© Andy Rouse / naturepl.com / WWF

アフリカゾウは、種をまく!


ゾウは地上で最も大きな体をもつ動物。体高は3~4メートルほどで、体重は6トンにもなります。

その大きな体を維持するために、1日のほとんどを採食に費やします。時間にして、なんと18~20時間。

その間に、150種以上の植物を200~200キロほども食していきます。

そして、排せつされる糞となると、一つで2キロほど!

大量に植物質の食物を摂取するゾウですが、実は半分くらいが未消化で、特に固い種子はそのままの状態で排せつされることが多いのです。

1日に長距離を移動するゾウが落とす糞は、まさに種まきのようなもの。生態系を支える大事な役割を果たしています。

タンザニア北東部にあるムコマジ国立公園のビジターセンターにて。公園内に生息する動物の糞の展示、公園スタッフがレクチャーをしてくれる。
© WWF-Japan

タンザニア北東部にあるムコマジ国立公園のビジターセンターにて。公園内に生息する動物の糞の展示、公園スタッフがレクチャーをしてくれる。

アフリカゾウの糞:メスの方がよく消化ができて柔らかいため、種子が芽吹きやすい
© WWF-Japan

アフリカゾウの糞:メスの方がよく消化ができて柔らかいため、種子が芽吹きやすい

また、ゾウが通った後が「わだち」の役割を果たし、他の動物たちの通り道にもなっていくのです。

8月12日は世界ゾウの日。

この雄大なゾウに思いを馳せながら、自然界の見事な仕組みを守っていくことの大切さを考えてみてください。

WWFジャパンが2021年よりWWFタンザニアと連携して実施している、アフリカゾウ保護プロジェクトでは、人とゾウの軋轢(あつれき)の問題に取り組んでいます。

人が暮らす場所の拡大や、気候変動の影響で生息環境が変化していることから、ゾウの移動ルートにも変化が生じています。

そのことで、人とゾウの遭遇率が高まり、人や農作物への被害、そのことによるゾウへの報復行為が増加しているのです。

わたしたちは、こうした事態を緩和する取り組みを継続し、人と自然が調和して生きられる社会を目指していきます。

日本からの支援によって設置された小学校の給水設備。ゾウによって破壊されてしまった水インフラを整備し、清潔な水が供給できるようになり、学生の登校率が上がった。それまでは、離れた場所まで水汲みに行く必要があり、その際にゾウと遭遇する危険もあった。
© WWF-Japan

日本からの支援によって設置された小学校の給水設備。ゾウによって破壊されてしまった水インフラを整備し、清潔な水が供給できるようになり、学生の登校率が上がった。それまでは、離れた場所まで水汲みに行く必要があり、その際にゾウと遭遇する危険もあった。

【寄付のお願い】アフリカゾウの未来のために|野生動物アドプト制度 アフリカゾウ・スポンサーズ

アフリカゾウを守ろう!WWFの野生動物アドプト制度 継続スポンサー

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自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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