© Michel Gunther / WWF

追悼:ジェーン・グドール博士を偲んで


先日、ジェーン・グドール博士の訃報が伝えられました。

グドール博士は、若くしてチンパンジーの研究に挑み、その後世界的に名を知られることになった野生動物の専門家です。

しかし、グドール博士はそれ以上に、自然や野生生物の保全についても、大きな功績と、大切なメッセージを遺された方でした。

博士の訃報が伝わったその直後から、世界各国のWWFスタッフの間では、博士を称え、哀悼し、そして感謝するメッセージがいくつも交わされていました。

私自身も、自分が自然保護の仕事を目指そうと思ったその道のりの中に、博士の著作『森の隣人』という一冊の本があったことを、確かに覚えています。

© Karine Aigner / WWF-US

一度限りでしたが、仕事をご一緒させていただく機会にも恵まれました。

1998年12月、来日されていたグドール博士をお招きし急遽、講演会を開催したのです。

当時のスタッフの先輩方が、どうお話をつけられたのか、相当に無理なお願いであったに違いないのですが、博士は快く登壇を引き受けてくださいました。

© WWF Japan

1998年12月、東京大学にて。

今思えば、博士は日本でも、一人でもたくさんの人に、動物たちのこと、自然のことを伝え、関心を持ってもらいたい、そう願われていたに違いありません。

生前、博士が遺された有名な言葉に、こんな言葉があります。

“The greatest danger to our future is apathy(私たちの未来を脅かす最大の危険は、無関心です)”

これは今も、昔も変わらない、私たちが忘れてはいけない真実です。

博士の志を継ぎ、人と自然が調和した未来を築いていく。そのための活動に向けた気持ちをあらたにしつつ、ご冥福を祈りたいと思います。

グドール博士、ありがとうございました。

© Martin Harvey / WWF

この記事をシェアする

自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP