WWFスタッフによる雑誌等への投稿・連載


雑誌『世界』(岩波書店)への寄稿

2023年1月号掲載 温暖化による「損失と損害」基金創設へ
-COP27の成果と課題(執筆:小西雅子)

  • この記事は、岩波書店の「世界」2023年1月号に掲載されたもので岩波書店様のご許可を得て掲載しているものです。

岩波書店の月刊誌『世界』2023年1月号に、WWFジャパン小西雅子のCOP27報告が掲載されました。大洪水や干ばつなど気候変動の深刻な被害が相次ぐなか開催されたCOP27の最大のテーマは、「損失と損害」に対する資金支援。難航した議論の推移や、1.5°C目標への対策強化のゆくえを、現地から報告しました。「損失と損害」をめぐる歴史的対立から解きほぐし、今回の新基金設立に至る経緯と意義、そして残念ながら進展しなかった温室効果ガスの削減強化と、日本の課題について、長年交渉現場をつぶさに見て来た小西が詳述しています。

GALAC 2023年5月号 巻頭インタビュー THE PERSON

小西雅子 地球の未来が決まる8年間

「GALAC」2023 年 5 月号(発行:放送批評懇談会)の巻頭インタビュー企画 THE PERSON に小西雅子が登場しました。局アナからフリーアナウンサー、気象予報士に転身。ハーバード大修士、法政大博士にして世界自然保護基金(WWF)ジャパン専門ディレクターで大学教授でもありながら、気さくに誰にでもわかりやすく環境やエネルギー問題を語る小西雅子。お茶目な一面も垣間見えるが、科学に基づいた政策論は情熱的。脱炭素社会に向かって、日本のメディアに突き付けられた課題を語りました。脱炭素化は環境だけではなく、経済、国際政治、国際関係論、エネルギー工学でもあり、学際的です。環境に携わる記者だけでなく政治記者、経済記者、社会科学の記者、全員に関わります。
(聞き手・構成/川喜田 尚、写真/赤司 聡)

  • この記事は、放送批評懇談会のご許可を受けて、「GALAC」2023年5月号から転載しています。

気候変動に関する科学的知見まとめたIPCC報告書 WWFジャパン小西雅子インタビュー(聖教新聞2022年4月21日)

-平均気温の上昇「1.5度」の目標達成は可能 温室効果ガス排出量削減を“私の挑戦”に-
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次報告書の第1・第2・第3作業部会の報告書が揃った4月、WWFジャパン小西雅子のインタビュー記事が4月21日の聖教新聞に掲載されました。各作業部会報告書のポイントと、日本で鍵となる取り組みについてお話しました。温室効果ガスの排出削減には、特にエネルギーの電化が不可欠です。そして多くの人が再生可能エネルギー由来の電気を選択すれば、電力会社に再エネへの転換を促す後押しにもなります。“自分も温暖化を進めている”という自覚を持って、温室効果ガスを排出しない“体質”に変え、仕事場や学校などでもできることを後押ししていく姿勢が大切です。

  • この記事は、聖教新聞社のご許可を受けて、聖教新聞2022年4月21日記事から転載しています。
※掲載ページに誤りがございましたので、下記の通り、修正いたします。
7段(下から2段目)11行目 誤)気候変動の影響 → 正)気候変動の緩和

朝日新聞EduA 58号200字まとめ作文に小西雅子インタビュー記事「地球への甘え改めるとき(耕論「共進化していく世界」(2022年1月5日掲載)より)」

朝日新聞の耕論に2022年1月に掲載された「共進化していく世界」の中から、WWFジャパン小西雅子のインタビュー記事「地球への甘え改めるとき」が、朝日新聞の教育情報誌EduA 58号の200字まとめ作文に活用されました。教育アドバイザーの清水章弘さんが、記事を深く読み、作文にまとめるポイントを解説しています。

EduA58号はこちらからご覧になれます。
(11ページに、該当の記事がございます。)

『前衛』2022年4月号対談企画気候危機打開へ問われる日本─脱炭素へ具体的な行動を直ちに 山岸尚之(WWFジャパン気候エネルギー・海洋水産室長) 武田良介(日本共産党参議院議員)

2021年9月に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表した同党の武田良介参議院議員と、長年気候変動に関する国際交渉に参加してきたWWFジャパンの山岸尚之が、2022年2月に対談した内容が、『前衛』4月号に掲載されました。COP26で世界が1.5°C目標へ大きくシフトしたこと、アンモニアや水素に過剰に期待したゼロエミッション技術は石炭火力延命策であり国際社会には通用しないこと、2030年までの取り組みが決定的であること、脱炭素が新しい経済の道を切り開くこと、「公正な移行」について利害関係者が時間をかけて議論し合意する政策決定のプロセスが必要なこと、EUタクソノミーの議論から日本が学べること等、幅広くお話しました。地域が持続可能社会に成長するためのヒントも見えてきます。


  • この記事は、日本共産党中央委員会のご許可を受けて、前衛2022年4月号記事から転載しています。

※掲載ページに誤りがございましたので、下記の通り、修正いたします。
121ページ下段15行目 誤)吸収減 → 正)吸収源
123ぺージ上段16行目 誤)出しまた → 正)出した

WWFと考える~SDGsの実践~(朝日新聞SDGs ACTION!)

今や広く認識されるようになったSDGs。ですが、期限とされる2030年までにゴールするには、まだ多くの課題が山積みです。このシリーズでは、WWFジャパンが、SDGs達成に貢献するためのカギとなる視点や取り組みを、世界の最新の動きと共に紹介します。

WWFジャパン 脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ 電炉比率50年に70%想定 水素還元・電気分解製鉄法も検討(産業新聞2021年3月11日掲載)

WWFジャパンが12月に発表した『脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ』について、WWFジャパンの小西雅子と研究を委託したシステム技術研究所の槌屋治紀氏が産業新聞より取材を受け、2021年3月11日の産業新聞にインタビュー記事が掲載されました。シナリオでは鉄鋼業について、電炉比率を高めるとともに、水素還元製鉄の早期実用化などが、2050年にゼロカーボンを実現するための鍵を握ると分析しています。いつの時代も高いハードルを越え、課題を解決してきた鉄鋼業界。再生可能エネルギーをメインに鉄を造る未来が来ることを願っています。

  • この記事は、株式会社産業新聞社のご許可を受けて、日刊産業新聞2021年3月11日記事から転載しています。

「脱炭素社会」へ、いま私たちができること。小西雅子 『潮』2021年3月号【特別企画】動き出す世界問われる日本

『潮』3月号の特別企画「動き出す世界問われる日本」で、世界の情勢と日本の現状について解説する四名の論客の一人として、WWFジャパンの小西雅子が取材を受けました。いま世界で共通のキーワードになっている「脱炭素」と「カーボンニュートラル」。この2つの言葉を軸に、気候変動対策に向けた国際社会の潮流と、身近なところからできる取り組みについて、基本のキから解説、考えていきます。
2018年10月に発表されたIPCCの「1.5°C特別報告書」によって、世界全体の脱炭素を2050年までに達成できれば1.5°Cの気温上昇で抑えられることが示され、国際的な潮流が大きく変わりました。温室効果ガス排出の9割が化石燃料に由来する日本のすべきことは、エネルギー利用の効率を高めることと、エネルギーを再生可能エネルギーに転換していくことです。送電網といった現行の電力システムのインフラのままでも、前例主義を排して広域での融通を増やせば、電力需要の50%まで再エネを導入できます。一人ひとりの消費者にとっても、部屋の照明をLEDに変える、再エネのみを扱う電力事業者を選ぶといったことも、今では簡単にできます。

  • この記事は、株式会社潮出版社のご許可を受けて月刊『潮』2021年3月号から転載しています。

多事争論 話題◎コロナ禍と気候変動対策 経済回復局面で推進か停滞か アフターコロナの気候変動対策(月刊エネルギーフォーラム 2020年6月号)

新型コロナウイルス感染症拡大防止の副作用で、世界各国で経済悪化が深刻な状況だ。これまでの社会の前提が覆された中、今後の気候変動対策を巡りさまざまな意見が出ている。

柱に据えるべき「グリーン回復」「経済vs温暖化」の二項対立は非生産的(山岸尚之)

国際的には「Green Recovery(緑の回復)」や「Build Back Better(より良い復興を)」といった概念の下、感染拡大の経済影響からの回復は、より持続可能な社会への回復を目指し、気候変動対策にも貢献する形でなされるべき、という議論が始まっている。
今後の回復に向けた経済対策は、最も影響を受けた人々の救済という視点に加え、脱炭素社会への移行に貢献できるか否かを基準の一つとして盛り込むべきである。
気候危機は現在進行形であり、パンデミック下でも止まってはくれない。もはや「経済回復か、温暖化対策か」といった単純な二項対立に陥っている余裕は、世界にも日本にもないが、悲観的になる必要もない。「回復」する先は、人々にも環境にも、より持続可能な、より良い社会を目指すことができるし、そのようにして危機を乗り越えていくことこそが、今私たちに求められている「イノベーション」である。

  • この記事は、株式会社エネルギーフォーラムのご許可を受けて「月刊エネルギーフォーラム」2020年6月号から転載しています。

日本企業の温暖化対策ランキングからみえてきたこと(『環境管理』2020年1月号)

WWFは、独自プロジェクト「企業の温暖化対策ランキング」の下で、製造業を中心に企業各社の取り組みが真に実効性のあるものであるかを業種横断的に評価してきた。その結果、素材産業の多くやエネルギー関連業種において、情報開示の面では ある程度取り組みレベルが高まっている反面、戦略や目標の策定の面では、全般的に取り組みが遅れている実態が浮き彫りとなった。TCFD提言に沿って、将来にわたる事業活動の持続可能性を示す上でも、まずは短期志向から早急に脱却し、2030 年や2050 年、2100 年といった長期の視点に立つことが重要である。

  • この記事は、一般社団法人産業環境管理協会のご許可を受けて『環境管理』誌から転載しています。

脱炭素社会に向けて企業に求められるもの カギを握る長期&ライフサイクルの視点と再エネ活用(月刊ビジネスアイ エネコ2020年1月号 パリ協定特集)

パリ協定は、世界の平均気温の上昇を2℃未満(できれば1.5℃)に抑えるため、今世紀の後半には人間活動による温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告書」の知見を当てはめると、この目標は、できれば2050年まで(1.5℃目標)、遅くとも2075年まで(2℃目標)の脱炭素化を目指すことを意味します。パリ協定は企業など非国家アクターの役割を最大限重視しています。脱炭素化へのパラダイムシフトを後押しする近年のESG(環境・社会・ガバナンス重視)の潮流の中で、SBT(Science Based Targets)やJCI(気候変動イニシアティブ)など企業に求められる取り組みの現況、日本企業の取り組みと課題、長期ビジョン・目標の意義について、長年企業の気候変動対策を精査し、対策強化を後押ししてきたWWFジャパンの池原庸介が概観、解説します。

  • この記事は、株式会社日本工業新聞社のご許可を受けて「月刊ビジネスアイ エネコ」2020年1月号から転載しています。

脱炭素社会に向けた世界の動向と非国家アクターによるイニシアティブ(『環境管理』2019年7月号)

パリ協定の下、企業や機関投資家、都市、自治体、NGOなどの「非国家アクター」による脱炭素社会の実現に向けた取組みが加速している。世界の主要都市が、2050 年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするコミットメントを表明し、企業がパリ協定と整合した排出削減目標を策定する「 Science Based Targets」が世界のスタンダードになりつつある。こうした取組みを強力に後押ししているのがESGの潮流であり、長期的な視点を持ち実効性の高い気候変動対策を進め、適切な情報開示を行っている企業が、投資家からも高い評価を得るようになっている。

  • この記事は、一般社団法人産業環境管理協会のご許可を受けて『環境管理』誌から転載しています。

隔月刊地球温暖化 連載 “paint a future”

今世紀後半には温室効果ガスの排出量の実質ゼロを掲げるパリ協定が誕生した今、時代は、脱炭素社会を実現していく担い手たちの活躍の場となっています!WWFジャパンの小西雅子が、パリ協定実施の一翼を担う最先端の現場を訪問し、さまざまな立場にあるプレイヤーたちの考え方や取り組みを紹介するインタビューシリーズです。
パリ協定担い手の主役たちは、企業、行政、研究機関、市民団体など様々です。そこでは新発想のアイデアが息づき、生き生きと実践されており、脱炭素社会へつながる未来へ大いなる希望を感じさせます。ぜひご覧ください!

  • この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています

第23回(前編) 2024年1月号 金融庁 CO2を出さない経営戦略の開発を 移行期を支えるトランジッションファイナンス

持続可能な社会構築のためには産業構造の転換が欠かせません。エネルギー供給側の脱炭素化に加え、労働力の円滑な移動を含めた需要側、すなわち、産業界の姿勢が問われます。大きな役割を果たすのが企業の脱炭素化を促進させる金融面の働きです。注目を集める「トランジッションファイナンス」を深掘りするため、金融庁総合政策局総合政策課長の髙田英樹氏に、グリーンファイナンスとの相違点や、気候変動が財務に与えるリスクについてなど、小西がインタビューしました。

第22回(後編) 2023年11月号 JFEスチール(株)、JFEエンジニアリング(株)  国内初、洋上風力発電のモノパイル製造 グループのシナジーを最大限発揮して

JFEグループの強みは、グループ全体の業態に幅があることです。鉄鋼事業のCO2排出量削減に並行して、エンジニアリング事業や商社事業を通じて社会全体のCO2削減量拡大をめざしています。JFEエンジニアリング(株)は、国内初の洋上風力発電着床式基礎(モノパイル式)製造工場をJFEスチール(株)西日本製鉄所敷地内(福山地区)に構えました。その現場を小西が訪ねました。

第22回(前編) 2023年9月号 JFEスチール(株)、JFEエンジニアリング(株) 基盤素材「鉄」のカーボンニュートラル 製造プロセス転換を本格化

GDPの2割を占める素材産業はグローバル競争の激化と2050年カーボンニュートラルに向けた生産プロセスの転換に迫られています。他産業の脱炭素化をも左右する鉄鋼業の責務は大きいのです。そのような中、従来の高炉プロセスにメスを入れるJFEスチール(株)。業界トップクラスの電気炉技術の最大活用をはじめ、攻めの姿勢が目立ちます。大転換を決意した鉄鋼業の現場を、小西が訪ねました。

