© Aritra Kshettry / WWF-India

マヌルネコ、カラコルムで確認!


今日4月23日は、国際マヌルネコの日です。
先月、保全の学術専門誌『Oryx』にインド北部ラダックのカラコルム野生生物保護区で、初めてマヌルネコの存在が確認されたという報告が掲載されました。

この保護区は、ラダック北部ヌブラ地域の標高2,690~8,572 mという高地に位置し、ユキヒョウやオオヤマネコなどの生息地として知られています。

ヒンドゥークシュ山脈~カラコルム山脈のユキヒョウ。ヒンドゥークシュ山脈は西のアフガニスタンからパキスタン北部に広がり、東側でカラコルム山脈と接続し、ラダックを含む高山地域を経てヒマラヤ山脈へと連なり、その先にチベット高原が広がっています。
© Muhammad Osama/WWF-Pakistan

ヒンドゥークシュ山脈~カラコルム山脈のユキヒョウ。ヒンドゥークシュ山脈は西のアフガニスタンからパキスタン北部に広がり、東側でカラコルム山脈と接続し、ラダックを含む高山地域を経てヒマラヤ山脈へと連なり、その先にチベット高原が広がっています。

保護区内に生息する肉食動物の食性を調べるためにフンの収集と解析が行なわれました。調査チームは、フンダル・ドク(Hunder Dok)という場所で見慣れないフンを見つけました。この検体のDNA解析を行ない、マヌルネコが排泄したものであることが判明しました。また、フンに含まれる毛を調べて、獲物となった動物がナキウサギとマーモットであったことも突き止めました。

巣穴から周囲の様子を伺うナキウサギ。マヌルネコの他、キツネ、ユキヒョウや猛禽などの重要な獲物として生態系を支えています。
© Staffan Widstrand / Wild Wonders of China / WWF

巣穴から周囲の様子を伺うナキウサギ。マヌルネコの他、キツネ、ユキヒョウや猛禽などの重要な獲物として生態系を支えています。

2025年秋にアルナーチャル・プラデーシュ州高地でのマヌルネコ初確認のニュースをお伝えしましたが、研究者の地道な努力によってマヌルネコの生息環境や獲物の情報が集まることで、より適切な保全ができるようになります。本種は、IUCNレッドリストにおいて、絶滅の危険は低いとされていますが、個体数は減少傾向にあり、生息地の分断が指摘されています。今回の研究でもラダックからチベット高原につながる広域的なマヌルネコの生息が示され、国境を越えた保全の重要性が改めて示されました。

標高5,000mのチベット高原のマヌルネコ。今回の研究成果は、ラダックのマヌルネコとチベット高原の個体群との生態学的なつながりを示唆するものでもあります。
© Staffan Widstrand / Wild Wonders of China / WWF

標高5,000mのチベット高原のマヌルネコ。今回の研究成果は、ラダックのマヌルネコとチベット高原の個体群との生態学的なつながりを示唆するものでもあります。

マヌルネコの生息地には、ロシアやイランも含まれています。人間が起こす紛争は、まったく無関係の野生動物にも甚大な影響を与えます。ただでさえ分断が課題となっている生息地がこれ以上劣化したり断ち切られたりしないためにも、紛争終結と平和の確立を強く望みます。

ユキヒョウの画像

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、青年海外協力隊(現 JICA海外協力隊)を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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