© Eric Madeja

3月5日はサンゴの日!守るためにできること

この記事のポイント
サンゴ礁は多様な生きものと人間の暮らしを支える重要な自然環境ですが、開発や汚染、気候変動等により世界的に減少しています。WWFは国内外でモニタリングや食害生物対策等を実施し、地域と連携してサンゴの回復と持続的利用を進めています。3月5日の「サンゴの日」を機に、WWFの取り組みと一人ひとりの身近な行動を知り、実践していただくことが大きな力になります。
目次

サンゴと人間のつながり

サンゴ礁の役割

世界には約800種類のサンゴが生息し、日本ではその半数の約400種類のサンゴが確認されています。※1

世界全体の海に占めるサンゴ礁の面積はわずか0.2%未満ですが、全ての海洋生物種の4分の1が、すみかや餌場、産卵場所等としてその存在に依存していると言われています。その他にも気候の安定やCO2の循環等、海の豊かさに関わるさまざまな機能を持っています。

また、食料、雇用、天然の防波堤、遺伝資源、レクリエーション等、さまざまな恵みを人間にもたらし、健康で豊かな暮らしの支えとなっています。サンゴ礁は、海の生きものや生態系だけではなく、人間にとっても重要な役割を果たしています。

© Tom Vierus / WWF-US

サンゴが直面する危機

サンゴやサンゴ礁は、沿岸に多く分布するため人間活動の影響を受けやすく、1960年代以降、これによる大きな脅威にさらされてきました。

沿岸開発や埋め立て、開発地や農地・畜産場からの赤土流入、産業や生活由来の排水流入、不適切な観光利用等によって、サンゴは生息地を失い、生息環境の劣化も進行。過去30年余りで世界全体の50%のサンゴが死滅したという報告もあります。※2

こうしたことに加え、1990年代以降は気候変動等の影響による海水面温度の上昇や海洋の酸性化が深刻な脅威となっています。サンゴの生育適水温は18度~28度、生育可能水温は12~35度とされていますが、夏季に海水面温度が上昇し、30度を超える状態が数日から数週間続くと、サンゴは高温のストレスによって白化し、死んでしまうこともあります。

海水温の変化は面的な広がりをもって発生するため、夏季の高水温による白化や死滅は比較的広範囲に及ぶ傾向があります。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、地球温暖化による平均気温の上昇が1.5度に抑えられたとしても、現存するサンゴ礁の70~90%が消滅すると言われています。※3

直近でも、2024年の夏に世界的な大規模白化が確認され、世界や日本の各地で過去最大級のサンゴの白化や死滅が報告されました。

夏季の海水面温度上昇によるグレートバリアリーフのサンゴの白化(左は温度上昇前の2023年12月、右は温度上昇後の2024年3月)
© Images courtesy of George Roff, CSIRO

夏季の海水面温度上昇によるグレートバリアリーフのサンゴの白化(左は温度上昇前の2023年12月、右は温度上昇後の2024年3月)

保全のためのアクション

WWFの保全の取り組み

WWFは世界各地でサンゴに対する脅威の回避や軽減、そして減少したサンゴの再生や回復を目指す取り組みを行っています。サンゴのモニタリング調査や、食害生物の駆除、失われたサンゴ礁を回復するためのサンゴ移植等がその例です。

  サンゴのモニタリング調査(ベリーズ)
© WWF-US / Jaime Rojo

サンゴのモニタリング調査(ベリーズ)

食害生物であるオニヒトデの駆除(マレーシア)
© Juergen Freund

食害生物であるオニヒトデの駆除(マレーシア)

サンゴ礁の再生活動(ブラジル)
© Luiza Sampaio / WWF-Brazil

サンゴ礁の再生活動(ブラジル)

WWFジャパンでも、国内外でのサンゴ礁生態系を継続してきました。近年の取り組みを一部ご紹介します。

奄美大島の大和村国直での活動
© WWF-Japan

奄美大島の大和村国直での活動

奄美大島の大和村国直でのサンゴ礁生態系保全プロジェクト
気候変動等の影響が強まる中では、サンゴ礁生態系の保全上重要な海域を守ること、そしてこれまで国内で培われた技術や手法を継続的に活用できる人や地域づくりが重要です。WWFジャパンでは、サンゴの多様性や白化からの回復状況、周辺海域とのつながり等を調べ、奄美大島・国直をプロジェクトサイトに選び、2025年からプロジェクトを開始しました。
今後は、国直の海のサンゴ礁や、集落の暮らし・文化と海の関わりを調査し、集落の人たちと一緒に、数年かけてサンゴの回復や新規加入等も調査しながら、国直の海への理解を深め、人的な影響を減らしたり、海やサンゴの変化に迅速な対応ができる体制づくりを目指します。プロジェクトを通じて得られた学びを他の地域にも還元していく予定です。