第21回(後編) 2023年7月号 積水化学工業(株) フィルム型ペロブスカイト太陽電池 ねらうは再エネ大量導入時代の世界市場

積水化学工業(株)が進める技術開発の中でも、とりわけ CO2 排出削減に関する革新領域へ の注目度は高い。フィルム型ペロブスカイト太陽電池はその筆頭に挙げられるでしょう。持 てる技術を掛け合わせる「加工の力」で、社会課題の解決に対峙してきた同社が次に挑むの は、再エネ大量導入時代の世界市場です。開発の進捗、事業化に向けた道程をたずねました。

第21回(前編) 2023年5月号 積水化学工業(株) 社会課題の解決を礎にした技術開発 事業領域を生かし生活の基盤を支える

2022年に創業75周年を迎えた積水化学工業(株)。2020年に掲げた長期ビジョン『Vision 2030』で、創業以来のDNAと自負する、社会課題解決への貢献拡大を前面に打ち出しました。「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントに、ESG経営を戦略の柱に据えます。目標は業容を倍増させる売上高2兆円、営業利益率10%以上。脱炭素の新しい旗手と注目の集まるペロブスカイト太陽電池の技術開発にも取り組んでいる 同社R&Dセンターの森田氏にインタビューしました。

第20回(後編) 2023年3月号 西日本旅客鉄道(株) 脱炭素化の鍵は再エネの追加性 ペロブスカイト太陽電池の国内初実装も

日本全体の電力のうち2%を消費している鉄道事業者。CO2排出量の9割を占める電力の削減や置き換えが必至です。“鉄道の”脱炭素化にとどまらず、新たな再エネ生産にも参加する“鉄道による”脱炭素化への期待も大きい。2030年、2050年に向けて、省エネの深化と再エネの拡大を両輪に据えるJR西日本グループの具体策をたずねました。一般共用施設での採用計画が世界初となるペロブスカイト太陽電池の導入についても聞きました。

第20回(前編) 2023年1月号 西日本旅客鉄道(株) 環境優位性を高める脱炭素化への挑戦 社会インフラとして鉄道事業がなすべきこと

鉄道は他の交通機関と比べてエネルギー効率が高いことで知られ、持続可能な環境交通の実現には、生活やビジネススタイルの中に鉄道の利用を定着させることが不可欠といえます。加えて、グリーン電力の活用拡大など、脱炭素を追求した鉄道事業そのもののレベルアップが求められます。環境優位性を高めるために、まず着手すべきは何でしょうか。脱炭素の取り組み、カーボンニュートラル実現への道筋について、小西が踏み込みました。

第19回(後編) 2022年11月号 (株)グローバルエンジニアリング 電力需給に応じたデマンドレスポンス 潤滑油のようなアグリゲーターに

電力の「計画値同時同量制度」の下で、新たなビジネスとして台頭してきたのが、デマンドレスポンス(DR)のアグリゲーターです。電力会社などと需要者の間に入り、複数個所のエネルギーリソースを束ねて取引することで。DR の価値を金銭化して提供します。その草分け的存在である(株)グローバルエンジニアリングを小西が訪問し、リソース開発の進め方、再エネの有用な調整弁になる蓄電所「系統用蓄電池」の開発・運用、さらに「節電による DR」についても聞き出しました。

第19回(前編) 2022年9月号 (株)グローバルエンジニアリング 電力需給ひっ迫にどう向き合うかデマンドレスポンスサービスの可能性

2022年3月22日、地震による火力発電所の停止・出力低下と季節外れの寒波による電力需要増が発生したことで、東京と東北エリアで初めて電力需給ひっ迫警報」が発令された。6月26~29日は猛暑により注意報が出されている。ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機や電力需給ひっ迫が叫ばれる中、その盲点を指摘する声も高まっている。デマンドレスポンスの草分け的な存在として早くから着手してきた(株)グローバルエンジニアリングを、小西が訪ねました。

第18回(後編) 2022年7月号 (国研)産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(FREA) 再エネを使いこなす水素キャリア 社会に求められる技術開発とは

再生可能エネルギーの余剰電力を水素に変換するだけでなく、この水素をさまざまな分野に活用するpower to Xという概念が生まれています。建物付帯型の水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」の開発とZEBでの採用は燃料電池を使った発電です。使う側の多様性を考慮し、効率的に水素を貯蔵・運搬する「水素キャリア」研究も進んでいます。小西の産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(FREA)訪問記・後編です。

第18回(前編) 2022年5月号 (国研)産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(FREA) 未来を担う再エネ由来の水素利用を見据えた製造・貯蔵技術開発を

地球上で最も多く存在する原子-水素。今、最も熱いのは再生可能エネルギーを水電解によって変換させて生み出すグリーン水素です。有望なエネルギー源になる可能性が高く、日本が世界を牽引する脱炭素技術の知的財産としても期待が高まっています。変動する再エネを大量に使いこなすためには、低コスト化につながる製造・貯蔵技術が欠かせません。水素研究の最先端にある産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(FREA)を、小西が訪問してきました。

第17回(後編)2022年3月号 (株)セブン&アイ・ホールディングス 追加性のある脱炭素事業に挑戦 店舗は地域循環の中にあるからこそ

小売業界のCO2排出削減は、店舗におけるCO2排出削減対策が軸という点で各社共通点があります。しかし、実際の中身は似て非なるものであることに気づかされます。追求すべきは脱炭素だけではなく、どんな企業体をめざすのか、理念と将来像が投影されているからです。(株)セブン&アイ・ホールディングスが今、社会に向けて発しているものとは。小西が聞きました。

第17回(前編)2022年1月号 (株)セブン&アイ・ホールディングス 店舗運営に伴うCO2排出削減の追求 省エネ・創エネ・再エネ調達を柱に

グループのシンボルでもあるセブン-イレブンの店舗に最新の設備と技術を採用した省エネ店舗の横展開を始めた(株)セブン&アイ・ホールディングス。CO2排出削減に向けた3つの柱に省エネ・創エネ・再エネ調達を掲げています。グループの店舗運営に伴うCO2排出量を2050年実質ゼロとするため、2030年目標を2021年5月に30%削減から50%削減に改めました。どのような考え方で脱炭素チャレンジを行っているのか、小西が聞きました。

第16回(後編)2021年11月号 一社)日本風力発電協会 進む国内洋上風力発電の産業化 2030年の事業規模は5兆円に

カーボンニュートラル宣言以降、再生可能エネルギー由来のゼロカーボン電力への期待が大きく膨らんでいます。主役に踊り出たのは風力発電。特に洋上風力は官民一体のワーキンググループが洋上風力産業ビジョンを発表した他、政府の成長戦略の重点分野にも置かれています。目標を達成し、洋上風力を日本の主力産業にするには何が必要でしょうか。小西が聞きました。

第16回(前編)2021年9月号 一社)日本風力発電協会 世界の主役、洋上風力発電 投資のメインターゲットにも

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の発表によると、2020年の新規風力発電導入量は前年の58GWから110GWとほぼ倍増しました。注目されるのが洋上風力発電です。デンマーク・コペンハーゲンの沖合に世界で初めての商業用洋上ウインドファームが誕生してから21年。出現以来のインパクトと波が押し寄せています。世界の動きと国内の進捗について、小西が聞きました。

