再び違法取引、今度はオーストラリア固有のトカゲ
2026/09/25
- この記事のポイント
- 2026年8月、日本に200頭ものトカゲを密輸しようとした事件が発覚。社会的にも大きく注目されました。それに続き、9月25日、またも絶滅の危機にある野生動物の違法取引が摘発されました。これらはいずれも、日本でのペットとしての販売を目的とした取引に関連した違法行為です。今回の事件の概要と問題のポイントを解説します。
またも希少なトカゲが違法取引の犠牲に!
どんな事件が起きた?
国内外の希少な野生動物を保護する「種の保存法」に違反した行為が発覚しました。販売や広告する際、環境省の登録票を付けることが、同法で義務付けられているアデレードアオジタトカゲ(Tiliqua adelaidensis)を、容疑者は登録票が付いていないにもかかわらず購入し、逮捕されたのです。(報道による情報)
このトカゲはどんな動物?
アデレードアオジタトカゲ(Tiliqua adelaidensis)は、オーストラリアにだけ分布する固有種で、同国南東部の限られた草原地帯にだけ生息しています。農地開発などの影響により、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでも「EN:絶滅危惧種」に選定されています。
ペットとしての人気は?
この種(しゅ)を含むアオジタトカゲ属(Tiliqua spp.)は日本でもペットとして人気があります。オーストラリアではこうした固有種の輸出を禁止していますが、海外市場で流通していることが確認されており、違法な持ち出しが懸念されています。

アデレードアオジタトカゲと同属のマツカサトカゲ(Tiliqua rugosa)。日本でもペットとして人気がありますが、2019年に日本人が関わる密輸事件が摘発されました。
今回の事件の注目ポイント
この事件で取引されていたアデレードアオジタトカゲの個体は、オーストラリアから第三国を経由して、日本に持ち込まれたと考えられます。これは、逮捕の直接の原因となった「種の保存法」の違反だけにとどまらない、もう一つの問題点です。
オーストラリアの対応
オーストラリア政府は2022年11月、取引規制によって野生動植物を絶滅から守る「ワシントン条約(CITES)」の締約国会議で、このトカゲの商業目的での輸出入を禁止することを求め、採択されました。これは、個体数の減少が懸念されるアデレードアオジタトカゲに対する捕獲や取引の圧力が大きく、保護のためには現状の規制だけでは不十分であると同国が判断した結果によります。
日本の対応
日本もこの「ワシントン条約」会議での決定を受けて、本種を種の保存法の国際希少野生動植物種に指定。
この国際希少野生動植物種に指定された種は、有償・無償を問わず、国内での譲渡や販売、またはそのための広告・陳列をする場合には、環境省への登録が義務付けられます。さらに、この登録の対象には、規制前に日本に輸入された個体も含まれます。
今回の事件は、この法律で義務付けられた登録手続きを怠ったことで発生しました。
法律を守ることは、野生動物を守る第一歩
報道によれば、容疑者は取引していたアデレードアオジタトカゲが「法律の規制対象種であることを知らなかった」と説明しているとのことです。
しかし、生きものを扱うペット事業者には、野生動物の取引に関連した法律を事前に確認、遵守する責任があります。
そしてこのことは、こうした珍しい野生動物をペットとして購入することを希望する、日本の一般の消費者も同じです。
保護を目的に制定されている法的な規制、ルールを守ることは、野生動物を守る上での最初の一歩なのです。

インドネシアにも生息するキタアオジタトカゲ(Tiliqua scincoides)。日本国内でも広く流通しており、飼育下繁殖個体も多く取引されています。しかし、見た目だけでその個体が適法なルートで流通しているかを判断することはできません。事業者は個体の由来や入手経路を開示し、消費者はそれを確認することが重要です。
アオジタトカゲ属のトカゲをはじめ、「珍しい」「かっこいい」ペットとして、日本でも人気のある野生動物は少なくありません。
しかし、それを取引したり、飼育したりする行為には、違法取引のリスクが隠れていることを忘れてはなりません。
事業者と消費者がともに問題意識を持ち、まず対象となる動物のことをきちんと理解すること、そして「その個体はどこから来たのか」と問い続けることが、危機にある野生動物を守ることに繋がります。
