© Carol Bennetto

「ペット飼育」によるカワウソの悲劇


2022年9月29日、大変悲しいニュースが発表されました。

東京都在住の女が、ペットとして飼育していたコツメカワウソ2頭を「懐かず、噛むから」という理由で、棒でたたいたり、追い回したりした虐待の疑いがあるとされ、動物愛護法違反容疑で書類送検されました。

容疑者はSNSにこれらのカワウソの写真を「かわいいペット」として数多く投稿する、有名な人物でしたが、実際には身勝手な理由でカワウソたちを傷つけていた可能性があります。

©Yumiko Okamoto

コツメカワウソ(Aonyx cinereus)はIUCNのレッドリストで危急種(VU)に選定されています。2000年代後半に、急増したペット需要が絶滅リスクを高めるとして、2019 年にワシントン条約附属書Ⅰに掲載され、国際取引は原則禁止となりました。
※このコツメカワウソは本件とは無関係の個体です。

近年、エキゾチックペットやエキゾチックアニマルと呼ばれる犬猫以外の動物の飼育が注目を集めていますが、その中にはコツメカワウソやフェネックといった野生動物が含まれています。

しかしながら、絶滅のリスクやその生態から一般家庭での飼育に向かない野生動物を「ペット」とすることは、飼われる個体への負担や、野生個体を危機に晒すことになります。

コツメカワウソは東南アジアの湿地や熱帯雨林に生息し、カニなどの甲殻類を主に捕食する動物です。そのためこれらの殻をかみ砕くことができる強力な歯と顎を持ち、噛まれれば大怪我をする可能性もあります。

またキャットフード等の市販のエサでは栄養が偏ってしまい、水中で獲物を追いかける、といった行動ができないことは精神的なストレスにつながります。

© Ronald Petocz / WWF

コツメカワウソは東南アジアの湿地、熱帯雨林、マングローブ林などの水辺に群れで暮らしています。

野生動物は自然に生きる動物です。自然で生きるために重要な生態や習性への不理解や、かわいい側面だけに目を向けて安易にペットにしてしまう人間の身勝手さが、飼われる動物にとって生きづらい環境を強いることを忘れてはなりません。

WWFジャパンでは、問題の早期解決のため、政策提言や消費者の適切な選択を促すことに加え、野生動物を扱う事業者への働きかけも行なっていきます(野生生物グループ 岡元)。

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森林・野生生物室 野生生物グループ TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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