ユキヒョウ保全の輪を日本へ!特別イベント「ネコの日に知りたい、ユキヒョウと地球のはなし」を開催しました
2026/03/09
- この記事のポイント
- 2021年からWWFジャパンが支援している、WWFインドによるユキヒョウ保護プロジェクト。2026年2月22日、より多くの方々に活動内容を知っていただくため、WWFインドで保護活動を指揮するスタッフが来日し、札幌市円山動物園にて特別イベントを開催しました。ユキヒョウの未来を守るために何ができるのかを考えた本イベント。その内容をご紹介します。
高山生態系の頂点に立ち、絶滅の危機にあるユキヒョウ
中央アジアやヒマラヤの高山帯に生息するユキヒョウ。IUCNのレッドリストで「危急種(VU)」として記載されており、推定個体数は2,710~3,386頭まで減少しています。
気候変動・開発による獲物や生息地の減少、家畜を襲った報復として殺されてしまうといった人との「あつれき(衝突)」が、彼らを絶滅の危機へと追いやっています。
この問題を解決するため、WWFはヒマラヤ山脈の各地でユキヒョウの保護プロジェクトを実施。
WWFジャパンも「ユキヒョウ・スポンサーズ」をはじめとする日本の皆さまのご支援のもと、2021年からWWFインドと共に西ヒマラヤでの活動を推進しています。
具体的な活動内容は、ユキヒョウとその獲物となる野生の草食動物の生息状況調査や、保全人材の育成、地域コミュニティとの連携向上など。
これまでの取り組みを通じ、複数の地元の若者から保護活動への協力が得られるようになり、地域コミュニティの野生生物に対するイメージも向上するなど、ユキヒョウを一緒に守っていく仲間が増えています。

地域の学生やユキヒョウの生息地で暮らす人々に向け、WWFインドのスタッフがユキヒョウ保護や環境保全の重要性を説明。人と生きものが共に暮らせる環境をつくるため、地元の人々の協力は欠かせません。
より多くの方へ届けたい!特別イベントを開催

会場の札幌市円山動物園。天候にも恵まれ、無事イベント開催することができました。
ご支援への感謝を胸に WWFインドのスタッフが来日
ユキヒョウ保護プロジェクト開始から4年。
日本の皆さまのご支援により、本プロジェクトは活動を続けることができています。
心より感謝申し上げます。
スポンサーズの皆さまはもちろん、まだWWFの活動やユキヒョウに迫る危機について知らない日本の皆さまにも本プロジェクトを知っていただき、環境保全の輪を広げるため、2026年2月22日の「ネコの日」に、札幌市円山動物園と共催で特別イベント「ネコの日に知りたい、ユキヒョウと地球のはなし(https://www.wwf.or.jp/event/organize/6168.html)」を開催しました。
先着50名の事前申し込み制だった本イベント。受付開始後すぐに定員に達するほど多くの方からご関心を寄せていただきました。
イベントには、西ヒマラヤで実際にユキヒョウ保護プロジェクトを指揮しているWWFインドのリシ・シャルマが来日し登壇。
ユキヒョウの飼育と繁殖に取り組む円山動物園ならではの視点も交え、未来のために何ができるかを参加者の皆さまと一緒に考えました。

ユキヒョウ保護プロジェクトの紹介をする、WWFインドのリシ・シャルマ(写真左側)。イベントご参加の方の中には、東京から来場してくださった方も!
円山動物園より ユキヒョウの生態や繁殖について解説
幻の動物ともいわれるユキヒョウですが、現在、円山動物園では、3頭のユキヒョウを飼育しています。
イベントでは、そのユキヒョウ飼育を担当する動物専門員・小林真也氏より、ユキヒョウの生態や、日本での繁殖状況について紹介がありました。
ユキヒョウは、国内では14頭が飼育されていますが、うち6頭は10歳以上の高齢個体で、繁殖が可能なのは4ペア。
うち1ペアを円山動物園で飼育しており、ユキヒョウの繁殖期である冬期は個体の様子を見ながら繁殖に挑戦しています。
イベント中盤では、ユキヒョウ舎へ移動し、エサを食べるユキヒョウを見ながらの解説も。
雪景色の展示場の中、ユキヒョウが採食する様子など、なかなか見られない姿を観察することができました。

