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アフリカゾウと象牙~密猟・違法取引撲滅に向けて~

アフリカゾウ(ここでは、サバンナゾウLoxodonta africanaとマルミミゾウLoxodonta cyclotis両種をさす)は、世界で最も密猟されている哺乳類の一種です。象牙に対する歴史的かつ継続的な需要がゾウの密猟の主要因であり、生息地の喪失、分断化、急速なインフラ開発と併せて重大な脅威をもたらしています。 こちらのページは、象牙取引にまつわる国際的な動向や、長年象牙を利用してきた日本国内の課題など、関連情報をご紹介します。


日本の国内象牙市場について

日本は象牙取引に対する政策を見直す必要があります。それはなぜなのか。

WWFジャパンは、日本の象牙取引の課題をまとめた報告書『岐路にたつ日本の象牙取引』を発表し、その背景とアフリカゾウ保護の現状について述べています。

報告書『岐路にたつ日本の象牙取引』


目次
アフリカゾウについて
・地域ごとに異なるアフリカゾウ保全の課題
アフリカゾウとワシントン条約
・象牙の利用
・アフリカゾウ保護の道
・新たな脅威-アジアの経済発展の影響
・ワシントン条約の進展
国際社会で進む象牙の政策
・最大の象牙消費国-中国の決断
日本の象牙取引
・日本の象牙在庫量
・日本が関わる「違法取引」
・日本の国内象牙市場の実態
・日本の象牙取引規制
・オンライン取引-法整備の遅れと進む企業の取り組み

象牙の国際取引はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)により原則禁止されています。

しかし、アジアの経済成長に伴い近年急増した象牙の需要が、アフリカでの密猟と、アジア市場向けの違法取引を引き起こし、アフリカゾウの生存に深刻な脅威をもたらしています。

2016年、ワシントン条約の第17回締約国会議において決議10.10「ゾウの標本の取引」が改正され、「ゾウの密猟や、象牙の違法取引に寄与している国内市場については閉鎖を求める」という勧告が追加されました。

こうした動きを受けて、象牙市場のあるアジアの消費国を中心に、象牙取引に関する政策の導入が進みました。

特に、象牙の市場規模の大きな国・地域(中国、香港、台湾)は、各国内・域内での取引禁止措置を実施。象牙製品が頻出するアンティーク市場の活発な欧州(EU、イギリス)でも、原則国・域内取引禁止の法案が可決されました。
いずれも、国の政策として法的措置が講じられています。

一方の日本の国内象牙取引については、種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)による一定の規制があり、2018年には象牙を取り扱う事業者の管理規制が強化されました。

しかし、象牙の取引規制については、製品の合法性およびトレーサビリティが担保される仕組みには、いまだになっていません。

そうした中で、日本からの象牙の違法輸出が2011年以降増加し、2020年においても、中国が関わる象牙の違法取引において日本が関わる事例が最多であったことが報告されるなど、日本の国内市場が象牙の違法取引に関係していることが明らかになっています。

それでも日本政府は、日本の象牙の国内市場について、現在起きている密猟や違法輸入には寄与していないとの見解の下、今も象牙の国内取引を続ける姿勢を堅持しています。

WWFジャパンは、日本の国内市場が象牙の違法取引に寄与している実態から、2018年1月と2019年5月、日本政府に対して提言を行ないました。

  1. 急な措置を持って象牙の違法輸出を阻止すること
  2. 厳格に管理された狭い例外を除く国内取引を停止すること

日本は、一刻も早く国内象牙市場全体の評価を見直し、抜本的な課題解決を図ることが必要です。

アフリカゾウ関連記事:https://www.wwf.or.jp/tags_k_51/

ワシントン条約の動向

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WWFジャパンの活動

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WWFジャパン・TRAFFICの報告書

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