シリーズ:自治体担当者に聞く!脱炭素施策事例集 官民の資金を再エネ発電事業に投融資


©Michel Gunther / WWF

東京都「官民連携再生可能エネルギーファンド」

【施策タイプ】 その他
WWFの「ここに注目」
 
  • 再エネ発電事業に特化したファンド事業
  • エネルギーの大消費地である東京都の再エネ導入を、民間の資金とノウハウも活用して促進
  • ファンドの対象に応じて、施策の横展開が可能

施策概要

©スパークス・アセット・マネジメント㈱

再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入の推進を目的に、平成26年度に創設されたファンド。都内の再エネ発電事業に投融資を行う「都内投資促進型ファンド」と、東京電力・東北電力管内地域の再エネ発電事業に投融資を行う「広域型ファンド」とで構成されている。これまで、都が公募により選定したファンド運営事業者を通じて、都および民間資金の導入により、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電の計13の発電事業に投融資を行っている。
東京都は、エネルギーの大消費地として、再エネの利用拡大、省エネ・節電による電力需要の抑制、分散型エネルギー源の確保を従来進めており、その実現策の一つとして、このファンド創設に至った。「広域型ファンド」については、都内の消費電力の一部が東北電力に依存している側面があることも背景にある。広域型ファンドにより投融資された発電所からの電力は東京電力・東北電力管内で広域的に連系・融通されている。

予算

《出資金》 12億円
(都内投資促進型ファンドに2億円、広域型ファンドに10億円)

《その他費用》 ファンドの運営監視に係る経費等(監査法人への調査委託、法律・会計・投資分野の専門家からの助言等の委託費)

削減効果

投融資先発電所13カ所(太陽光発電、風力発電、バイオマス発電)、発電出力約17万kwの実績

その他効果

・再エネの導入による環境面でのメリットや、出資等による経済面でのメリット等、都民、地域住民及び地元企業が、ベネフィットを享受できる。
・発電所を設立することで、地域に新たな雇用を創出するなどの相乗効果が期待できる。

施策を通して

<実施前の課題>
東日本大震災の直後、電力の安定供給を目的として創設した官民連携インフラファンドを先行事例として、再エネに特化したファンド事業として立ち上げた。自治体による同様のファンド事例は少なく、再エネの普及と収益の両立という、事業の実現可能性を踏まえたスキームをどうつくるかが課題となった。そのため、専門家を含めた関係各所との綿密なヒアリングに力を入れた。

<実施における課題や改善点>
東京都は、自治体として、また、ファンド運営事業者を公募した立場として、他の組合員(他の民間資金提供者)とは異なる責任を併せ持っている。本ファンドがその目的を適切に果たせるよう、旗振り役としての立場、出資者としての立場、それぞれの立場に配慮しながら、運営事業者の業務執行への対応や投資案件への意見表明等を行わなければならない。そのため、法律や会計等の専門家の助言を得ながら慎重な対応を行った。

<施策のメリットとデメリット>
メリット:
・民間の資金やノウハウを活用しつつ、施策の横展開が期待できること。
・東京都の出資額よりも大きな事業効果が期待できること。


デメリット:
・一般的なファンドの性質として、出資額に対して回収額が下回り、毀損するリスクがあること。政策目的を実現する手法としてファンドの形態をとっており、収益を上げることが目的ではないが、都の公金を投入している以上、そのリスクを回避するための最大限の対策が必要。

こんな自治体にオススメです

長い年月をかけてノウハウを学びながら民間と連携して事業を行いたいと考えている自治体や、民間のみではなかなか進まない領域において、政策目的の実現を図るため直轄事業や補助事業とは別の手法を検討している自治体。ただし、ある程度の予算規模が求められる。投資先の事業規模や連携できる近隣自治体の有無などによって、予算的な負担を軽くしながらファンドを始められる可能性もある。

今後の方針

本ファンドに続き、「東京版ESGファンド」「サステナブルエネルギーファンド」など、別のファンド事業を実施している。官民連携再生可能エネルギーファンドが、再エネの広域的な普及を目的としているのに対し、東京版ESGファンドは、再エネのみならず、社会的課題解決の支援も含めたESG(※)事業を対象に、さらにサステナブルエネルギーファンドは再エネ発電所に加えて、水素や蓄電池といった脱炭素社会実現のためのクリーンエネルギー拠点の導入を目的としている。
※環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のこと。

「官民連携再生可能エネルギーファンド」

「東京版ESGファンド」

「サステナブルエネルギーファンド」

自治体担当者からのコメント

東京都政策企画局 戦略事業部 戦略事業課 国際金融都市担当 主事
谷口友則さん

ファンド事業は特殊性があるため、定型的に進めることができる事業ではないですが、学べることも多いです。そして、脱炭素に向けた潮流があるなか、民間事業者の皆様と一緒に取り組む達成感もあるかと思います。本施策が、自治体の皆様が抱える課題の解決の一助になれば幸いです。

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