第15回(後編)2021年7月号 東京都環境局 電力を使う側から再エネの需要促進を 聖域なき取り組みの追求

2030年に向けて、都内温室効果ガス排出量の50%削減を表明した東京都。行動の加速を「TIME TO ACT」の旗印に込め、実現に必要な社会変革のビジョン「カーボンハーフスタイル」を提起しました。2021年3月にアップデートした具体策「ゼロエミッション東京戦略」に、エネルギー大消費地“だからこそ”の取り組みを盛り込み、挑戦を始めています。

第15回(前編)2021年5月号 東京都環境局 2030年までに温室効果ガスを50%削減 今後10年に向けて行動を加速する時

2021年3月末、国に先駆けて2030年50%削減を発信した東京都に、小西がインタビューしました。脱炭素社会に向けて、2050年CO2排出量実質ゼロに取り組むことを表明した自治体は、40都道府県の368自治体に上ります(2021年4月14日時点)。人口ベースでは1億人を超え、脱炭素化の波はうねりとなりつつあります。もちろん、掲げた旗印は眺めるものではないはずで、実現に向けた道筋を示し、どう行動するのか。今、その真価が問われ始めています。

第14回(後編) 2021年3月号 (株)みずほフィナンシャルグループ 顧客とのエンゲージメントから生まれるサステナビリティソリューション

サステナブルファイナンス・環境ファイナンスの実行額を、2019年度~2030年度で累計25兆円とする目標を掲げた(株)みずほフィナンシャルグループ。気候変動リスクへの対応強化の観点から、併せて石炭火力発電所の新規建設を使途とするファイナンスからの撤退も決めました。脱炭素化への移行を実現するため、同社自身の変革が加速しています。2019年に大きな話題を呼んだ株主提案も話題に、社会が求める脱炭素社会の実現に向けて、どのような取り組みをしているのか、小西が取材しました。

第14回(前編) 2021年1月号 (株)みずほフィナンシャルグループ 経営戦略とサステナビリティの融合金融機関として何ができるか

環境対応(Environment)社会貢献(Social)、企業統治(Governance)の面で優れた企業を選別し、株式や債券への投資判断を行うESG投資が主流化しています。背景にあるのは、社会全体のサステナビリティ実現です。金融機関には、中長期的な視点で、その支援を行うパートナーとしての役割が期待されつつあります。社会の脱炭素化を後押しする巨大金融機関のサステナビリティの取り組みを、小西が取材しました。

第13回(後編) 2020年11月号 (株)JERA 浮体式は日本にこそ向いた技術 総合エネルギー企業としての自負と役割

台湾の洋上風力発電事業「フェルモサ」に参画する(株)JERA。台湾で蓄積した経験やノウハウを日本に持ち帰り、日本の洋上風力産業の発展に貢献することが目的です。加えて欧州やアジアなど世界各地域で、再生可能エネルギー事業の開発を手がける機会を貪欲に探究する姿には、次代を切り開いて行こうという強い意志がにじみます。同社の挑戦は日本の新たな基幹産業を産み出す原動力となるに違いありません。炭素事業から脱炭素事業へ。今後の展望について、WWFジャパンの小西雅子がお聞きしました。

第13回(前編) 2020年9月号 (株)JERA 再エネ参入を決断 洋上風力発電でアジア市場を手に

欧州を中心に大規模なハブプロジェクトが進行する洋上風力発電。(一社)日本風力発電協会は、2040年には世界各国と方を並べる市場規模が必要だとして国内で30~45GWを目標に掲げます。「世界のエネルギー問題に最先端のエネルギーソリューションを提供する」ミッションを掲げる(株)JERAが新たに挑戦を始めたのも、この洋上風力発電です。もともと火力発電の電力会社であるJERAの転身に驚いた小西が、JERA本社を取材してきました!

第12回(後編) 2020年7月号 九州電力(株)×東京製鐵(株) 電炉鋼材の生産拡大を通じた脱炭素化 環境戦略が経済的利得に

九州電力㈱と連携した「上げデマンドレスポンス」によって、電力の低コスト化を図りながら、生産量を拡大・維持していく手法を上手く取り入れた東京製鐵㈱。生産活動を通じたCO2の排出抑制、脱炭素化は、その延長線上にあります。鉄スクラップを主原料に鉄鋼製品を生み出す、国内最大規模の電炉メーカーには、さらに次の手腕が試されています。今後の展開について、WWFジャパンの小西雅子がお聞きしました。

第12回(前編) 2020年5月号 九州電力(株)×東京製鐵(株)
再エネをムダなく使う上げDR 供給側と需要側の連携が鍵に

需給バランスが乱れると停電や周波数の乱れが発生する電気は、生産と消費が同時に行われ、基本的に貯めることができません。そのため電力会社は、前日に電力需要を予測し、発電計画をつくっています。「デマンドレスポンス」は供給量に需要量を合わせる手法。消費側がいかに電気を使うか、その工夫が電力需給の常識を変えようとしています。太陽光発電量が急速に増えている九州で、国内ではまだ珍しい「上げDR」を実施した九州電力と東京製鐵の取り組みを取材しました。

第11回(後編) 2020年3月号 シュナイダーエレクトリック
マイクログリッドの強みを生かして自然災害へのレジリエンス強化も

コストの高さとビジネスモデルがまだ明確でないとの認識が一般的だったマイクログリッド。ところが世界では5年以内の投資回収が可能になり、分散型電源が主役を担いつつあります。これら分散型電源を含むインフラマーケットが拡大する世界で、日本企業は主役となれるのでしょうか?日本においては、日本独自の規格がこれまで日本進出を図る海外企業に苦戦を強いてきましたが、マーケットが広がる途上国では最初から国際規格を採用するケースが増え、日本企業の足かせになるケースがあります。これからのパリ協定時代を見据えた最適なマイクログリッドソリューションを提供しようとしているシュナイダーエレクトリックに、WWFジャパンの小西雅子がお聞きしました。

第11回(前編) 2020年1月号 シュナイダーエレクトリック
電力は一方通行から双方向へ メガトレンドをつかんだエネルギー戦略

世界では安く早く手に入る電気である再生可能エネルギーが、人権確保にもつながるという新世代のエネルギー事業。現在、世界の電力網は劇的な変化を遂げつつあります。気候変動への対応と温室効果ガス排出量削減の必要性に直面し、再生可能エネルギーの導入が急速に拡大しているからです。翻って日本国内では、電力網や電力をめぐり、再エネ大量導入への課題に直面しています。今回は、マイクログリッド技術を通じた課題解決の道筋を探ります。WWFジャパンの小西雅子がお聞きしました。

第10回(後編) 2019年11月号 宇宙航行宇研究開発機構(JAXA)
衛星が教えてくれる地球の真実 気候変動科学に不可欠な技術躍進を

二酸化炭素はどこからどれだけ発生しているのでしょうか。その答えを求めて、世界初の温室効果ガス観測専用衛星として運用を始めた「いぶき」。稼働から10年。日本の地球観測衛星としては、最長寿命を更新中です。気候変動枠組条約の下で作成する温室効果ガスインベントリの算定にも、欠かせない技術になりそうです。最先端のデータを追う運用の人間臭い現場をWWFジャパンの小西雅子が聞き出します。

第10回(前編)2019年9月号宇宙航行宇研究開発機構(JAXA)
宇宙科学研究の使命を背負う衛星たち 存在意義を持つ地球観測をめざして

今や衛星から、地上の温室効果ガスを観測できる時代!パリ協定がスタートする2020年を前にますます地球観測衛星の役割が重要になっています。これまでに世界各国で打ち上げられた人工衛星は、国際宇宙ステーションの輸送機なども含めて7600機を超えます(2017年時点)。地上に回収されたり落下したものを除いても約4400機が軌道上に存在するといいます。宇宙への探求心は可能性でもあります。ここではまず、地球観測衛星を開発しはじめた人類の歴史から振り返り、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」について、WWFジャパンの小西雅子が聞き取ります。

