©WWF Japan/Y. Okamoto

専門誌上でコツメカワウソの取引について発表!


カワウソ類の中で最小であるコツメカワウソ。

かつてTV番組やSNSの影響で日本におけるペット需要が急増し、多くのコツメカワウソがペット目的で日本に輸入され、複数の密輸事件も発覚しました。

コツメカワウソはもともと生息地における環境破壊や毛皮目的の乱獲により数を減らし、IUCNレッドリストでVU(危急種)に指定される絶滅危惧種。

こうした日本をはじめとするペット需要の増加が絶滅リスクを高めるとして2019 年にワシントン条約附属書Ⅰに掲載され、国際取引は原則禁止となりました。

野生のコツメカワウソは東南・南アジアの水辺に生息しています。2000年から2019年の間に、少なくとも10件(計62頭)の日本に向けた密輸が発覚しました。
©WWF Japan/Y. Okamoto

野生のコツメカワウソは東南・南アジアの水辺に生息しています。2000年から2019年の間に、少なくとも10件(計62頭)の日本に向けた密輸が発覚しました。

国際取引は原則禁止になった一方、日本では依然過去に輸入されたコツメカワウソのペット飼育やアニマルカフェでの展示が見られます。

また日本で本種のペット利用が引き続き行なわれていることは国際的にも認知度が高く、国外の専門家から輸入状況や国内取引に対する規制について疑問の声が上がっていました。

そこで、今後の保全活動や普及啓発に役立てるため、日本でのこれまでのコツメカワウソのペット取引や規制状況を論文にまとめ、国際的な専門誌上で発表することにしました。

THE CURRENT STATUS OF REGULATION OF ASIAN SMALLCLAWED OTTERS Aonyx cinereus TRADE IN JAPAN(日本におけるコツメカワウソの取引に対する現在の規制状況について)

今回のデータ分析では、ワシントン条約のデータベースに記録されている2019年までの取引のうち、日本が最多である354頭の生きたコツメカワウソを商業目的で輸入していたことが明らかになりました。

今回のデータ分析では、ワシントン条約のデータベースに記録されている2019年までの取引のうち、日本が最多である354頭の生きたコツメカワウソを商業目的で輸入していたことが明らかになりました。

ペット目的の取引によって絶滅の危機が高まり、国際取引が規制されるようになった野生動物は、コツメカワウソだけではありません。

環境破壊や汚染、地球温暖化など、さまざまな要因が今、多くの野生動物を脅かしています。

そうした中で、「かわいい」「珍しい」という理由で野生動物をペットにすることが、その動物にとって更なる「脅威」とならないか立ち止まって考えることが必要です。(野生生物グループ・岡元)

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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