世界ユキヒョウの日:ヒマラヤの気候変動
2026/10/23
10月23日の「国際ユキヒョウの日」にあたり、改めて考えたいのが気候変動(地球温暖化)とユキヒョウ保全の関係です。
8月にネパールで発生した大規模な土石流災害は、深刻化する気候変動の重大さを衝撃と共に世界に知らしめました。温暖化による豪雨、氷河や山体の不安定化が引き起こす災害のリスクは年々高まっており、人々の暮らしだけでなく山岳生態系そのものを揺るがしています。

プロジェクトフィールドであるラダックの氷河湖。ヒマラヤ地域では近年、氷河の融解に伴う氷河湖決壊洪水(GLOF: Glacial Lake Outburst Flood)のリスクが高まっていることが指摘されています。ラダックでもこれまでに幾度もGLOFが記録されています。気候変動は人々の暮らしだけでなく高山生態系そのものを脅かしています。
実は、ネパールは約400頭のユキヒョウがくらす重要な生息国の一つ。モンゴル、中国やインドなどと同じく、氷と岩に囲まれた過酷なアジアの高山帯に位置しています。ユキヒョウはそんな環境に適応してきた動物の一種ですが、その生息地は今、気候変動によって大きな変化に直面しています。

ネパールのユキヒョウと遠景の集落
私たちが支援する西ヒマラヤでのプロジェクトで行なった調査でも、気候変動が地域社会と自然環境の双方に影響を及ぼしていることが明らかになりました。
季節ごとに家畜を放牧する場所を変える「移牧」に大きく依存する世帯ほど、気候変動の影響を受けやすく、水資源や牧草地の変化が人々の生活を不安定にしていることが示されたのです。
こうした変化は人だけの問題ではありません。牧草地や水資源の状態が変われば、ユキヒョウを含む野生動物にも影響が及びます。
ユキヒョウ保全というと、個体数調査や生息地の保護を思い浮かべるかもしれません。しかし、長期的にユキヒョウが生き続けるためには、気候変動への対策が欠かせません。
山岳地域で暮らす人々の災害や気候変動への適応力を高め、健全な草原と水環境を守り、ユキヒョウの未来を守る取り組みにも力を入れていきたいと思います。

ネパールのユキヒョウ