第9回(後編)2019年7月号AGC(株)
素材メーカーだからこそSDGsに貢献 顧客の要望がニッチ市場の開拓に

ガラスの原料は、珪砂、長石のような天然資源に由来するものと、ソーダ灰を始めとする化学工業薬品に大別されます。1917年、このソーダ灰の自給を始めたAGC(株)は、以降100年以上の時をかけて、クロールアルカリやウレタン、ガス・溶剤、フッ素化学品、ライフサイエンスといった化学品事業を深化・拡大させてきました。自社が保有する技術をいかに本業としてSDGsに貢献してきたのでしょうか。WWFジャパンの小西雅子が聞き出します。

第9回(前編)2019年5月号AGC(株)
建築物における省エネの弱点は窓 ガラスメーカーの技術の粋を集めて

夏に窓から入り込む熱の割合は約7割、冬場には窓から逃げ出す熱はおよそ5割にもなると言われています。つまり、窓の遮熱性と断熱性を高めることは、建築物の省エネ機能そのものを向上させます。明治期に、日本初の板ガラス工業生産を始めたAGC(株)(旧社名:旭硝子(株))。窓を追求した製品開発の進化、社としてのCO2削減戦略に、WWFジャパンの小西雅子が迫ります。

第8回(後編) 2019年3月号 ㈱NHKエンタープライズ
挑戦する企業を主役にした報道を 解決策を示せる番組づくりをめざして

気候変動を取り巻く社会と、変化するビジネスの様を描いたNHKスペシャル「激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃」。COP23の現場で日本の企業団とずっと行動を共にして取材したプロデューサーによる番組への反響は大きく、関心が高い企業のみならず、事の重要性に気づいていなかった経営層や中小企業の多くにも、脱炭素化がビジネスを左右しうることが伝わったようです。まさに社会を変えたといっても過言ではないこの番組のプロデューサーに、番組に関わった企業の様子や、放送後の反響などについて、WWFジャパンの小西雅子がインタビューしました。

第8回(前編) 2019年1月号 ㈱NHKエンタープライズ
“脱炭素革命”の衝撃がもたらしたもの ビジネスの変化を実感とともに

2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)でパリ協定が合意されて以降、気候変動対策は、「低炭素化」から「脱炭素化」へ、大きくパラダイムシフトされたといわれています。その渦中にある社会とビジネスの変化を強く印象づけたのが、2017年12月に初回放送されたNHKスペシャル「激変する世界ビジネス~“脱炭素革命”の衝撃」でしょう。NHKでこの番組を放映にこぎつけた敏腕プロデューサーに、10年以上にわたりジャーナリストの皆さまと意見交換するシリーズ勉強会を開催してきた小西雅子が、番組制作にかける熱意と苦労、「ビジネス」に着目した理由を聞き出します。

第7回(後編) 2018年11月号 東京都交通局
気象の変化と水害リスク 広域の避難行動が鍵に

山地が多い日本で人が住める可住地は、国土のわずか3割。特に東京や大阪、名古屋などの大都市圏を擁する湾周辺は、海抜ゼロメートル地帯が大きく広がっており、こうした大都市圏に地下空間が広がっていることは周知のとおりです。川の水面より低い地域が多い東京では、荒川下流域で風水害に備えたタイムラインの運用も始まりました。気象の変化によって危険性が高まる水害から命をどう守るのか。避難行動のあり方を含めた広域的な取り組みへと発展しつつあります。雨の降り方が「新たなステージ」に入った現在、適応の最前線の避難行動計画はどのように運用されるのでしょうか。

第7回(前編)2018年9月号 東京都交通局
地下空間における浸水対策ハード・ソフトの両面で立ち向かう

時間降水量が50mm以上の「非常に激しい雨」は、ここ30年で約1.3倍に増加しました。気象庁の異常気象レポートでは、21世紀末には、全国すべての地域で非常に激しい雨の年間発生数が増加すると予想されています。とりわけ地下空間は、地上の状況が把握しにくく、氾濫水が一気に流入する浸水リスクが高いとされます。"万が一"に備えた都営地下鉄の取り組みを、WWFジャパンの小西雅子が尋ねました。

第6回(後編) 2018年7月号 住友化学㈱
知恵×イノベーション ビジネスのあり方を低炭素社会に沿った形に

気候変動対策に取り組む以上、それは「本業」であるからこそ意味があるという住友化学㈱。総合化学メーカーとしての成長を遂げ、全事業を世界に展開するグローバル経営の進化に伴って、「気候変動対策=本業」を突き詰める姿勢は、化学会社としての在り方を改めて本質から見つめ直しているようにも見えます。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)がまとめた「気候変動に関する情報開示を促進する提言」への支持を表明している住友化学㈱の考えに、WWFジャパンの小西雅子が迫ります。

第6回(前編) 2018年5月号 住友化学㈱
化学会社としての使命と役割 事業を通じた社会貢献を見える化

深刻化する一方の温暖化、異常気象や海面上昇、感染症対策など、温暖化の影響に備ええる「適応策」は待ったなしです。実はこの適応は日本企業が持つ技術力が活かせる分野でもあります。 アフリカにおいて、マラリアを媒介する蚊の対策を展開することによって、マラリアの減少に貢献したのは、日本の住友化学㈱です!“本業のビジネス”を通じて社会課題の解決に貢献する企業の思いを、WWFジャパンの小西雅子が聞き出します。

第5回(後編) 2018年3月号 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
再エネの出力予測が系統運用の低コスト化を実現する!? エネルギーマネジメントのこれから

海外の系統運用機関では、風力や太陽光など天気によって変動する電源の出力を予測する技術を効果的に活用することが、系統運用費用の低減には欠かせないという認識が一般的です。実際に電力の需給運用にこういった再エネ変動電源の出力予測が積極的に活用され、再生可能エネルギーの高い導入目標を下支えすると共に、電力の安定供給の中核技術を担っています。海外ではメジャーな出力予測は、日本ではどう活用されているのでしょうか? 日本での再エネ活用の可能性に、WWFジャパンの小西雅子が切り込みます。

第5回(前編)2018年1月号伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
気象予測を用いた変動電源の出力予測先端のIT技術が支える未来への扉

CTCの再エネを予測する技術を、気象予報士でもあるWWFジャパンの小西雅子が読み解きます!柔軟な電気供給や広域的な電力融通の促進、再生可能エネルギーや自家発電など、多様な電源を供給力として活用する。こうしたシステムや仕組みを支えるのが情報技術(IT)やモノのインターネットと呼ばれるIoTです。長年、これらIT技術を強みとしてきた伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)は、その技術力を生かし、気象予測を用いた電力の出力予測システムやIoTソリューションを提供しています。

第4回(後編) 2017年11月号 キリングループ
企業に求められる主体的な取り組み 価値創造による長期的な事業継続を

環境問題のグローバル化やステークホルダーの要求増加により企業の社会的責任が増し、法令対応に留まらない自主的かつ積極的な取り組みが求められています。CDPやSBTといった国際的なイニシアチブを選択肢として取り入れる企業は増えているものの、"負担"と捉える風潮が根強い現実もあります。キリングループがその懸念を払拭し、投資回収3年の壁を打破できた理由とは? CSVコミットメントを切り口に、WWFジャパン小西雅子が秘訣を聞き出します。

