただけに、会場からの失望の声が大きくなりました。その後2週目の最初に、インドが日本と同じく原発を入れるオプションに賛同の意を表明しています。

5.2資金源について:中期資金という概念登場、国際運輸・航空への課税を資金源とする議論浮上

先進国はカンクン合意の中で、2012年までに300億ドルの支援を表明しています。
今回2015年までの資金援助の必要性について、EUが主張し、はじめてこの2015年までの中期資金援助という概念が登場しました。これは2011年末のダーバンでは新枠組み合意が時間的に間に合わない可能性が高くなってきたことを反映して、緊急的に必要である直近の資金援助を2012年までだけではなく、2015年までを視野に入れて考えていこうという意思だと思われます。

また世界の排出の4%を占めるようになった国際船舶・航空への排出削減の手法として、課税が考えられていますが、その税の使い道として、気候変動の資金源として使うことが提案されており、その議論が、今回のボン会議ではじめて大きく取り上げられるようになりました。

2020年には1000億ドル単位で先進国が途上国の緩和と適応を支援することが決まっており、その巨大な資金源の一つとして期待されているものです。カンクン合意では資金源についての議論の場は立ち上げが決まっておらず、途上国は苛立ちを募らせていました。

しかしこの国際船舶・航空の議論は一筋縄ではいきません。気候変動の国際条約では「共通だが差異ある責任原則」があり、歴史的に排出責任がある先進国が先に行動することが定められています。

ところが国際船舶や航空への課税というのは、先進国の船舶や航空だけに実施することは大変困難であるため、先進国・途上国両方に同じように課税することになります。そのためBASIC、特に中国からの反対も大きく、結局先進国・途上国ともに反対が多く、進んでいないのです。

しかし今回はEUがEUの排出量取引制度の第3フェーズの中でEU発着の航空便全便に課税することを決めており、国際的な仕組みが立ち上がる前に先行して地域的な仕組みが出来上がることになっています。

ここでもEUは仕組み作りを先行していく手腕を見せているわけで、他国はいやでもヨーロッパ発着便に関してはかかわらざるを得ないため、話し合いが熱を帯びてきているわけです。

これは気候変動の国際交渉以外で進んでいる話なので、その税収を気候変動の資金源とするためには、ここの交渉でガイダンスなどを決める必要があり、にわかに注目される議題となっています。

5.3隔年レポート、ICA,IRA

カンクン合意では、京都に参加していないアメリカや途上国の削減行動を確保し、国際的に監視していくための仕組みとして、MRV(算定・報告・検証)やICA(国際コンサル&分析:途上国向け)IAR(国際査定&レビュー:アメリカ向け)の立ち上げを決めています。

これを具体的に実施できるように内容や時期を決めていくことが2011年の大きな仕事です。それをすすめていくために、隔年でレポートを出すことが話し合われており、その内容や始めるべき時期について、議論されています。

これは一見技術的に粛々と進めていけばよい議題のように思えますが、途上国の削減行動を監視していくための仕組みであるため、途上国側の警戒が強く、先進国の京都における第2約束期間の議論が進まない中、人質のようにこちらの議論も進めないとする力が働いて、なかなか議論が進みません。これも「ルール作り」と「京都の継続」の二つの対立軸の議論となってしまっています。

以上が第1週目の報告ですが、第2週に入って具体的な議論は少しずつ進み始めてはいます。しかし相変わらず「ルール作り」か「京都の継続」かという議論に阻まれては、具体的な進展は遅々としています。秋にもう一回中間会合が開催できるかどうかも、まだ決まっていない有様です。

いよいよ2011年ダーバンCOP17では、京都議定書の第1約束期間の終了後に、次の枠組みが始まることが果たして可能なのかどうかを決めなければなりません。時間がありません。各国はいたずらに対立に時間とエネルギーを費やすのではなく、実質的な議論を進めていってほしいと切に願っています。


会議参加報告

(2011年6月19日)

