© Gerald S. Cubitt / WWF

国際ネコの日:日本にもいる野生ネコ


今日、8月8日は国際ネコの日。動物福祉団体IFAWが創設したネコについて学ぶ日です。
今日は、日本にもその亜種がいるベンガルヤマネコをご紹介します。
ベンガルヤマネコは、東・東南アジアを中心に西はバングラデシュから東はロシア東端の沿岸地方まで広範囲に分布しています。生息域が広く多様であるため、その生息地に適した特徴を持つ亜種も多く存在します。

そのうち、日本には2亜種が生息しています。長崎県・対馬島のツシマヤマネコと沖縄県・西表島のイリオモテヤマネコです。

ツシマヤマネコ(Prionailurus euptilurus tsushimae)は、だいたいイエネコと同じくらいの大きさです。従来、ベンガルヤマネコの亜種とされてきたアムールヤマネコ(近年、分類の見直しが提唱され、別種として扱われるようになってきました)の固有亜種とされています。環境省レッドリストでは最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧IA類に、種の保存法では国内希少野生動植物に指定されています。<br>先日、本種の体内から発がん性などが指摘されるPFAS (有機フッ素化合物) が高濃度で検出されたという研究結果が公表されました。人間が原因となる新たな脅威の出現にとても申し訳ない気持ちになります。
©A machun, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

ツシマヤマネコ(Prionailurus euptilurus tsushimae)は、だいたいイエネコと同じくらいの大きさです。従来、ベンガルヤマネコの亜種とされてきたアムールヤマネコ(近年、分類の見直しが提唱され、別種として扱われるようになってきました)の固有亜種とされています。環境省レッドリストでは最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧IA類に、種の保存法では国内希少野生動植物に指定されています。
先日、本種の体内から発がん性などが指摘されるPFAS (有機フッ素化合物) が高濃度で検出されたという研究結果が公表されました。人間が原因となる新たな脅威の出現にとても申し訳ない気持ちになります。

イリオモテヤマネコ( Prionailurus bengalensis iriomotensis )もイエネコと同じくらいの大きさで、こちらは、ベンガルヤマネコの固有亜種です。本種も環境省レッドリストの絶滅危惧IA類及び種の保存法の国内希少野生動植物に指定されています。なお、1960年に発見された当初は、独立種とされていました。WWFジャパンは、西表島で本種の生息地の回復にも資する湿地再生の活動を行なっています。
© 鈴木直樹

イリオモテヤマネコ( Prionailurus bengalensis iriomotensis )もイエネコと同じくらいの大きさで、こちらは、ベンガルヤマネコの固有亜種です。本種も環境省レッドリストの絶滅危惧IA類及び種の保存法の国内希少野生動植物に指定されています。なお、1960年に発見された当初は、独立種とされていました。WWFジャパンは、西表島で本種の生息地の回復にも資する湿地再生の活動を行なっています。

これら日本に生息する野生のヤマネコの主な脅威は、生息地の減少・劣化とロードキルですが、中国南部の個体群がさらされている脅威は、ちょっと意外なものです。IUCNのレッドリストによると、近年はペットとして飼育するための捕獲や、イエネコとの交雑による遺伝子汚染の懸念が増しているということです。

ベンガルヤマネコをイエネコと交配させた個体を起原とする「ベンガル」という品種があります。そのワイルドな外観と人懐こい性格から世界的に人気のネコです。猫種登録団体の TICA は、そのスタンダードの中で野生種との交雑が一定世代を超えた個体のみを 登録可能としているため、ベンガルヤマネコとイエネコの交配は行われませんが、人間が好みの外観のペットを得るために人為的に野生動物の交雑をおこなっていたことを忘れてはいけないと思います。
© WWF-Japan

ベンガルヤマネコをイエネコと交配させた個体を起原とする「ベンガル」という品種があります。そのワイルドな外観と人懐こい性格から世界的に人気のネコです。猫種登録団体の TICA は、そのスタンダードの中で野生種との交雑が一定世代を超えた個体のみを 登録可能としているため、ベンガルヤマネコとイエネコの交配は行われませんが、人間が好みの外観のペットを得るために人為的に野生動物の交雑をおこなっていたことを忘れてはいけないと思います。

中国の国内法でベンガルヤマネコの飼育・繁殖には特別な許可が必要とされています。しかし、違法な飼育や繁殖が行なわれているという報告があります。

飼育や繁殖目的で野生の個体を捕獲するのは、直接野生個体の数を減らすことを意味しますし、交雑個体が野に放たれたら、野生のベンガルヤマネコに感染症をうつしたり、遺伝子汚染を引き起こしたりしてしまう恐れがあります。

日本でも多くの動物がペットとして利用され、なかには入手の適法性や由来が疑わしい個体も販売されています。

ペットを飼うことで飼い主はとても多くのことを学べますし、幸せな気持ちになります。私も、愛猫がいてくれることを日々感謝しています。

そんなペット飼育が野生動物に悪影響を与えることがあってはなりません。動物を飼うなら、その個体の由来、ブリーダーや販売店が信頼できるかを事前に良く調べてください。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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