高緯度サンゴサミットの登壇者
© 黒潮生物研究所

高緯度サンゴサミットの登壇者

高緯度サンゴ群集の保全
日本各地に生息する高緯度サンゴ群集は、亜熱帯〜温帯のさまざまなサンゴが集まる貴重な場所で、沿岸の海の生態系を形づくるものの一つです。近年は温暖化の影響で、ミドリイシ類など本来は熱帯域に多いサンゴの分布域が北へ広がってきており、白化で失われつつあるサンゴの「避難先」として注目されています。
ただ、高緯度サンゴについては研究が少なく地域の生活との関わりも薄いため、認知や保全があまり進んでいません。地域ごとに調査や保全の活動は行なわれているものの、互いに連携できていないことも課題です。そこでWWFジャパンは2023年から黒潮生物研究所と協力し、各地での調査への参加や「高緯度サンゴサミット」等を通じた情報発信を行ない、高緯度サンゴ群集の認知向上と保全の輪を広げています。

爆破漁業を探知する装置の海中への設置
© Faridzuan Jaiby / WWF-Malaysia

爆破漁業を探知する装置の海中への設置

マレーシアでの爆破漁業対策
サンゴ礁のホットスポットであるコーラル・トライアングルにある各国では、薬物等を水中で爆破して魚を獲る爆破漁業が行なわれています。爆破漁業は多くの国で違法な漁法とされていますが、安価かつ容易な漁法のためで現在も存在し、サンゴ礁生態系への大きな脅威となっています。サンゴを物理的に破壊し、他の生きものの棲み処も奪い、生態系が劣化することで漁場としての価値も低下を招き、サンゴが自然に回復できたとしても長い年月が必要となります。
WWFジャパンは、2023年からWWFマレーシアと共同で爆破漁業の発生状況調査や、地域住民によるパトロールの実施、関係する複数の行政機関と連携した取締体制の強化と実行等、その発生を低減することで、サンゴ礁生態系を守る取り組みを実施しています。

こうした活動の他、小中学校での出前授業や一般市民向けのイベント通じて、サンゴ礁生態系と人間とのつながりや課題を伝え、サンゴを守るために一人ひとりができることを考える普及啓発活動を行なっています。

また、長年フィールドプロジェクトを実施してきた沖縄県・石垣島白保地区での地域NPOや住民によるサンゴ保全の取り組みに対するサポートとして、沖縄県への要望書の提出等、保全政策の提言活動にも取り組んでいます。

WWFと日本自然保護協会が環境に配慮した浄化槽ルールの基準づくりを求める要望書を沖縄県に対し提出

石垣市白保におけるリゾートホテル建設計画の開発許可に関する要望書

プラネタリウムでのサンゴ関連イベント
© WWF-Japan

プラネタリウムでのサンゴ関連イベント

今日できる身近なアクション

サンゴは日本の23都県の沿岸域に生息し、海の生きものだけでなく、人間の暮らしにもいろいろな形で自然の恵みをもたらしてくれます。普段サンゴに触れる機会が少ない人でも、実は身近なところにサンゴとのつながりがあります。

サンゴのいる豊かな海と、そこに支えられている人間の暮らしを守るために、日常の中でできることはたくさんあります。本日3月5日の「サンゴの日」を契機に、より多くの方がサンゴに思いを寄せ、保全への行動に参加していただくことが、大きな力となります。

一人ひとりにできるアクションや気候変動と人間の生活との関わりについてまとめたこちらの記事もぜひご覧ください。

環境保全のために普段の暮らしの中でできること
地球温暖化の防止に向けて:一人一人にできる対策

※1ここでのサンゴは、有藻性サンゴ(石灰質の骨格を持ち、褐虫藻と呼ばれる藻類が体内に共生している刺胞動物の総称)を指します。
※2 Status of Coral Reefs of the World: 2020 Executive Summary
※3 Impacts of 1.5°C of Global Warming on Natural and Human Systems

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