象牙の事業者による「種の保存法」違反発覚!
2018/12/26
今日、大阪でオークションハウスのオーナーが、象牙販売の不正行為で書類送検された、という報道がありました。
これはオーナー(事業者)が、「種の保存法」で義務付けられている「事業者登録」をせず、象牙の製品の取引広告を出していたことが発覚したものです。
この事業者登録は、今年行なわれた「種の保存法」の改正で、新たに義務付けられました。
毎年2万頭ともいわれるアフリカゾウが密猟され、日本の国内でも象牙に関わる違法取引が相次ぐ中、政府がその管理を強化するために行なった改正の一つです。
それが今回初めて、機能する形で書類送検につながりました。
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ゾウや象牙の国際取引は「ワシントン条約」によって禁止されています。これには個人がお土産品として持ち帰るものも含まれます。
こうした摘発の背景には、警察による取り締まりの強化もあります。
報道が続くと一見、事件が頻発しているようにも見えますが、これはむしろ隠れていた不正や犯罪行為が明るみに出始めた、という良い反応でもあるのです。
しかし、日本国内の法律による規制には、まだまだ不十分。
WWFジャパンの野生生物取引監視部門であるTRAFFICが2018年夏に行なった調査では、象牙を販売する事業者が、中国などからの観光客に象牙製品の海外への持ち出しを容認したり、明らかに外国人客をターゲットとした製品を販売する事例が確認されました。
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2016年8月河北省石家荘税関で押収された日本から違法に輸出された象牙製品。日本から海外に違法に輸出された象牙・象牙製品は2.4トン以上にのぼります(2011年~2016年)
今回の摘発がそうであるように、現在の規制は、象牙を扱う事業者の管理に重点が置かれていますが、お店で目にする象牙・象牙製品そのものについては、合法性の証明がほぼ求められていません。
また、今回の事例では、海外に持ち出される可能性もあったと示唆されています。
このように、日本から違法に象牙が流出し、世界の象牙のブラックマーケットを太らせるようなことは、絶対に防がねばなりません。
こうした報道の情報も収集しながら、働きかけを続けていきたいと思います。
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匿名性が高く誰でもが自由に取引できるインターネット上でも、正体のわからない「事業者」たちが象牙製品を活発に取引しており、実態の把握も困難な状況です。