公開講座「野生ネコに迫る危機とは」を開催
2026/08/07
- この記事のポイント
- 2026年8月2日、東京都「よみうりカルチャー錦糸町」にて公開講座「WILD CATS~野生ネコ科動物に迫る危機とは?~」を開催いたしました。当日は酷暑の中、小学生から大人の方まで幅広い世代の方26名の皆さまにご参加いただきました。ご参加いただいた皆さまへ改めて御礼申し上げます。

会場とオンラインでのハイブリッド開催。双方からご質問をいただき、活発な公開講座となりました。
カメラトラップがとらえた、野生ネコたちの姿
講座では、アマゾンにおけるジャガーの生息状況を調べるための「カメラトラップ」調査や、西表島でのイリオモテヤマネコの生息地保全活動などを紹介しました。また、ユキヒョウ保全については、遊牧民の家畜を守り、人々の暮らしを安定させることが、結果としてユキヒョウの「食」を維持することにもつながることを、現地の写真や映像を交えながら紹介しました。

写真や映像を交えながら、ジャガーの生態調査やトラ、ユキヒョウ保全活動を紹介しました。
私たちの暮らしと野生ネコのつながり
質疑応答コーナーでは、現地参加の方、オンライン参加の方双方から予定時間を大幅に超えて大変多くの方にご質問いただき、ご参加いただいた皆様の関心の高さを我々も実感することができました。当日の様子を少しではありますが、ご紹介します。
Q.私たちが、普段の暮らしの中で野生ネコを守るためにできることは?
たとえば、アイスクリームやスナック菓子、カップ麺、洗剤、化粧品。これらの製品には、アブラヤシから採れるパーム油が原材料として広く使われています。日本で暮らす私たちも、気づかないうちに毎日のように口にし、使っています。このアブラヤシを育てるプランテーションの開発が、熱帯林を切り開き、分断する大きな要因となり、そこにすむトラやオランウータンなどの野生動物が生きる場所を失っています。生息地が減るだけでなく、個体群どうしの行き来も難しくなくなり、やがてその集団は、繁殖相手を見つけられずに絶滅していきます。パーム油を使うこと自体が悪いわけではありません。問題は、どのようにつくられたパーム油なのか、という点にあります。WWFは生産の効率を上げ、森を壊さないパーム油の生産を支援してきました。消費者の皆さんも、そうして作られたパーム油を選ぶことで、遠い森にすむ野生ネコたちを守る、確かな一歩に繋げることができます。

紙や木材はFSC認証、パーム油はRSPO認証といった、持続可能な生産に配慮した製品を選ぶこと。それは、遠く離れた森で暮らす野生ネコたちの生息地を守ることに、確かにつながっています。
Q. 地域の人たちと野生動物の保護に取り組む時、難しいことは何ですか?
一番大変なことは、地域の方々に、ご理解と信頼をいただくことです。
野生動物に対する認識や事情は、その地域の宗教や文化によっても異なります。それでも、ユキヒョウの場合であれば、家畜を襲われれば、それは当事者にとっては暮らしを直撃する死活問題です。だからこそ、「守ってください」とお願いするだけでは改善されません。例えばコラルの改良手段を提供するなど、目の前の被害を実際に減らす具体的な解決策を持っていくこと。そして、地道な対話を重ねて信頼を築いていくことで、地域の人にとっても持続可能でメリットが得られるような仕組みづくりを進めることが重要です。WWFだけでなく地元政府や自治体、大学などといっしょに協力しながら、そうした取り組みを実施していくことが、保全活動の土台となっています。
Q. 「イリオモテヤマネコ」の生息地を復元する取り組みで紹介されていた水生昆虫やカエルたちは、自然に戻ってきたのですか。それとも人が放したのですか。
このケースでは、周辺で生き延びていたものが、環境回復により戻ってきた事例です。水生昆虫などは空を飛んできますし、水生植物は土の中の種が何年もたってから芽を出すことがあります。人為的に人の手で増やす取り組みも稀にありますが、今回のケースではそうした自然の力を頼った回復目指す形で取り組みました。このような回復の成功は、現場で活動を続ける人たちにとっても、大きな励みとなっています。

長時間の講座が終了した後も、残っていただき多くのご質問をいただいて、お話することができました。双方向でコミュニケーションできるのは、WWFのスタッフにとっても貴重な場となります。
講座でもご紹介した寄付キャンペーン「WILDCATS~野生ネコ科動物に迫る危機とは?~」は、2026年8月31日まで実施しております。
ぜひ、皆さまのご支援をお願いいたします。




