【動画のご紹介】海洋課題解決に向けたブルーファイナンスの可能性
2026/07/01
- この記事のポイント
- 海洋環境が悪化をし続ける中、海洋資源の持続的な利用を目的とした金融のあり方が「ブルーファイナンス」として注目を集めています。WWFジャパンでは、日本における実例も交えながら投融資がどのように海洋水産環境の保全に貢献できるか理解するためのブルーファイナンス入門編となる動画を制作しました。
動画を見る
本動画では、深刻化する海洋環境問題に対して、金融の力を活用したサステナブルなブルーファイナンスの実践事例が紹介されています。テーマは、投融資を通じて持続可能な漁業と海洋保全をどのように両立させるかです。

海洋環境における様々な問題
舞台となる三重県・鳥羽では、漁業活動に伴って発生するプラスチック製の廃漁具の問題が取り上げられています。使用済みの漁網やロープなどは、適切に処理されなければ海へ流出し、「ゴーストギア」と呼ばれる海洋ごみとなり、生態系に深刻な影響を及ぼします。この課題に対し、廃漁具を買い取り、再資源化・アップサイクルする取り組みが進められています。

牡蠣養殖に使われるロープについて解説する浅尾氏(株式会社浦村シーファーム)
南極観測船の航海士だった際、海面を漂うプラスチックを見て起業に至ったという、株式会社REMARE(リマーレ)の間瀬氏。プラスチックが海に流れ込んでしまわないよう、循環する仕組みをみんなで考えて行きたいと言います。

株式会社REMARE代表取締役の間瀬氏
その志に賛同し、株式会社REMAREでは十文字氏・颯田氏をはじめとする社員たちが廃漁具のアップサイクルに取り組んでいます。

「廃漁具は自分たちにとっては資源。もっとあったらもっとテンションが上がります」と語る十文字氏(株式会社REMARE)

「三重県の漁具は黒色のものが多いので黒い製品に関しては基本的には漁業ゴミ由来で作っています。」と語る颯田氏(株式会社REMARE)
ゴーストギアについて詳しく知りたい方はこちら:
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/5041.html
こうした現場の活動を支えているのがサステナブルなブルーファイナンスです。これは、海洋環境の保全や持続可能な水産業を可能とする投融資であり、単なる資金提供にとどまらず、環境価値の創出と地域経済の活性化を同時に実現する点に特徴があります。具体的には、廃棄物削減や資源循環の取り組みに資金を供給することで、漁業者の負担軽減と新たな収益機会の創出を後押ししています。
“水産業は、海洋環境という大きなプラットフォームの上に乗ったアプリのひとつ”
株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングでは、ミュージックセキュリティーズ株式会社と協働のもと、フィッシャーマンジャパン・ブルーファンドを設立し、こういったサステナブルなブルーファイナンスに取り組んでいます。
代表取締役の津田氏は「水産業は、海洋環境という大きなプラットフォームの上に乗ったアプリのひとつ」と語ります。プラットフォームが損なわれてアプリが使えなくなるのを防ぐためにサステナブルなブルーファイナンスに取り組んでいると話します。
フィッシャーマンジャパン・ブルーファンドでは融資先の選定を行う際、その事業が海洋環境保全に資するかどうかを一番大事なポイントとしつつ、リターンを得られるよう事業の継続的な収益性も評価項目としていると言います。

株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング代表取締役 津田氏
こうした取り組みは企業や金融機関にとっても重要な意味を持ちます。自然資本への影響や依存が重視される中、環境・社会課題の解決に資する投資は評価の対象となり、持続可能なビジネスモデルへの転換を促進します。ブルーファイナンスは、海洋課題への対応を「コスト」ではなく「価値創出の機会」として捉え直す枠組みともいえます。

既存のリニアなエコノミーでは、海洋環境の損失が事業者や金融機関への損失となります

サステナブルなブルーエコノミーでは、循環経済のもと、価値も循環します
サステナブルなブルーファイナンスの実装を後押しするために立ち上がったのが、持続可能なブルーエコノミーイニシアチブです。国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)の枠組のもと、欧州委員会(EC)、世界自然保護基金(WWF)、世界資源研究所(WRI)、欧州投資銀行(EIB)などの協働により設立されました。
持続可能なブルーエコノミーイニシアチブに参加している金融機関の主導により、14箇条からなるブルーファイナンス原則リストが提唱されました。

UNEP FIサステナブルなブルーファイナンス原則リスト
動画は最後に、WWFから金融機関へ3つの呼びかけで締めくくられています。
① 海洋資源に依存する水産業などのセクターと対話し、サステナビリティに関する課題および対策をビジネスチャンスに変える方法を考えていくこと。
② ブルーファイナンス原則などの国際的な枠組に参加し、国内外の金融機関と再先端の情報を共有すること。
③ ESGのリスクマネジメントを向上させるために水産セクターポリシーを策定し、持続可能な水産業へ投融資すること。
本動画は、地域の具体事例を通じて、海洋環境の改善と経済活動の両立が可能であることを示すとともに、今後の水産業や金融のあり方に新たな視点を提示しています。
担当:
WWF海洋水産グループ
fish@wwf.or.jp



