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犬の日!犬だけじゃない”イヌ科”の野生動物


11月1日は「ワンワンワン」の鳴き声にちなんで「犬の日」に制定されています。

1万年以上前から人とともに暮らしてきた犬は、人類にとって最も身近な伴侶動物と言えます。

実は、私たちが普段「犬」と呼んでいる動物―イエイヌ(Canis lupus familiaris)は、独立した種(しゅ)ではありません。

シェパードからチワワまで、見た目や性格はさまざまですが、これらはあくまで家畜として改良した「品種」のバリエーションにすぎません。

生物学的には、犬(イエイヌ)はオオカミ(Canis lupus)の一亜種であり、同じ種に属する動物なのです。

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今回は、現在世界で34種が知られる野生の”イヌ科”動物の中から、3種を紹介します。

【1】オオカミ

つがいとその家族からなる群れで行動し、群れにはつがいを頂点とした厳格な順位が存在します。
犬は数万年前にオオカミから分化し、人と共に暮らすうちに性格や見た目が変化したと考えられています。

ハイイロオオカミ(Canis lupus)。日本にもかつてその亜種であるニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)とエゾオオカミ(Canis lupus hattai)が生息していましたが、どちらも1900年ごろに絶滅したと考えられています。
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ハイイロオオカミ(Canis lupus)。日本にもかつてその亜種であるニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)とエゾオオカミ(Canis lupus hattai)が生息していましたが、どちらも1900年ごろに絶滅したと考えられています。

【2】タヌキ

昔話にも登場し、信楽焼で縁起物とされるタヌキは日本人にとってなじみの深い動物です。
単独または数頭で行動し、複数の個体が同じ場所に糞をする「ため糞」の習性があります。

参考情報:エキゾチックペットガイド-タヌキ

ホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus viverrinus)。日本全国に広く生息しており、住宅街でも見られます。鳥獣保護法により原則捕獲が禁止されています。

ホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus viverrinus)。日本全国に広く生息しており、住宅街でも見られます。鳥獣保護法により原則捕獲が禁止されています。

【3】フェネック

砂漠で暮らすフェネックは大きな耳が特徴です。獲物が動く小さな音を聞き逃さないだけでなく、体の熱を逃がす役割も持っています。
地下の巣穴に住むため、穴掘りが得意です。

参考情報:エキゾチックペットガイド-フェネック

キツネの一種のフェネック(Vulpes zerda)。ペットとしての人気の高さから、密猟・密輸されるケースがあります。
© John E. Newby / WWF

キツネの一種のフェネック(Vulpes zerda)。ペットとしての人気の高さから、密猟・密輸されるケースがあります。

同じイヌ科といえど、これらの動物は犬とは性格や性質が全く異なる野生動物です。

「犬に似ているから簡単に飼えるかも?」ということは決してありません。

犬のように人になついたり、しつけを行なうことはできず、穴を掘る、マーキングをするなど、野生本来の行動をとることがあります。

また、野生動物はどのような病原体を保有しているかはっきりとわかっておらず、人や動物の健康が損なわれる危険性もあります。

「犬の日」をきっかけに、”イヌ科”の野生動物の知識を深め、生態や習性を正しく理解するとともに、ペットとしての在り方を考えてみませんか。

(野生生物グループ・橋本)

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自然保護室(野生生物)
橋本 香奈

学士(獣医学)。大学卒業後は官公庁に勤務。海外からの動物疾病等の侵入を防ぐ水際検疫等に携わった後、2024年にWWFに入局。ペットプロジェクトを担当。

子どものころから動物が好きで、動物や自然を守るお仕事がしたい!と思っていました。美しい自然や多様な生きものたちを未来に残していけるよう、日々の活動に取り組んでいます。趣味は愛犬と遊ぶこと。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

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