© Sayaka Shimomoto / WWF-JP

2100年の地球から この夏の参院選を見る


はるか太古の昔から地球上で繁栄してきた、ヒトの大先輩の生物達も倒れる暑さです。

3年に一度の参議院議員選挙、7月20日の投開票日が迫ってきました。今回の選挙は、政権にとっての分岐点と言われていますが、温暖化対策にとっても今まさに分岐点であると言えます。

2024年の世界の平均気温が、産業革命前に比べて1.55度上昇し、一時的とはいえ、パリ協定の目標である1.5度を超えてしまいました。

1.5度目標の数字には理由があります。2018年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による1.5度特別報告書で、2度の気温上昇よりも1.5度の方が、温暖化による影響をはるかに抑えられることがわかったのです。そこから世界の目指すところは1.5度目標となり、コロナ禍を経た2021年COP26でパリ協定に参加する約200か国の首脳達も1.5度を目標とすることに合意しました。

IPCCの報告書では、2023年発表の政策決定者向け第6次統合報告書に、こんな図があります。

出典:IPCC 第6次評価報告書政策決定者向けの統合報告書 シナリオごとに生まれた年によって異なる70歳時点の温暖化の影響の差が示されています。真剣に対策しなければ 2020年生まれのこどもが80歳になる2100年以降も気温は上がり続けていくといいます。

出典:IPCC 第6次評価報告書政策決定者向けの統合報告書 シナリオごとに生まれた年によって異なる70歳時点の温暖化の影響の差が示されています。真剣に対策しなければ 2020年生まれのこどもが80歳になる2100年以降も気温は上がり続けていくといいます。

自身の小学生時代より格段に夏が暑い実感はありましたが、この図を見て今のこども達が生涯にわたって受ける影響度合いの大きさに愕然としました。

IPCCの第6次評価報告書は、今起きている温暖化がほぼ人間活動によるものと断言しました。IPCCの報告書は専門の科学者同士がお互いに論文を査読しあい、温暖化の科学の最新の知見が確信度をつけて掲載された報告書です。地球温暖化を信じようが信じまいが、産業革命以降の約200年間に地球の平均気温は1.5度上がっており、これは人間が引き起こしたものなのです。

平均気温が1.5度上昇するというのは、(国内の都市別平均気温で例えると)東京の気候が高知の気候になるくらいの変化です(※)。これが実際に地球上で起きている温暖化の実態です。(写真はWWFジャパンの事務所がある三田国際ビルからの眺め)
© Jason Houston / WWF-US

平均気温が1.5度上昇するというのは、(国内の都市別平均気温で例えると)東京の気候が高知の気候になるくらいの変化です(※)。これが実際に地球上で起きている温暖化の実態です。(写真はWWFジャパンの事務所がある三田国際ビルからの眺め)※出典:気象庁・過去の気象データ「1991年から2020年までの平年値」

温暖化を進めてしまった大人の責任として、将来のこども達のためにも、各候補者や政党の公約を慎重に見極めて投票したいと思います。

温暖化対策についての各政党のマニフェスト比較サイトを、今回の参院選でもオープンしました。こちらもぜひご参考に、投票所に足を運んでください。

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自然保護室(気候・エネルギーグループ)
下元 清香

小学生の頃、図書館で地球環境問題の大きな本を手に取り、人口爆発の絵にショックを受けて以来、環境問題に細々と関心を持ち続けてきました。難しくなりがちな気候変動とエネルギーの問題を、多くの人にわかりやすく伝えたいと思っています。

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