© Antonio Busiello / WWF-US

生物多様性と気候変動の観点から見たG7コーンウォールサミット

この記事のポイント
G7サミット(主要7か国首脳会議)が、2021年6月11~13日、英国コーンウォールで開催されました。その成果として、首脳らによる共同宣言「G7カービスベイ首脳コミュニケ」が採択されました。共同宣言では現在も続いている新型コロナウイルスのパンデミックを2022年までに収束させることや(保健)、経済回復と雇用、自由で公正な貿易という項目に並んで、「気候および環境」も項目として掲げられています。
目次

G7の首脳がコミットした気候変動と生物多様性の政策

G7の首脳たちが、地球の存在を根底から揺るがす、気候危機や生物多様性の損失という大きな課題に対して、今後どのような考えや姿勢で取り組むのか。

それを明らかにしたG7の結果は、2021年10月に開催される国連生物多様性条約第15回締約国会議や11月に開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議での結果も左右します。

WWFジャパンでは、今回採択された共同宣言「G7カービスベイ首脳コミュニケ」や、その付属文書である「自然協約=Nature Compact」について、次の様に考えています。

脱炭素社会実現の観点でのWWFジャパンの見解

G7の共同宣言として初めて、パリ協定のより踏み込んだ目標である1.5度に気温上昇を抑えることを支持し、2050年に温室効果ガスネットゼロ、2030年までに半減させることにコミットしたことは高く評価します。

また、「排出削減対策のない石炭火力への新規の政府支援を2021年中に廃止する」と、5月のG7気候・環境省会合の合意よりも踏み込んで期限を明記したことも評価したいと考えます。

しかしG7で唯一石炭火力の輸出を支援している日本は、インドネシアやベトナムなどにおける既存の石炭火力支援は継続しており、共同宣言の実効性が問われています。

さらに国内の石炭火力については「排出削減対策を取らない石炭火力からの移行をより加速する」と、期限も合意されなかったことは遺憾です。

「排出削減対策をとらない」とは何を意味するのか、いわゆる日本の言う「高効率な石炭技術(高効率であっても天然ガスの2倍排出)」は含まれると日本が解釈するならば、これは単なる抜け穴に過ぎず、現状を変える気がないと言わざるを得ません。

G7先進国が足並みをそろえてこそ、中国やインドなどの新興国における石炭使用に歯止めとなることが期待される時に、日本が足を引っ張ることは断じて避けなければなりません。

日本は2030年までときちんと年限を切って、国内の石炭火力も廃止していくべきです。1.5度を本気で目指し、2050年ネットゼロ、2030年46%削減、さらに50%の高みを目指すと表明した日本は、今こそその具体的な実現策を実行するときです。

日本が2030年に石炭火力をすべて廃止したとしても、国内の電力供給には問題ないことを示すシナリオ分析をWWFジャパンは2020年12月に発表しています。

日本企業がパリ協定時代に競争力を持ち続けるためにこそ、日本は今変わるべき時です。

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生物多様性回復の観点からのWWFジャパンの見解

WWFジャパンは、2030年までに生物多様性の損失を回復に転じさせることを約束した「ネイチャー・コンパクト(自然協約)」をG7首脳が合意したことを歓迎します。

「2030年自然協約」は、89の国と地域を代表するリーダーが承認した「リーダーによる自然への誓約(Leaders’ Pledge for Nature)」を基にしたもので、菅総理も今回のG7会合に合わせる形で誓約に参加表明をしています。

WWFは、この公約を行動に移すための具体的なステップとして、自然に配慮した経済活動、森林保全、野生生物の違法取引への対処を重視しています。

これらの取組はパンデミックに対する我々の脆弱性を軽減するだけでなく、気候危機に対処するためにも重要なものです。

2030年までに陸と海の少なくとも30%を保全・保護するという世界目標は、地球上の生物多様性を守るために不可欠であり、WWFは自然損失の要因に対する効果的な行動と包括的な資金調達が伴って初めて、ネイチャーポジティブな世界を実現することができると考えています。

このような世界からのニーズに応え、今回のG7会合では、イギリスのジョンソン首相が、約750億円の生物多様性回復のための「ブループラネット基金」の設立を発表しました。

日本政府も、G7国の一員として、生物多様性回復に向けて、国際的なリーダーシップを発揮することが求められています。

2021年10月に中国の昆明で開催される国連生物多様性条約第15回締約国会議では野心的目標を定めた「世界的な生物多様性の枠組」(Global Biodiversity Framework)が採択されることを、WWFは求めます。またその後に行なわれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議においても「自然に根ざした解決策(Nature based solutions)」を橋渡しとして、双方の統合的な活動を推し進めるべきであると、考えています。

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G7関連情報(外務省のサイト)

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