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カワウソのカフェでの展示やペット飼育は違法!台湾の「野生動物保育法」

この記事のポイント
東南アジア諸国原産のコツメカワウソは、生息地の劣化など加えペット需要の高まりによる捕獲圧の増加が種(しゅ)の存続に影響を及ぼすとして、2019年に商業目的での国際取引が禁止されました。日本ではアニマルカフェでの展示や個体登録を経た取引が可能ですが、台湾では「野生動物保育法」に基づき同種の学術目的以外の展示や飼育は禁止されており、韓国やイギリスにおいても同様の規制がされています。海外の規制を参考に、日本においても法規制のあり方について見直す必要があります。
目次

背景:コツメカワウソの国際的な商業取引の禁止と日本の現状

世界に生息する14種のカワウソ類のうち、東南アジア諸国原産のコツメカワウソは比較的体が小さいことや、愛らしい風貌などから、かつて世界的にペット需要が高まりました。
合法的な取引が多く行なわれただけでなく、密輸も相次いで発覚しました。

コツメカワウソはIUCNのレッドリストで絶滅危機種(VU)に選定されており、個体数も減少傾向にあります。
このため、ペット需要による過剰な取引が種(しゅ)の存続を脅かすおそれがあるとして、2019年には取引規制によって野生生物を絶滅から守る国際条約である、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 (ワシントン条約)」の附属書Ⅰに掲載され、国際的な商業取引は原則禁止となりました。

日本における現状

それに伴い、日本では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づきコツメカワウソは国際希少野生動植物種(以下、国際希少種)に指定され、保護対象とされています。

しかしながら、本法律では国際希少種であっても販売目的以外の展示は可能であるほか、国に個体登録等の手続きを踏めば売買や貸与、譲渡が可能。このため、依然として国内では主に触れ合いサービスを提供するアニマルカフェでの展示や、ペットとしての販売・飼育も行なわれています。

日本のアニマルカフェで展示されるコツメカワウソ。
©WWF-Japan

日本のアニマルカフェで展示されるコツメカワウソ。

台湾の「野生動物保育法」が禁じるカワウソのペット飼育

一方で、海外の法規制を見てみると、日本からほど近い台湾では、同じコツメカワウソの学術目的以外の展示や飼育は「野生動物保育法※1」により禁じられています。

その仕組みでは、まず個体数や種の存続に与える脅威の程度などを基に保全が必要とされる種を判断し、その危機度が高い順に野生動物保育法※1の、以下3種類の「保育類野生動物」として保護対象としています。

  • 瀕臨絕種保育類野生動物(絶滅のおそれが高い種)
  • 珍貴稀有保育類野生動物(貴重で希少な種)
  • 其他應予保育之野生動物(極端に少なくないが種の存続が危ぶまれる種)

このうち、コツメカワウソは2番目の「珍貴稀有保育類野生動物」に指定されています。

そして、違反した際の処罰方法等に違いはあるものの、すべての等級に共通して、保育類動物の虐待や捕獲に加え、展示・飼養・繁殖・売買・輸出入等が原則禁止(学術目的等を除く)され、アニマルカフェ等での展示や、個人のペット飼育はできません。

※1 中国語の「保育」は日本語で保護や保全を指します。

1989年に台湾で制定された野生動物保育法では、絶滅のおそれが高い種の保全だけではなく、野生鳥獣の狩猟や公衆安全・衛生等のリスクがある動物の輸出入などについても定めている。
© Alain Compost / WWF

1989年に台湾で制定された野生動物保育法では、絶滅のおそれが高い種の保全だけではなく、野生鳥獣の狩猟や公衆安全・衛生等のリスクがある動物の輸出入などについても定めている。

「保育類野生動物」選定のプロセス

台湾の本法律における3種の「保育類野生動物」の選定は、まず中央政府の農業部※2の下に設置された「野生動物保育諮詢委員会」が評価・分類し、最終的に政府が公告します。

対象動物の選定にあたっては、以下5つの基準を総合的に評価し決定されます。

  1. 野生個体群の分布
    どの地域にどれくらい広く分布しているか
     
  2. 現在の個体数
    特に成熟個体(繁殖可能な成体)がどれくらいいるか
     
  3. 個体群の増減傾向
    増えているのか、減っているのか、急減しているのか
     
  4. 分類学的位置づけ
    台湾固有種か、希少な亜種かなど、生物学的重要性があるか
     
  5. 脅威の程度
    ・生息地破壊の速度
    ・開発による環境悪化
    ・密猟・捕獲・取引圧力
    ・人為的利用による影響 など

選定される動物の対象には、台湾の固有種だけではなく、海外原産の種も含まれ、魚類や無脊椎動物、珊瑚なども含まれています。

※2 日本の農林水産省に相当します。

珍貴稀有保育類野生動物に分類されるミミセンザンコウ(Manis pentadactyla)。
© Suzi Eszterhas / Wild Wonders of China / WWF

珍貴稀有保育類野生動物に分類されるミミセンザンコウ(Manis pentadactyla)。

台湾以外の国の法規制

台湾以外の国のコツメカワウソの取引・飼育規制を見てみると、 近年韓国では「動物園および水族館の管理に関する法律」の改正により、コツメカワウソなどの野生動物は法的に基準を満たす動物園・水族館以外の展示や飼育は原則禁止となりました。

また同時期に行なわれた「野生生物保護及び管理に関する法律」の改正では、「ホワイトリスト」制度が作られ、学術目的等を除き現在は同リストに掲載された動物種(哺乳類9種、鳥類17種、爬虫類655種、両生類207種:コツメカワウソは含まれない)以外の輸入や韓国国内における取引・飼育が禁止されています。

さらに、イギリスにおいてもコツメカワウソは「Dangerous Wild Animals Act(危険野生動物法)」において危険動物に分類され、特別な許可を取得した場合を除き、飼育が禁止されています。

コツメカワウソは他国では保全や動物福祉、取扱いに伴う危険性などから学術目的以外の展示や飼育が禁止されている場合があります。
日本は、触れ合い目的の展示のほか、登録手続きを踏めばペット飼育が可能ですが、果たしてそれだけで十分なのか、他国の規制を参考にしつつ、見直しの必要性を検討すべきです。

日本の法規制の改善に向け、WWFは今後も日本政府や国会議員などに働きかけを行なっていきます。

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