第4回(前編) 2017年9月号 キリングループ
中長期的な経営指標に環境の観点を 始まりは徹底的な省エネから

キリングループでは2017年2月、グループ一体での中長期的な経営指標について「健康」「地域社会」「環境」の重点的な取り組みによって持続可能をめざす『CSVコミットメント』を策定しました。これら3つの社会課題に対してイノベーションの創出を加速し、社会的価値と経済的価値の実現を確実に達成する経営を前進させるとのことです。環境を経営の中心に据える取り組みの本質に、WWFジャパンの小西雅子が迫ります。

第3回(後編) 2017年7月号 積水ハウス㈱
健康で快適な住環境を追求 住宅産業の総力で世界の変動に立ち向かう

小西雅子が日本の低炭素社会を築くプレイヤーを訪ねて歩くインタビューシリーズ、第3回目は、住宅メーカーの責任としてエネルギーや地球環境問題といった社会課題に対峙してきた積水ハウス(株)。新築戸建て住宅のスマートハウス化は進み、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)は実に全契約数の7割を超えました。一方、取り組みのりしろが大きいものの、転換が難しいのが既存住宅やマンションなどの集合住宅。社会のあり方を問いながら住環境を追求する住宅業界の未来を展望します。

第3回(前編) 2017年5月号 積水ハウス㈱
住宅メーカーの意志と挑戦 戸建て住宅のZEH化推進へ

パリ協定に提出を求められている2050年に向けた長期的な削減計画において、日本が掲げる2050年80%温室効果ガス削減目標の達成のため、住宅メーカーには、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)をはじめとする脱炭素型の住まいへの転換が期待されています。省エネ部材や機器の商機でもある住宅。2016年度の新築一戸建て住宅のZEH比率74%を達成するなど、地球環境保全の取り組みをリードする積水ハウスの事業戦略に迫ります。2008年には日本で初めて2050年の脱炭素を宣言した同社は、実現に向けてどのように取り組んでいるのでしょうか?

第2回(後編) 2017年3月号 九州電力㈱
再生可能エネルギーの最大限導入 予測の精度をいかに高めるか

これまで運用したことのない発電特性をもつ太陽光を供給力に組み込むことは、電力会社にとっても大きな挑戦です。2030年度エネルギー需給構造「再エネ22~24%」で示された再生可能エネルギー導入の絵姿を実現させるためには、今度、どのような運用が求められるのでしょうか? 日本で一番太陽光が急速導入されている九州で、最新の運用技術に迫ります。

第2回(前編) 2017年1月号 九州電力㈱
電気の番人-中央給電指令所 再エネ運用に対峙して

2016年5月には再エネの導入が瞬間時で需要の78%を記録した九州電力。各地域の電力会社は、年間を通じ、発電量と消費量のバランスを取ることを原則に、実情に見合った需給運用を行わなければなりません。東日本大震災以降、特に電力需要が高まる夏冬は、国が細かな電力需給対策を決定するなど常に緊張が続いています。今回は、再エネ78%を可能としたその運用の現場、九州電力株式会社の「中央給電指令所」を訪ねました。どのような運用が行われていたのでしょうか。

第1回(後編) 2016年11月号 ㈱東芝
水素の本分は発電と燃料利用 未来をつくるための技術開発を

蓄電池と水素電力貯蔵との組み合わせで、安定的に電力を供給できる自立型水素エネルギーシステム「H2OneTM」(エイチツーワン)を開発した(株)東芝。災害時を想定したBCP(事業継続計画)モデルで市場を開くとともに、離島や遠隔地での水素エネルギー供給も視野に入れています。今後、どのような水素ソリューションを開発し、「クリーンな水素社会の実現」をめざすのでしょうか。

第1回(前編) 2016年9月号 ㈱東芝
再エネ由来の電気を水素で貯蔵 季節変動への強みを武器に

CO2フリーな水素供給システムの確立をめざして策定された政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」。2040年頃に安価で安定的、かつ環境負荷の小さい水素で製造する技術を確立することが盛り込まれています。エネルギー貯蔵媒体としての水素活用の可能性が取りざたされる中、技術開発を進める㈱東芝では、どのような社会像を描いて製品開発を進めているのでしょうか。

四谷大塚月刊教育情報誌『Dream Navi』の巻頭記事「夢を追って」への寄稿

子どもの夢の実現を応援し、目標を育てることを目指す、四谷大塚の月刊 教育情報誌『Dream Navi』の巻頭記事「夢を追って」に小西雅子のインタビュー記事が掲載されました。小西の子ども時代の夢や、温暖化防止の活動に興味を持った経緯、WWFでの活動内容や、夢の実現に向けたメッセージも紹介しています。子ども時代に身につけた勉強癖が今を支えていること、国際交渉でも仲間をつくることで道は拓けることを、等身大の小西が語っております。

日刊工業新聞・2016年2月29日・第二部地球環境特集への掲載記事

『企業の取り組み 長期的視点を』

COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択されたパリ協定では、法的拘束力のある国連文書として初めて意欲的な長期目標が明記 されました。温暖化の最大の原因でありながら、思うように削減が進んでこなかった化石燃料の消費に対し、パラダイムシフトをもたらす成果です。今 後、「5年サイクル」で科学をベースに対策が進んでいく仕組みも盛り込まれました。ビジネスのあり方に対しても、大きな変化をもたらしていくこと が予想されます。パリ協定を受け、今後どのようなことがビジネスに求められてくるかについて、池原が解説します。

毎日新聞が子供向けに発行している「ニュースがわかる」12月号への寄稿

地球・人間環境フォーラム発行『グローバル ネット299号』2015年10月号への寄稿

「特集 世界が歴史的 な合意を実現するために~パリ会議(COP21)を目前に、改めて気候変動問題について考える」掲載記事

日本の温暖化対策は、政府レベルでは停滞気味です。こうした状況が企業の温暖化対策にも悪影響を与えるのではないかとの懸念から、WWFでは「企業の温暖化対策ランキング」を開始しました。環境報告書類などで開示されている情報に基づき、各企業の取り組みレベルを同一の指標を用いて評価するプロジェクトです。このプロジェクトの評価結果から、国レベルでの対策不在が日本企業の取り組みにも少なからず悪影響を及ぼしていることが見えてきましたが、一方で世界的に見ても先進事例といえるような優れた取り組みを実施している企業も見られました。日本企業の取り組みレベルや、グローバルな新しいイニシアチブ『Science Based Targets』などについて、池原が解説します。

雑誌『地球温暖化』(日報ビジネス株式会社)での連載

WWF気候変動・エネルギーグループの小西雅子が、国連の気候変動に関する国際会議COPについて、日報ビジネス株式会社の雑誌「地球温暖化」に2012年5月号~2013年3月号まで「COP17後の温暖化対策」、2013年5月号から「小西雅子のなるほど!国際交渉」と題した連載をしています。京都議定書会議などの現場にずっと参加しているWWFスタッフならではの、臨場感あふれる語り口が好評です。ダイナミックに動いている国際交渉の今を感じてください!

