© David Lawson / WWF-UK

国際ネコの日に知りたい、雲をまとうネコ「ウンピョウ」


ウンピョウという名前を聞いたことはありますか?香港アクションスターの姿が思い浮かんだあなたは、きっと私と同世代。昔話に花を咲かせたいところですが、今日の主役は人ではなく、ネコ。ウンピョウの名前の由来は、体に描かれた大きな「雲」のような模様です。英語でも Clouded Leopard(雲に覆われたヒョウ)と呼ばれ、その独特な斑紋はネコ科動物の中でもひときわ印象的です。

ウンピョウの模様は、ヒョウ柄やジャガーのロゼット柄とは違い、一つひとつの斑紋が大きく、不規則な形をしていて、体の側面に並ぶ様子はまるで森に浮かぶ雲のよう。この模様は美しいだけではありません。木漏れ日が差し込む森林では、光と影がまだらに地面や樹上を覆います。ウンピョウの体はそんな環境に溶け込みやすく、獲物に気づかれにくくする役割を果たしていると考えられています。

2000年代に入って、東南アジアの島しょ部のボルネオウンピョウ(Neofelis diardi)は、ユーラシア大陸に生息するウンピョウ(Neofelis nebulosa)とは別種とされた。写真はボルネオウンピョウ。
© Alain Compost / WWF

2000年代に入って、東南アジアの島しょ部のボルネオウンピョウ(Neofelis diardi)は、ユーラシア大陸に生息するウンピョウ(Neofelis nebulosa)とは別種とされた。写真はボルネオウンピョウ。

実際にウンピョウは、主にアジアの熱帯・亜熱帯の森林で暮らす「森のハンター」です。長い尾や発達した四肢を使って木の上を巧みに移動し、樹上生活に適応しています。しかし、近年の調査では、インド東ヒマラヤの標高4,650mという高地でも記録され、その行動や生態にはまだ多くの謎が残されていることがわかってきました。

しかし、生息環境に適した模様が災いすることもあります。ウンピョウは長年にわたりその美しい毛皮を目的とした違法取引の対象となってきました。さらに近年は毛皮だけでなく、歯や骨、爪なども取引される例が報告されています。アジアの大型ネコ科動物を対象とした調査では、ウンピョウもボルネオウンピョウも未だ違法取引の影響を受け続けていることが明らかになっています。

タイ―ミャンマー国境の市場で売られていたヒョウ、ウンピョウやトラの毛皮。2000年代初めに撮影された写真。
© Gerald S. Cubitt / WWF

タイ―ミャンマー国境の市場で売られていたヒョウ、ウンピョウやトラの毛皮。2000年代初めに撮影された写真。

世界ネコの日は、家で暮らす飼いネコだけでなく、森で生きる野生のネコたちにも目を向ける日です。雲のような模様は、ウンピョウが長い進化の中で獲得した“森に生きるためのデザイン”。その美しさを「ほしい」と思うのではなく、「守りたい」と思う人が増えることが、この雲を纏う野生ネコの未来につながるのかもしれません。

展示施設の狭い檻で飼われているウンピョウ
© WWF-Indonesia / Erwin Sofyan

展示施設の狭い檻で飼われているウンピョウ

WILDCTAS その瞳に映る危機

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、青年海外協力隊(現 JICA海外協力隊)を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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