ユキヒョウ舎での解説の様子。1日を通じ、ユキヒョウは場内を走ったり眠ったりして過ごしていました。
WWFインドスタッフ リシ・シャルマより ユキヒョウ保護プロジェクトのご紹介
小林氏に続いて登壇した、WWFインドのリシ・シャルマは、西ヒマラヤに生息するユキヒョウとその他の野生動物のご紹介、および実際に西ヒマラヤで展開している保護活動について報告しました。

西ヒマラヤに生息する野生生物たち。スライド右下のアルガリはユキヒョウの獲物でもあります。
たくさんの命がくらす西ヒマラヤですが、地球温暖化によってさまざまな危機を迎えています。
たとえば、暖冬で降雪量が不規則になることにより、ユキヒョウの生息地が減少。ほかの動物の行動範囲が広がることでユキヒョウの縄張りへと入ってきてしまい、衝突するようなケースが生じています。
また、西ヒマラヤに暮らす人々は移牧を生業とする気候の影響を受けやすい暮らしをしており、温暖化の影響で安定した収入を得ることができず、家畜を増やして収入を確保しようとするケースも。
その結果、牧草地が減少し、ユキヒョウの獲物となる野生の草食動物も減ることで、獲物がないユキヒョウが家畜を襲ってしまい、報復として殺されてしまう「あつれき(衝突)」の問題も発生しています。
イベントでは、このような課題をふまえ、生息状況調査や地域コミュニティ支援、保全活動理解のための啓発といったWWFインドの活動を解説。
これらの活動によって、現地の方々のユキヒョウや保護活動へのイメージが向上しつつあること、また保全団体として信頼を獲得し、何かあった際には相談してもらえるような立場になっているという状況をご報告しました。
「保護活動を行なうとき、そこには人の暮らしがあり、思いがある。単にユキヒョウを追い出せば、人が出ていけば良い、という話ではない。そこに暮らす人々と思いを通わせ、理解してもらいながら活動している」というリシの思いに、参加者の方々の頷く姿も見られました。
日本から、ユキヒョウの未来を守るためにできること
続いて、WWFジャパン 自然保護室 野生生物グループの若尾より、日本で暮らす私たちにできることをお話ししました。
その一つは、ユキヒョウをはじめとする西ヒマラヤの生態系を脅かしている地球温暖化を防ぐ取り組みです。
日本は温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量 世界第5位であり、火力発電を中心とした電力に頼っていることが大きな原因です。
再生可能エネルギーの導入や節電といった行動が、ユキヒョウを守ることにもつながっているとし、参加者の皆さまにも、地球温暖化を防ぐアクションをお願いしました。

地球温暖化の影響を受ける絶滅危惧種は年々増加。ユキヒョウをはじめとするたくさんの生きものを守るためにも、地球温暖化を防ぐことが重要です。
また、同じくWWFジャパンの丸山からは、このユキヒョウ保護活動を支援する仕組みである、野生動物アドプト制度を紹介するとともに、すでにご支援をいただいている皆さまへのお礼を申し上げました。
ユキヒョウの未来を守るため WWFは活動を続けていきます
当日のオンライン配信も含め、多くの方に関心を寄せていただいた本イベント。
インドから来日したリシも、参加者の方々が熱心に耳を傾けてくださる様子に深く感銘を受けるとともに、日本の皆さまからのご支援に心から感謝していました。
地球温暖化という大きな課題にも直面していますが、国境を越えて手を取り合い、行動し続けることが、良い変化を生むことへとつながっています。
WWFジャパンでは引き続き、WWFインドと連携しながら、本プロジェクトを推進してまいります。
今後ともWWFの挑戦にご注目とご支援をいただけますと幸いです。

保護プロジェクトを行なっている西ヒマラヤのカメラトラップ(調査のために設置する自動撮影カメラ)がとらえたユキヒョウの姿。ユキヒョウをはじめとする野生生物と、現地で暮らす人々が共に調和して生きられる未来をめざし、活動を続けてまいります。
開催概要:「ネコの日に知りたい、ユキヒョウと地球のはなし」
日時:2026年2月22日(日)13:30~15:15
場所:札幌市円山動物園
参加者数:対面40名+ライブ配信を実施
主催:札幌市円山動物園、WWFジャパン
※後日アーカイブ配信予定