  • この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています。

2016年3月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「最終回 パリ協定は多大な宿題を、政府・自治体・企業・私たち全員に出している:今後の温暖化対策は私たちの行動次第!」

2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択されました。 1990年以降の長い国際交渉で、歴史的排出責任を巡って対立してきた先進国と途上国が、互いに身を切るような譲歩を示して成立した"すべての国が削減に取り組む協定"です。奇跡的な合意と言っても過言ではないパリ協定ですが、実は196か国の政府の駆け引きだけで成立したものではありません。政府の会議が行われている大会議場と同じ広さを持つもう一つの大会議場では、世界中から企業や自治体・都市などが集結して、2週間の会期中ずっと入れ替わり立ち替わり野心的な温暖化対策への意欲を宣言したのです。これらの非国家主体がそれぞれの政府の方針にかかわらず、温室効果ガスを削減していく強い意志を示したこともパリ協定の成功に大きく寄与しました。
いわば、パリ協定は政府・自治体・企業も含めた総意があってこそ成立したもので、今後パリ協定を活かすのはそれぞれがいかに決まった内容=宿題を実施していくかにかかっているのです。

パリ協定の成立を見守った小西雅子が、パリ協定が出した宿題、日本がすべきことについて解説します。

2016年1月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第17回 パリ協定成立!国際的な温暖化対策にとっての歴史的な合意」

2015年11月30日から、フランス・パリで開催されていたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において2020年以降の温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』が採択されました。私も11年間温暖化の国際交渉をフォローしていますが、これほど前進が感じられたのは初めてでした!

COP21のパリ会場で、歴史的瞬間に立ち会った小西が、パリ協定について、わかりやすく解説します。

2015年11月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第16回 いよいよパリCOP21を 前に:パリ会議 は成功できるか?」

世界190カ国が温暖化対策を国連の条約で定めて協調して実施し始めた のが1992 年の気候変動枠組み条約からで、法的に拘束力のある京都議定書を経て、いよい よ2020年以降の新しい国 際枠組みに合意するCOP21が年末に迫ってきました。  実は2009年のCOP15の時には、京都議定書の次の約束期間を決める会議で、世 界は合意に至ることができず、緩い自主的な約束に 留まったことがありまし た。 果たして今回のパリCOP21は成功できるのか?今後温暖化 が防げる枠組みが 合意されるのか?WWF小西がわかりやすく解説します。

2015年9月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第15回 パリの新枠組みと国際NGO」

2015年末にパリで開催されるCOP21で、2020年以降の新しい温暖化対策の国際枠組みが決まります。今回は、パリを前にちょっと基礎に戻って解説したいと思います!
そして196カ国もの政府団が交渉する国連の温暖化対策の会議において、国際NGOとはどんなことをしているのか?果たしてその役割に意味はあるのか(笑)についても踏み込んでみたいと思います。

小西が、温暖化対策の国際会議について、またそこにおける国際NGOの果たす役割について、詳しく解説します。

2015年7月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第14回 国連の気候変動に関する補助機関会合 ボン会議(SB42&ADP2.9)の 速報:パリへ向けて交渉テキスト案の整理進む」

歴史的に温暖化に責任のある先進国と、途上国の間に、厳然たる差を設けていた京都議定書から、2020年以降にはすべての国を対象とした温暖化対策の国際枠組みがつくられることになっています。歴史的な合意がなされるのか、年末のパリで開催されるCOP21に向けて温暖化の話題が世界中で盛り上がってきました。2015年には4回、パリCOP21に向けた準備会合が予定されており、その第2回目の会合が、ドイツ・ボンにおいて、6月1日から11日まで開催されました。ここでは大きく分けて3つの焦点がありました。

  1. 2020年 以降の国際枠組み「パリ合意」の交渉テキスト案:進展が見られた
  2. 2020年 までの先進国の温暖化対策の国際評価:日本も登場
  3. 2020年 以降の削減目標について:世界の1/5の国が2020年 以降の目標草案を提出、日本の2030年目標草案も政府原案公表

この3点 について、日本の目標に対する国際的な評価を交え、小西が分かりやすく解説します。

2015年5月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第13回 2020年以降の新枠組みの目標案、EUとアメリカが先行 日本の目標案は?」

2020年以降の新枠組みにおける国別削減目標案は、年末のパリCOP21の十分前までに国連に提示し、なぜ自国の目標案が公平で科学的に妥当だと考えるのか、説明が求められていま す。6月・8月・10月 には中間会合が予定されており、その会合や非公式にも、各国がお互いの目標案について比較検討することが予想されます。
そして11月1日 までには、各国の目標案を足し合わせて2℃未満に抑えるために科学的に妥当かを検証する報告書が出されることになっています。つまり、各国の目標案の 科学的な妥当性と公平感が、強く問われる半年間になっていくのです。
3月末までに、スイス、欧州連合 (EU)、 ノルウェー、メキシコ、アメリカ、ガボンの6カ国が目標案を提示しました。
日本は国内のエネルギーミックスの議論が決まっていないことを理由に、提出できませんでしたが、日本の目標案 にとって一番影響力があるEUとアメリカの目標の公平性の説明を日本に適用するとどうなるかを試算し、小西雅子がわかりやすく解説します。

2015年3月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第12回 COP21パリ会議に向けて、2015年の温暖化の国際交渉の予定表:問われる日本の決断力」

昨年末のリマCOP20では、京都議定書のように先進国と途上国間に明確な差を設けていた体制から、全ての国を対象とした温暖化対策の国際枠組みつくりに向けて、時代が移り変わっていくことが強く示唆された結果となりました。2020年までは、中国など新興途上国も参加して初めて削減行動を公約する体制になりましたが、途上国、日米など先進国ともに、削減義務のある形を嫌ったため、自主的な取り組みのカンクン合意(法的拘束力なし)になりました。そのため、2020年以降は、全ての国が法的拘束力のある条約の中で、科学的に2℃未満達成に十分な削減目標を掲げることが切望されており、2015年末にパリで開催されるCOP21における新枠組み合意に向かって交渉が加速しています。2015年の交渉がどのように進められるのか?2020年以降の新枠組みの中身がどうなるのか?小西雅子がわかりやすく解説します。

2015年1月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第11回 COP20リマ会議報告:2020年以降の新枠組みに向けて、削減目標のつくり方にギリギリ合意」

2014年12月1日から2週間の予定で南米ペルーの首都リマで始まったCOP20・COP/MOP10。予定された会期を1日半延長した12月14日未明にようやく終了しました。焼けつくような日差しの中、仮説テントの会場で、文字通り"熱い"交渉が繰り広げられましたが、最後は2015年に合意すべき2020年以降の新しい温暖化対策の国際枠組みに向けて、弱いながらもなんとか道筋をつけることができました。今回のCOP20では、主に3つの事項について成果が求められていました。1つ目は、2020年以降の新しい国際枠組みにおいて、最も肝となる各国の削減目標を、どんな内容で出すべきかについて決めること。2つ目は、目標を提出した後に、それぞれの国の目標について、果たして科学的に十分か、お互いに公平な努力かを国際的にチェックし合う仕組み(事前協議)について決められるかどうか。3つ目は、2020年以降の枠組みについて、何を入れ込んでいくのか、合意の骨組みをつくることでした。これら3つの事項の達成に向けて、どんな交渉が行われ、各国がそこに合意することがどうしてそんなに難しいのか、現地で昼夜休まず見てきた小西が臨場感たっぷりにご報告します。

