© Neil Aldridge / naturepl.com / WWF

パリの胃袋を突撃!海から食卓をつなぐ持続可能な水産市場の実態


先日、国際会議出席に合わせ、パリ郊外の「ランジス国際市場(Marché International de Rungis)」を訪れました。

午前3時、静まり返るパリの街をIUUフォーラムジャパンのメンバーとともに出発し、約45分かけて「パリの胃袋」と呼ばれる巨大市場へ向かいました。

世界最大の生鮮卸売市場であるランジスは、234ヘクタール(東京ディズニーランドの約4.6倍)の敷地に約1,190社が集まり、肉類、魚介類、野菜、果物、生花などを扱っています。

午前4時寸前に水産エリアに到着すると、ターレーが勢いよく行き交い、本日の取引を終えた魚が束ねられて次々と運ばれていきます。

水産市場の様子です。
© Maya Takimoto/ WWF

水産市場の様子です。

山積みになっている発泡スチロールの箱にはバーコード付きのラベルが貼られ、商品名や生産方法、使用漁具、学名、漁獲域が丁寧に表示されていました。

2026年1月からヨーロッパでは漁獲証明書制度の完全電子化(CATCHシステム使用義務化)が始まり、漁獲から輸入、販売までの情報が一貫してデジタルで管理されるようになりました。

沢山のタイセイヨウアカウオ(セバステ)が山積みになっています。
© Maya Takimoto/ WWF

沢山のタイセイヨウアカウオ(セバステ)が山積みになっています。

セバステのフィレ、主にFAO27Vゾーン(アイスランド周辺海域)にて底引き網みで漁獲されていることが明記されています。
© Maya Takimoto/ WWF

セバステのフィレ、主にFAO27Vゾーン(アイスランド周辺海域)にて底引き網みで漁獲されていることが明記されています。

MSC認証の塩漬けタラのフィレ、主に北東または北西大西洋で釣り針とラインで漁獲されていことが明記されています。
© Maya Takimoto/ WWF

MSC認証の塩漬けタラのフィレ、主に北東または北西大西洋で釣り針とラインで漁獲されていことが明記されています。

豊かな食卓からIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)由来の水産物を排除し、消費者が安心して選べる環境を整える重要な仕組みです。

同日にパリ市内の魚市も訪問しました。早朝に市場でみたような水産品が氷の上に並び、通りがかりのお客さんにも漁獲域や漁具が見えやすいように表示していました。

日本にとっても、この消費者への表示に加え、効率のよい水産品の管理のためにデジタル化の動き良い参考になります。持続可能な水産物を選ぶ上での「消費者の責任」を、パリの市場から改めて感じる機会となりました。日本でも近い未来、このような取り組みが進むようWWFジャパンは活動を進めていきます。

ヨーロッパの最新の漁獲情報の伝達と表示制度については、2026年2月に公開されたこちらの報告書でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。 https://www.wwf.or.jp/press/6186.html

(自然保護室 奥山杏子)

*IUUフォーラムとはWWFジャパンが他団体と一緒に2017年に発足した、IUU漁業対策に関して多様なステークホルダーに働きかけるための市民社会プラットフォームです。

この記事をシェアする

自然保護室 (海洋水産)
奥山 杏子

上智大学法学部国際関係法学科(法学士)、パリ政治学院環境政策修士を取得。大学3年生の時から様々な環境NGOでの取り組みに関わり、修士取得後から国際環境NGOで法律・政策リサーチャーとして勤める。2025年にWWFジャパン入局。IUU(Illegal違法、Unreported無報告、Unregulated無規制)漁業対策担当として、水産物の持続可能性を国内と国外の場で従事。

幼少期から引っ越しが多く、珊瑚が美しい海、バッファローが歩きまわる国立公園や劣悪なゴミの山などといろいろな環境をみてきました。地球は一つしかなく、運命共同体です。これを忘れず、私にできることは何がるのか、いつも考えて行動しています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP