シリーズ:自治体担当者に聞く!脱炭素施策事例集 0円ソーラー事業者とのマッチングを支援(京都府・京都市)


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京都府・京都市「太陽光発電プラットフォーム事業/京都府住宅用太陽光発電初期費用ゼロ事業促進補助金交付」

キャンペーン名:京都0円ソーラープラットフォーム

【施策部門】 産業部門家庭部門事業部門(補助金交付は家庭部門のみ)
【施策タイプ】 新規事業補助金事業
WWFの「ここに注目」
 
  • 新築・既築の住宅や事業所への太陽光パネルの設置を促す
  • 初期費用ゼロ、契約期間中はメンテナンス不要の0円ソーラー
  • 府市の承認を受けた0円ソーラー事業者を紹介

施策概要

京都0円ソーラープラットフォームは、太陽光発電設備を初期費用ゼロで設置できる「0円ソーラー」を提供する0円ソーラー事業者と、導入を検討している府民・府内事業者等の施設所有者(以下「府民等」という)をつなぐことを目的に開設されたポータルサイト。府民等に安心して利用してもらうため、府市が承認した信頼できる民間の0円ソーラー事業者を登録し、初期費用ゼロ、停電時の電気供給、故障時の交換・修理対応等のメンテナンスサービスなど、府市が定める要件を満たしているプランを、住宅用、事業用として、それぞれ紹介している。
プラットフォームは2020年度に京都市で運用を開始。住宅向けに提供されるプランのうち、太陽光発電設備の設置を府内事業者が施工する等の要件を満たしたプランについては、2021年度から京都府の補助金交付の対象となるなど、府市が連携して太陽光発電設備の導入拡大に取り組んでいる。
プランは契約者が使用した分の電気料金を支払う「電力販売契約」と設置した太陽光発電設備のリース代金を支払う「リース契約」がある。契約期間は、電力販売契約が10~20年、リース契約が5~20年程度。契約期間終了後は、いずれの場合も、設備は原則として契約者に無償譲渡される。
プラットフォームが行うのは、府民等と0円ソーラー事業者のマッチングまでで、現地調査、設置案の確認、見積、契約は当事者同士が行う。

予算(令和4年度)

《費用》 窓口業務のほか、事業者の登録やプランの審査、ホームページの運営などを行う公益財団法人京都市環境保全活動推進協会への業務委託費として、府市それぞれが300万円ほどを負担。
また、住宅用プラン補助金分1,400万円を府が負担。

削減効果

2020年度分については、具体的な削減効果の試算はしていないが、
0円ソーラー事業者に、設備の設置件数、導入容量の報告を求め、削減効果を数値化していく予定。

その他効果

登録事業者は府内に限定していないが、住宅用プランで補助制度(10万円/件)を利用する場合については,府内の施工業者による太陽光発電設備設置を要件とすることで、地域経済波及効果を期待している。

施策を通して

<実施前の課題>
なぜ初期費用ゼロで太陽光発電設備を設置できるのか、その仕組みがわかりにくいので、いかに府民等に理解してもらうかが課題。チラシ配布やSNSを使い広報するとともに、問い合わせ対応として専用の窓口を設置するとともに、ホームページに情報を集約し、わかりやすい表現を心がけている。

<実施における課題や改善点>
実施フェーズにおいても、府民等に0円ソーラーの仕組みを理解してもらうことを重視。窓口で丁寧に対応するよう心がけている。

<施策のメリットとデメリット>
メリット: 0円ソーラーは新しいビジネスモデルのため認知度は高いとは言えず、高額な設備の導入を強要されるのではないかという不安を感じる府民等もいると思われる。しかし、プラットフォームがあることで、一定の要件を満たしたプランを選ぶことができ、府民等の安心につながっている。

デメリット: 施策そのもののデメリットではないが、0円ソーラーという事業の性質上、長期契約が基本となるため、契約時より安いもしくは質の良いサービス、発電事業の更なる普及拡大につながる追加性のあるサービスが出てきた場合、契約期間中は基本的にサービスの変更ができない。そのため、0円ソーラーでの設備導入を検討する場合は、長期契約の特性をしっかりと理解するとともに、0円ソーラー事業者と納得ができるまで意見交換を行うことが重要。

こんな自治体にオススメです

0円ソーラーは、初期費用が不要で新築だけでなく、既存の建物にも再エネを普及する一つのオプションとして、広くおすすめできる。ただし、沿岸部では太陽光パネルが錆びてしまう塩害、積雪量が多い地域では雪によるパネルの破損、冬季の発電量の減少なども考えられるので、地域の環境に応じた十分な検討が必要。

今後の方針

府内全域に0円ソーラーの活用を広げていくため、各市町村における周知啓発や相談窓口における府民等への丁寧な相談対応を通じた0円ソーラー事業者とのマッチング支援などに今後も取り組んでいく。

京都0円ソーラープラットフォーム公式サイト

京都府ホームページ

京都市ホームページ

自治体担当者からのコメント

京都0円プラットフォーム事務局
相澤幸裕さん

気候危機と言われる時代に突入し、2050年カーボンニュートラルに向け、再生可能エネルギーの導入や分散型電源の普及拡大は急務となっております。本施策は上記目的を達成するための一手段として、住民や企業側からアクションを起こすきっかけとなる取組になると考えておりますので、検討される際はいつでもご相談ください。

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