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COP26・世界の脱炭素化は加速できるか!?

この記事のポイント
ほぼ全ての国が参加して脱炭素化に取り組むことを約束したパリ協定。しかし、顕在化する気候危機(地球温暖化)に立ち向かうためには、まだまだ各国の取組みは不充分です。2021年10月31日〜11月12日にイギリス・グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、積み残されたルールに関する最後の詰めを行ないつつ、各国の削減目標や対策の強化へ向けた意志を打ち出せるかどうかが主眼です。
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問われる本気度

2015年のパリ協定採択以降、2020年からのパリ協定の本格実施に向けて、世界の国々はパリ協定の「実施指針(通称「ルールブック」)」と呼ばれる、詳細ルールを交渉してきました。
複雑な論点が絡み合う難しい交渉でしたが、2018年12月にポーランド・カトヴィツェで開催された国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)において、そのパリ協定の「ルールブック」に大筋の合意が得られたことで、パリ協定実施の準備はひとまず整いました。
その後、各国はパリ協定で自分たちが約束した削減目標や国内対策の実施を進めていますが、気候危機はますます顕在化しています。2021年8月に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書第1作業部会報告書は、気候変動が人為的活動を原因とすることには疑いがないこと、世界全体の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるためには、もはや一刻の猶予もなく対策の強化が必要であることが、改めて強調されました。
そのような中、コロナ禍による1年の延期を受けて、2021年10月31日~11月12日にイギリス・グラスゴーにおいて開催されるCOP26では、大きく分けて2つの仕事があります。
1つ目は、パリ協定が目指す目標、つまり、世界の気温上昇を「2℃より充分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求する」ことに向けて、明らかに足りていない各国の取組み強化を打ち出せるかどうか、です。
2つ目は、パリ協定の「ルールブック」議論の中で、最後まで積み残された、「市場メカニズムのルール」などの議論について結論を得ることです。

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足りない削減量

パリ協定の下で各国は、温室効果ガス排出量削減目標を中心とする取り組みを、NDC(Nationally Determined Contributions)と呼ばれる文書として国連に提出することが求められています。多くの国がNDCの中で2030年を目標年とした削減目標やその他の対策・施策を約束しています。
そして、2015年にパリ協定が採択された時のCOP決定で、各国は今回のCOP26までに、削減目標をもう一度検討し、提出し直すことになっており、多くの国が再提出をしています。
しかし、9月17日に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が発表した報告書によると、提出し直された各国の排出量削減目標が実施されたとしても、世界は、2.7℃の気温上昇へと繋がるシナリオを突き進んでしまうことが示されました。

今のNDCでは、世界は2.7℃上昇へ  ©UNFCCC事務局報告書よりWWFジャパン作成

今回のCOP26では、このような現実を受け止め、さらなる削減目標・対策強化の方針を打ち出せるかどうかが鍵となります。

注目を集める「脱石炭」

議長国であるイギリスは、COP26について、「今世紀半ばまでにネット・ゼロを達成し、1.5℃上昇に抑えることを可能とすること」「人々のコミュニティや野生生物の生息地を守るための適応を重視すること」「資金を動員すること」「結果を出すために協働すること」という4つの目標を掲げています。
そのうち、1つ目の「1.5℃上昇に抑えることを可能に」の文脈で提示されていることとして、日本との関係で特に注目を集めるのが、「石炭のフェーズアウトの加速」です。
CO2排出の主な原因である化石燃料の中でも、最も排出量が多い石炭については、その利用を出きる限り早くに止めていくべきだという主張が、国際的には主流となっています。特に、発電のための石炭、つまり石炭火力発電所に関しては、先進国では2030年までに、途上国については2040年までに廃止していくべきだとイギリスは主張しており、これは国際的な潮流に沿ったものです。
国連の会議であるCOPでは、各国の主権を尊重する前提から、こうした国内政策の選択肢を直接規定する議論が行われることは稀で、今回の会議でも、COP決定そのもので石炭からのフェーズアウトがうたわれる可能性はあまりありません。しかし、近年のCOPでは公式な決定とは別に、有志の国々や、時には企業連合・自治体連合などの非国家アクターと呼ばれる主体が集まって独自の宣言を出すことが常態化しており、今回のCOP26においても、そうした発表がいくつかあると期待されています。
そのような中、2030年にむけて、石炭火発を多く残す予定にしている日本については、本当に「脱炭素」を進めていく意志があるのか、改めて問われることになります。

© Shutterstock / Soonthorn Wongsaita / WWF

「市場メカニズム」(第6条)やその他の論点のゆくえ

COP26の2つ目の課題である「積み残されたルール」策定の中で、代表的かつ最も注目を集めているのは、「市場メカニズム/非市場メカニズム」と呼ばれる論点です。
これは、パリ協定第6条に書かれている仕組みについての論点であるため、単に「6条」と呼ばれることもあります。
「市場メカニズム/非市場メカニズム」は、2カ国以上の国が協力して温室効果ガス排出量の削減を行なう仕組みとして、その設立自体はパリ協定ですでに決まっています。
しかし、特に市場メカニズムと呼ばれる仕組みは、「削減量」を国際的に移転・取引する仕組みであるため、ルール形成のやり方を誤れば、パリ協定の下での各国の削減目標に抜け穴が生じるため、WWFを含む環境NGOはそのルールが十分に厳しいものとなるかを注視しています。
その他にも、重要な論点はいくつかあります。
そのうちの一つは、資金支援に関する論点です。
パリ協定では先進国から途上国への資金支援が必要であることも述べられており、現在は年間1000億ドルの資金を(公的なものも民間主導のものも含めて)動員する、という目標が掲げられていますが、未だにこの目標は達成できていません。パリ協定採択時の決定によって、2025年まではこの資金目標が維持されることは決まっています。さらに、COP24の決定によって、今回のCOP26から、次の2026年以降の資金支援目標を開始すると規定されているため、次の目標に向けての交渉が始まります。この交渉は、先進国と途上国の間で難航することが予想されており、今回の会議でどこまで進めることができるか未知数です。
また、次の2025年までに各国がNDCを提出する時に、目標期間はどれくらいの長さにするのかという論点や、各国の排出量およびその削減に向けた取組みを報告するための制度など、様々な論点が話し合われる予定です。

WWFが求めること

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WWFは今回のCOP26では以下の点を重視しています。

  • COP26という機会を通じて、政府だけでなく、全ての主体(企業、自治体、NGO、ユースなど)が協力して気候危機に取り組める体制を強化すること。
  • 次にNDCを正式に提出する2025年に向けて、排出量削減目標や国内対策の強化の方向性を打ち出すこと
  • 積み残されたパリ協定の「ルールブック」課題を解決すること
  • 1.5℃に抑えるという目標達成において、生物多様性・自然環境保全が果たせる役割を改めて検討すること
  • 次の5年間を見すえ、パリ協定の実施をさらに強化していく戦略を検討すること

日本について言えば、今回のCOP26の上記2つの目的達成に貢献するとともに、COP26で示される世界の脱炭素化潮流を受け止め、国内対策の議論に反映させていくこと、特に、カーボン・プライシング施策の導入や石炭火発のフェーズアウトが加速されることを期待しています。

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