ドイツ・ボンで2週間の会期で開催されていた国連の気候変動に関する補助機関会合が閉幕しました。京都議定書の第2約束期間の終了を2012年に控えて、その後の枠組み合意が遅れれば、いよいよ排出削減のための取り組みに空白期間が生じることになります。その最後の綱である2011年末のダーバンCOP17に向かって、交渉を加速させていく必要がありましたが、依然先進国と途上国の対立は深刻で、わずかな進展に終わりました。

対立の構図

2010年末のCOP16メキシコ・カンクン会議では、5年にわたる交渉に区切りをつける形で、米中を含む削減行動の約束や、途上国への支援などのいくつかの重要な論点について合意が見られました。2011年はそのカンクン合意に基づいて、それらの論点を具体化し、早期の実施に向けて準備を進め、ダーバンCOP17での枠組み合意の成功に向けていくことが求められています。ところが、ボン会合に先立つ4月のタイ・バンコク中間会合では、カンクン合意が積み残した非常に難しい政治的課題である、京都議定書の第2約束期間について議論が紛糾し、全く具体的な議論は進みませんでした。

今回のボン会合でも1週目は同じ議論が再燃、京都議定書の第2約束期間の継続について合意しない限り、京都ルールの改善を話し合っても無駄、とする途上国の強硬な主張に、先進国は、大きな政治的判断が必要な第2約束期間の是非は先送りし、削減目標に大きな影響をあたえることになるのだから、吸収源やオフセットなどの京都ルールの改善について先に話を進めておこう、といういつもの対立で、一週間無駄に過ごしました。

週末にルールと第2約束期間の二つを同時に話し合っていく、という条件で折り合い、2週目からは、やっと論点の具体的な意見交換に入ることができました。それからは、3つの会議の下でそれぞれ10以上にわたる論点で議論が活気付き、ほぼすべての論点で会議文書が出来上がってきました。

温暖化の影響を抑えるためには削減分が足りない

中でも、気温上昇を2度未満に抑えるためには、実際に各国が約束している削減約束の合計削減量ではとても足りず、足りない量は数10億トン単位(二酸化炭素換算)に上るということは、広く各国に認識されるようになりました。(しかし認識されても、どうするか、という議論に入るには程遠い状況ではありますが)また米や中国などの大量排出国に、削減行動を促し、国際的に監視していく仕組みや、途上国への技術移転や適応の支援、資金援助などのキーとなる論点についても、議論をまとめた議論文書ができています。

これらは必ずしも交渉のベースとなるわけではありませんが、今までよりも実施に向けて具体的な姿が見え始めてきていることは確かです。

秋にもう一度中間会合が行なわれるかどうかの決定は、来週に持ち越されましたが、また同じように時間を無駄にしないように、今回のボン会合で決まったところから、そのまま継続して議論が続けられることになりました。

ダーバン会議(COP17)のゆくえ

果たして本当にダーバンCOP17で次の枠組み&京都議定書の第2約束期間合意が本当に今でも可能なのかどうか、世界の疑問が高まっている中、現実的な提案を示し始める国も現れました。ダーバンCOP17のホスト国南アフリカが主催した会合では、従来の主張を繰り返す先進国・途上国に混じって、中南米穏健国の途上国が妥協案を示すなど、年末の合意に向けた各国必死の努力も見られました。

秋会合があるとしても、ダーバンCOP17を入れて、あと3週間しかありません。その中で可能な限り高い着地点を目指すには、せっかく始まった重要論点の議論を実施に向けて具体化していき、2013年以降の資金援助についても早急に動かし、先進国の削減目標や途上国の削減行動について、中身をつめていく必要があります。

世界から数千人が一堂に会して2週間もかけて行なう会議であるにもかかわらず0、先進国・途上国双方の不信感が対立を先鋭化し、交渉をブロックする国に振り回され、具体的な議論が進まないのは、本当に焦燥感が募ります。次の秋会合があるとするならば、今度こそ最初から中身の議論を進めて、ダーバンに向けて準備を整えていくべきです。

関連資料


国連気候変動会議

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