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ワシントン条約CoP20、青の都で開幕!


連日、気候変動枠組み条約の第30回締約国会議COP30の話題がニュースで取り上げられていますが、今度は、ワシントン条約(CITES)締約国会議(CoP)の番です!

CITESは、過剰な取引を規制することで、絶滅のおそれのある野生動植物を守る国際条約。現在、日本をはじめ185の国と地域が加盟しています。

条約施行から50周年、そして記念すべき20回目のCoPは、古くから東西の文化が交流する「青の都」とよばれる都市、ウズベキスタンのサマルカンドで開催されます。中央アジアでの開催は今回が初です。

日本国内では、CoP20といえば、ニホンウナギ(Anguilla japonica)の附属書掲載についての話題ばかりですが、この会議での議題は多岐にわたり、その数なんと114議題です。

ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)
© Neil Aldridge / naturepl.com / WWF

ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)

野生動植物を過剰な取引から守るための規制対象となる種を定める附属書※の改正に関する51提案の他、規制運用の課題やその対応策などが議論されます。

※附属書は、I, II, IIIに分かれ、それぞれ掲載基準や規制の内容がことなります。詳しくはこちら
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3522.html

日本に関連のある議題として、以下の様なものがあります。
・国内象牙市場に関する議題:密猟や違法取引に対する監視体制の適正化に向けた議論。日本では2025年6月象牙をマンモス牙と偽って取り引きした事件が発覚。

見事な牙を有するアフリカゾウ (Loxodonta africana)
© naturepl.com / Wim van den Heever / WWF

見事な牙を有するアフリカゾウ (Loxodonta africana)

・ブラジルボク(Paubrasilia echinata)の附属書I掲載提案:弦楽器の弓の原料である高級木材。違法伐採が課題となっている種の保護強化の提案。
・ウナギ属全種の附属書II掲載提案:ウナギ属16種のうち現在、ヨーロッパウナギのみ対象となっている規制の対象をニホンウナギを含む全種へ拡大する提案。採択された場合、日本市場への影響が大きいが、IUU漁業撲滅は世界の潮流です。詳しくはこちら
・飼育下繁殖施設に関する議題:野生捕獲した個体を繁殖した個体と偽って取り引きするロンダリングの課題や、繁殖用の親個体の捕獲の妥当性、繁殖施設基準などの議論。日本でもロンダリングが疑われる取引がある。詳しくはこちら
・固有種の取引に関する議題:違法な由来であっても、一度海外へもちだされてしまうと合法的に取引できてしまう問題に対する条約の規定強化の議論。

南西諸島固有種であるリュウキュウヤマガメ (Geoemyda japonica) の密輸未遂事件が今年10月起こりました。
© TRAFFIC

南西諸島固有種であるリュウキュウヤマガメ (Geoemyda japonica) の密輸未遂事件が今年10月起こりました。

国際的な目標である生物多様性回復にも大きく影響する野生生物の国際取引の今後のあり方を示すCoP20の議論の行方、ぜひ私たちと一緒に注目してください。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、青年海外協力隊(現 JICA海外協力隊)を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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環境保全団体です。

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