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イグアナのペット利用による外来種問題、台湾では駆除対象にも


台湾でペットとして持ち込まれた外来種のグリーンイグアナが野生化し、大繁殖しています。

グリーンイグアナは中南米原産のトカゲで、台湾には天敵がいないことから、あっという間にその数が増えてしまいました。

その結果、農作物が食い荒らされる被害が台湾各地で相次ぎ、問題になっているのです。

台湾当局は2025年4月までに3万6500匹以上を駆除。年内には12万匹の駆除を目指しているとのことです。

ペットとして迎えられた動物が野生化し、「駆除対象」になってしまうという大変悲しい事態に…。

グリーンイグアナ(Iguana iguana)。台湾では2015年に輸入が禁止され、飼育には登録が必要、さらに繁殖は禁止というルールが設けられました。しかし、日本では飼育や繁殖に関する規制はなく、だれでもペットとして飼育することが可能です。
© Anthony B. Rath / WWF

グリーンイグアナ(Iguana iguana)。台湾では2015年に輸入が禁止され、飼育には登録が必要、さらに繁殖は禁止というルールが設けられました。しかし、日本では飼育や繁殖に関する規制はなく、だれでもペットとして飼育することが可能です。

実はこのグリーンイグアナ、日本でも沖縄県の石垣島で定着している可能性があり、環境省の「重点対策外来種」にも指定されています。

現時点で「駆除対象」になっているわけではありませんが、今後各地で野生化し、農作物や生態系に悪影響を及ぼしていることが確認されれば、「駆除対象」になってしまうことも考えられます

そのような事態を防ぐためにも、一人ひとりがペット飼育のリスクを十分に理解することが必要です。

販売されるグリーンイグアナの多くは10cm程度の幼体ですが、2~3年ほどで最大2mにまで成長し、飼育するためにはかなりの広さが必要です。紫外線や栄養不足により代謝性骨疾患になるケースがとても多く、飼育には専門的な知識が求められます。
© Don Getty

販売されるグリーンイグアナの多くは10cm程度の幼体ですが、2~3年ほどで最大2mにまで成長し、飼育するためにはかなりの広さが必要です。紫外線や栄養不足により代謝性骨疾患になるケースがとても多く、飼育には専門的な知識が求められます。

私たちは野生動物のペット利用について、政策決定者やペット産業、消費者の方々に向けた働きかけを行なっています。

消費者の方々には野生動物のペット利用に関する意識を変え、適切な選択をしてもらえるように日々、情報発信を続けています。

エキゾチックペットガイド」は多くの方にペット利用される動物の情報を分かりやすく伝えることを目的としたツールです。

グリーンイグアナも掲載を予定しています。

エキゾチックペットガイドは現在39種の動物の情報を掲載中です。随時、追加で掲載していきます。

エキゾチックペットガイドは現在39種の動物の情報を掲載中です。随時、追加で掲載していきます。

ぜひ一度ご覧いただき、責任ある飼育について考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

(野生生物グループ・橋本)

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自然保護室(野生生物)
橋本 香奈

学士(獣医学)。大学卒業後は官公庁に勤務。海外からの動物疾病等の侵入を防ぐ水際検疫等に携わった後、2024年にWWFに入局。ペットプロジェクトを担当。

子どものころから動物が好きで、動物や自然を守るお仕事がしたい!と思っていました。美しい自然や多様な生きものたちを未来に残していけるよう、日々の活動に取り組んでいます。趣味は愛犬と遊ぶこと。

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