レッドリストが教えてくれる、身近な両生類・爬虫類の危機
2026/04/07
両生類や爬虫類は、独特の魅力をもつ生きものですが、実は多くの種が自然の中で厳しい状況に置かれています。
環境省の最新の第5次レッドリストによると、日本にいる両生類と爬虫類140種(掲載種数)のうち、なんと96種が絶滅のおそれの高い「絶滅危惧種」と評価されています。限られた場所にしか住めない種類も多く、環境の変化の影響を受け易いことが背景にあります。
例えば、釧路湿原周辺で進む太陽光発電事業問題で有名になったキタサンショウウオ(EN:絶滅危惧IB類)は、「生息地改変の場合の代替措置としては移殖を行うことが多く、しかも移殖後に集団が長期に存続した事例がない」とレッドリストと同時に公表されたレッドデータブックに書かれている通り、環境変化の影響を非常に受け易い種です。

(一社)野生生物域外保全センターで飼育されているキタサンショウウオ(Salamandrella keyserlingii)。
第5次レッドリストでは、絶滅危惧IB類と評価された両生類が大幅に増えました。これには、特にサンショウウオ属(Hynobius)の分類細分化が進んだことも関係しているでしょう。
生息環境の減少・劣化に加え、人による利用が絶滅の危機に拍車をかけているケースもあります。
今回絶滅のおそれが高まったと評価されたニホンイシガメとリュウキュウヤマガメは、どちらも国内外でのペット利用目的の捕獲が脅威の一つに数えられています。
実際、ペットショップや爬虫類フェアなどでニホンイシガメを見かけることは珍しくありません。
国指定の天然記念物及び種の保存法の国内希少野生動植物種に指定され、国内取引が禁止されているリュウキュウヤマガメは、海外のペット市場で人気があり、昨年秋にも外国籍の男女による密猟事件が起こりました。

飼育下の二ホンイシガメ。第4次レッドリスト(2020年)では準絶滅危惧でした。
もちろん、両生類や爬虫類を飼育すること自体は悪いことではありません。
絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会委員、爬虫類・両生類分科会の松井正文座長は、「基礎的なデータは座っていれば集まるようなものではないから、多くの自然愛好家に呼びかけ、協力を仰ぐ必要がある」と生息情報入手の重要性を語っています。
野生生物の飼育・栽培が、ただ、「きれいだから」「珍しいから」といった理由だけで安易になされるのではなく、その生き物の背景にある自然環境の現状を知る目を養い、保全に貢献する自然愛好家を育てるのに繋がることを期待したいと思います。



