© Anthony Goldman

ヒョウとクロヒョウの違いとは? ~ネコ科動物が教えてくれる自然の世界【1】

この記事のポイント
世界の各地に生息するネコ科の野生動物たち。その生態や生息環境、また危機の現状に注目すると、今の地球の自然の姿が見えてきます。そんなネコ科動物にかかわるさまざまな話題をご紹介します。今回は「クロヒョウ」のお話です!
目次

ヒョウとクロヒョウは別の動物?

精悍なまなざしと、高い運動能力、そして美しい毛皮の文様が魅力の野生動物、ヒョウ。

ヒョウは世界に5種が知られる大型ネコ科動物(ヒョウ属)に分類される動物で、アジアとアフリカに広く分布。5種の中では最も広い分布域を持ち、それぞれの生息域の生態系ピラミッドの頂点に立つ存在です。

そんなヒョウですが、「クロヒョウ」という名を聞いたことはないでしょうか?

きれいなヒョウ柄の毛皮ではなく、全身が黒い毛に覆われたヒョウです。

このクロヒョウは、一見別の動物に見えますが、分類としては、ヒョウとクロヒョウは別の種ではなく、同じ種(しゅ)。

同じヒョウでも、毛にメラニン色素の量が多い個体だとクロヒョウになるのです。

カメラトラップで撮影されたヒョウとクロヒョウ

©DNP & WWF Thailand

クロヒョウは調査が難しい?

クロヒョウは稀に生まれてくる個体に限られるので、数が多いわけではありません。

それでも上記のように、調査用の自動カメラ(カメラトラップ)が、その貴重な姿を捉えることもあります。

しかし、このクロヒョウ、調査においては難しい一面を持っています。

野生のネコ科の動物を調査する場合、通常は1頭1頭異なる毛皮の模様で個体を識別します。

ところが、クロヒョウは模様が見えないため、普通に撮影しても判別できません。

マレーシアにはクロヒョウが多く生息している地域があるそうで、そこでは赤外線カメラトラップを使っており、これだと隠れた模様がちゃんと見えるそうです。

ちなみに、アメリカに生息する同じ大型ネコ科動物のジャガーも、毛色の黒い個体が稀に見つかっています。

© David Lawson / WWF-UK

クロヒョウならぬクロジャガー。こちらも毛色は違いますが、ジャガーと同じ種です。

ヒョウたちが生きられる自然を未来に!

広い分布域を持つヒョウは、環境への適応力が非常に高い動物です。

アムールヒョウ、ペルシャヒョウ、コーカサスヒョウ、セイロンヒョウなど、生息する地域ごとに異なった「亜種(あしゅ)」も多く存在しており、熱帯林からサバンナ、高山など、多様な景観に適応する力を持つことでも知られています。

しかし、現在は世界的にも絶滅が懸念されており、保護活動が必要とされています。

地球の環境問題が深刻化の一途をたどる中、世界の生物多様性の豊かさは、過去半世紀の間に7割以上が失われました。

絶滅の危機にある野生生物の種数は、4万8,000種にも上っています。

生態系の頂点に立つネコ科の野生動物も、39種のほぼ半分が絶滅危惧種。ヒョウもまた、この中に含まれています。

この野生動物たちが生きられる自然を守ることは、地球環境を保全することにもつながります。

ぜひこの問題について、ご一緒に考えてみませんか?

© Howard Buffett / WWF-US
WILDCTAS その瞳に映る危機

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