東京都に対し象牙取引原則禁止に向けた指針表明と長期的施策の策定を求める声明


東京都は、日本が国際的な象牙の違法取引に関与している現状に対し、国際都市としてなすべき対策を検討することを目的に2020年1月「象牙取引規制に関する有識者会議」(象牙有識者会議)を立ち上げました。

この会議での諮問を経て、2021年6月25日、東京都は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)開催を前に、日本国外への象牙の違法な持ち出しを防止するために、下記の施策を発表しました。

1.都内象牙取扱事業者への要請

  • 購入希望者の「違法に海外へ持ち出さない」旨の意思を確認したうえでの販売
  • 意思確認ができなかった場合など、海外持出につながるそれがある場合の販売の自粛
  • 都作成ポスターなどによる「象牙製品の海外持出は原則禁止されている」こと等の販売窓口等における周知

2.国内外での情報発信

「象牙製品を違法に海外へ持ち出すことは許されない」ことの周知徹底を図るため、国と連名で多言語のポスター等を作成し、国内外への情報発信


象牙有識者会議の委員であるWWFジャパンは、東京都の取り組みの一環として今回の発表を評価する一方、提示された施策だけでは抜本的な解決には不十分と考えます。

とりわけ、施策が訪日外国人を含む購入者による違法持ち出しへの対応に留まり、WWFが重要性を訴えてきた東京都内での象牙取引の原則禁止に向けた指針を示すものになっていないこと、つまり、東京都における象牙取引の在り方がどうあるべきかが不透明なままである点が、大きな課題と考えます。

この点について、WWFジャパンは東京都に対し、あらためて東京都における象牙取引原則禁止に向けた指針表明と、それに基づく長期的な施策の策定を求めます。

【東京都への提案(2021年2月21日提出)内容】

1. 【長期的施策】
東京都として、象牙取引の原則禁止を目指す旨を明らかにした、長期的施策の指針を定め、独自の宣言を行なうこと

(ア) 都内における象牙の取引状況・在庫の実態の把握と、それを踏まえた施策の効果測定を行なうこと
(イ) 取引原則禁止については、運用に際して条例制定など一定の権限・拘束力のある施策とすること
(ウ) 取引原則禁止の中では、文化的重要性や、トレーサビリティが担保できるなど一定の条件が認められる場合においては「狭い例外」として選定し明確に示すこと
(エ) 首都圏を中心に他の自治体との連携を検討し、都の施策の効果を最大化すること

2. 【短期的施策】
1の宣言をふまえた、東京2020大会までに実施すべき施策を至急策定し、実行すること

(オ) 短期的施策の成果は国に報告し、効果が期待できる施策については国の政策としての導入・実施を提言すること
(カ) 東京2020大会の終了後にも、この問題について長期的に対処・実行する部署を設けること。また、象牙に限定せず、類似の問題に対応すること
(キ) 具体的には、下記施策を実施すること
①事業者にかかわる取り組み:期間限定で販売自粛を促す
今後、都における象牙規制に関する条例制定を見据えて試験的実施とする
②水際にかかわる取り組み(1):税関と連携し、徹底した周知
キャンペーンやポスター掲示だけではなく、執行部隊や空港関係者(空港運営企業、航空企業、テナントなど)と連携して「象牙持ち出し禁止」の周知を徹底する
③水際にかかわる取り組み(2):特別に訓練を受けた探知犬の配備
④訪日客にかかわる取り組み:関連企業と連携し、徹底した周知
水際同様、キャンペーンやポスター掲示だけではなく、関係者内での認識を上げて「象牙持ち出し禁止」について訪日客にアプローチする

提案内容の詳細はこちら:
東京2020大会に向けた象牙の海外違法持出防止の取組についてWWFジャパン・TRAFFIC共同提案(2021年2月21日)


参考:
象牙取引、国際都市東京都の役割について提案

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