© WWF CARPO / Martin Tchamba

今日は母の日!世界で一番のお母さん


5月11日は「母の日」。
お母さんたちへ、あらためて感謝を伝える日です。

私たちヒトも含め、動物はその大半が、お母さんから生まれてきます。

特に、赤ちゃんを母乳で育てる哺乳類にとって、母親はこの上なく、偉大で尊い存在。

仔がおとなになってからも、母子の絆を長く大事にする野生動物も珍しくありません。

母系家族の群でくらすアフリカゾウは、その代表といえるでしょう。

© Bruce D. Taubert

アフリカゾウの赤ちゃんは、産まれた時の体重が90~130kgもあります。オスの仔は12歳を過ぎると、群を離れて単独で暮らすようになりますが、メスはそのまま群に残り、母親と共にくらします。

陸上最大の動物であるアフリカゾウのお母さんが産むのは、体重100kg前後もある、これまた陸上最大の赤ちゃん。その後は毎月20kg以上大きくなっていきます。

妊娠期間も22カ月で、これも陸上動物では世界最長!授乳期間も2年におよびます。

お母さんゾウのご苦労が偲ばれるところですが、そこは賢く、仲間意識の強いゾウのこと。群のメンバーで育児をサポートすることも知られています。

とはいえ、仔ゾウにとっては、野生の世界は厳しいもの。生まれた直後から、群の一員として、おとなたちと一緒に移動しながら暮らすことになります。

水が乏しくなる乾季には、力尽きて命を落とす仔ゾウも少なくありません。

© Bruce D. Taubert

乾季、干上がった水辺の地面を掘り、水を探すゾウ。乾季は毎年繰り返しやってきますが、気候変動はこれを長期化させ、野生動物の命を脅かす原因になっています。

気候変動(地球温暖化)がもたらす干ばつは、こうした危機をより一層深刻なものにしています。

自然とは、多くの命が世代を重ねていく中で、育まれ、続いていくもの。

そのリズムを、私たちヒトは、「環境問題」という大きな負の働きによって、地球のあちこちで乱しています。

この問題を自ら解決していくこと。
それは、卵であれ、赤ちゃんであれ、新しい命を育んでくれるお母さんの頑張りに、感謝し、応える、一つの孝行といえるかもしれません。

本日の「母の日」、そんなことにも是非、思いを向けてみていただければと思います。

© Jasper Doest / WWF

住民の生活圏に姿を現したゾウたち。象牙を狙った密猟により数を減らしてきたアフリカゾウですが、現在はそれよりも、生息環境の変化や減少にともなう、人との「あつれき」による脅威が、より深刻な問題となっています。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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