国際フクロウの日に考える「野生動物とペット」
2025/08/04
8月4日は「国際フクロウの日(International Owl Awareness Day)」です。
フクロウについて理解を深め、保全を考えるための日として制定されました。
日本ではフクロウはペットショップなどで販売されるほか、アニマルカフェで触れ合えるなど、「かわいい」ペットとしてその人気は高まっています。

モリフクロウ(Strix aluco)。日本のペットショップやアニマルカフェでも多くの個体が販売・展示されています。
しかし、世界に生息する約250種のフクロウの中には、気候変動や生息地の減少、狩猟などの影響で個体数が減少している種もいます。
また、ペットとしての人気の高まりが、フクロウを密猟や密輸の対象にしてしまうこともあるのです。
たとえば、映画にも登場するシロフクロウはIUCNのレッドリストで「危急種(VU)」に分類され、個体数は減少傾向にあります。
また、メンフクロウやコノハズクなどが海外から日本に違法に持ち込まれようとして、空港で押収された事例も確認されています。

シロフクロウ(Bubo scandiacus)。「危急種」とは野生で高い絶滅のリスクに直面していると考えられる種のこと。シロフクロウは剥製や食料用として狩猟されたほか、車や飛行機への衝突、気候変動による獲物の減少などさまざまな原因により個体数が減少しています。
多くの国や地域ではフクロウのペット飼育が禁止されていたり、許可が必要であったりと厳しい規制がされています。
ところが日本では、だれでもフクロウを購入し、ペットとして飼育することができます。
「売られているから問題ない」わけではありません。
ペットとしてフクロウを飼うことには、密猟や密輸、感染症、動物福祉の問題など、見過ごせないリスクがあるのです。

インドコキンメフクロウ(Athene brama)。2012年から2021年の間の日本における、または日本に関連した事件で差止られた生きたフクロウの数は計62頭。うち13頭はインドコキンメフクロウでした。
私たちはこうしたリスクやフクロウの飼育の難しさに関する情報をウェブページやショート動画で発信しています。
また、エキゾチックペットガイドではシロフクロウを含む5種のフクロウについて、それぞれの生態や飼育に関する専門家の意見を紹介しています。

左からフクロウ(Strix uralensis)© WWF-Japan / Mima Junkichi、メンフクロウ(Tyto alba)© Martin Harvey / WWF、アナホリフクロウ(Athene cunicularia)© Ly Dang、コキンメフクロウ(Athene noctua)© Kari Schnellmann。
「国際フクロウの日」をきっかけに、フクロウのこと、そして野生生物のペット飼育がはらむリスクについて考えてみませんか。
(野生生物グループ・橋本)