2014年11月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第10回 来るCOP20リマ会議に向けて」

2014年も年末恒例のCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)が始まりました。この年の最も大きな動きは、アメリカ、中国が温暖化対策に積極的になってきたことではないでしょうか。アメリカは6月の準備会合で2015年3月に目標案を出すと明言、9月の国連気候変動サミットでは中国も、同じく2015年3月に目標案を提出すると記者発表しました(*)。これまで消極的だった2大排出国が目標案を出すことで、すでに2013年中に早々と2015年3月に目標案を出すと宣言していた欧州連合と合わせ、世界の排出量の約半分を占める3強がそろいました。そんな中始まったCOP20。最も重要な案件は2つ、①削減目標案の内容について決めることと、②2020年以降の新枠組みの要素(項目)について決めることです。日本はようやく2030年目標案の議論の場が立ち上がったばかりで、目標案を提示する時期も明言できていません。日本も真剣に温暖化に向き合う姿勢へ"転換"することが求められています。

  • (*)原稿執筆後の2014年11月12日にアメリカと中国はそろって目標案を発表しました(アメリカは2025年までに05年比で温室効果ガスを26~28%削減、中国は30年ごろまでをCO2排出のピークとし、国内の消費エネルギーに占める化石燃料以外の比率を約20%とするとの目標)

2014年9月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第9回 この秋にはスタートしたいこと (1)2020年までの削減目標の見直し (2)2030年目標を議論する場の立ち上げ」

国連のバン・キムン事務総長による国連気候サミットが9月23日に開催されます。2009年の気候サミットで当時の鳩山元首相が2020年25%削減目標を発表し、世界の拍手喝采を浴びました。今の日本は、暫定ではあるものの、2020年目標を大幅に引き下げ、新しい2030年目標の議論すら始まっていません。温暖化をめぐる国際交渉では、2015年末にパリで開催されるCOP21で2020年以降の新たな温暖化対策の国際条約が合意されることになっており、それに先立つ2015年3月までに各国の削減目標案を提出することになっています。日本も早急に新しい2030年目標を決めていかなければなりません。そのために国民の声を十分に汲み上げる議論の場が立ち上がることが、この秋に最も求められています。

2014年7月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第8回 国際社会における主流の温暖化対策は、再生可能エネルギーと省エネルギー」

温暖化は化石燃料エネルギーの消費に伴って出る温室効果ガスが原因のため、"化石燃料をどうするか"が温暖化対策のメインとなります。世界では再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進が温暖化対策の主流として注目を集めており、日本でも将来のエネルギー像として数値目標を設定し、国全体として向かう姿勢を示すことが望まれます。今号の連載では、(1)なぜ温暖化対策といえばエネルギーの話になるのか、(2)日本の温暖化対策を左右するエネルギー計画の課題、(3)世界の温暖化対策に関連するエネルギーの議論の動向について、の3つの質問に答える形で小西が解説します。

2014年5月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第7回 IPCC第5次評価報告書の 発表! 今後の国際交渉への影響はいかに?」

国連の温暖化の科学の報告書であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2007年から7年ぶりに第5次評価報告書を発表しました。これは温暖化の科学(第1作業部会)、影響と適応(第2作業部会)、温暖化政策(第3作業部会)の3つの報告書から成り立っています。ここでは温暖化対策に最も関係する第3の政策の報告書について述べ、その注目点や日本に求められる取り組み、今後の国際交渉への影響について、3つの作業部会の総会全てに参加した小西が解説します。

2014年3月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第6回 2014年:日本の宿題 は? なかでも2030年削減目標の検討が重要!」

温暖化が人間活動によってもたらされている可能性をさらに強く示したIPCCの第5次評価報告書を受けて行われた昨年末のCOP19。190ヶ国の国益がぶつかって、国際交渉の歩みは大変遅いように見えます。それでも次の温暖化条約に向けて、作業計画は少しずつ決まってきており、国際社会は動き出しています。日本は2014年に何を求められているのか、最重要の3つの宿題-①2030年の削減目標の議論、②2020年目標の引き上げ、③削減可能性の高い技術や政策の推進-について、現地に赴いた小西が解説します。

2014年1月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第5回 国連気候変動ワルシャワ会議報告:先進国と途上国の対立構造に変化」

2013年11月11日からポーランド・ワルシャワで開催されていた国連気候変動会議(COP19・COP/MOP9)が、会期を1日延長して23日の土曜日に閉幕しました。今回の会議では、結論から言うと成果が乏しい点は否めないのですが、2020年以降の枠組みの目標をいかに決めていくかという重要な点について、「決定する前に各国が目標案を国連に提出して、事前に話し合ってから決める」ということを前提とした合意がなされました。またこれまでの気候変動交渉における先進国と途上国の対立の構図が変化していることを実感する会議ともなりました。その詳細を、現地に赴いた小西雅子が報告いたします。

2013年11月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第4回 COP19を前に日本の温暖化対策は?」

2013年の9月に国連の地球温暖化に関する最高峰の科学の報告書IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から、新しい第5次評価報告書の第1作業部会(温暖化の科学)の報告書が発表されました。大気と海洋が温暖化していることは疑う余地がなく、雪や氷河の量が減少し、海面数位が上がっています。もはや温暖化が人間活動によって引き起こされているかどうかの論争の段階は終了し、今後のさらなる温暖化をいかに抑えていくか、手段と方法を真剣に議論しなければなりません。温暖化の国際交渉の場であるCOP19では、どのような事が議論され、又は焦点となるのでしょうか。現地に赴くWWFの小西雅子が解説します。

2013年9月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第3回 もうすぐ発表!最新の地球温暖化の科学の報告書:IPCC第 5次 評価報告書」

国連の世界最高峰の地球温暖化科学の報告書IPCCの報告書第1弾の総会が、来週23日から26日にスウェーデン・ストックホルムで開催され、最終日に報告書が発表されます。2007年に発表された第4次評価報告書から6年を経て発表される温暖化の科学の報告書では、どのような新しい知見が報告されるのでしょうか?発表を前に、IPCCとは何か、どのような経緯で設立されたのか、どんな仕組みになっているのかについて、WWF小西雅子がお伝えします。小西は現地にも赴き、WWFインターナショナルの他の専門家10人と共に、最新情報をお届けする予定です。

2013年7月号 小西雅子のなるほど!国際交渉「第2回 国際交渉で何が決まっているのか?」

気候変動枠組条約という初めての温暖化防止条約が採択されたのが1992年、発効後初めてのCOP1を経て、COP3で歴史的に排出責任がある先進国に個別に削減目標を課す京都議定書が採択されました。以来、18回もの会合が行われ、これまでの軌跡を元に2013年からは、京都議定書に続く新しい温暖化対策の交渉が焦点となります。これから世界ではどんなテーマが課題なのか見ていきたいと思います。

2013年5月号<新連載>小西雅子のなるほど!国際交渉「第1回 議定書の効力とは?」

昨年度の連載に引き続き、本年度も国際交渉の現場の視点から、温暖化問題について小西雅子が連載していきます!続けて読めば、あなたも温暖化の国際交渉ツウ!

初回を飾るのは、世界ではじめての法的な拘束力のある温暖化条約となった京都議定書。日本ではいまいち人気がありませんが、世界はどのようにとらえているのか、今一度、京都議定書の意義を振り返り、どのような効果があったのか、見ていきます。そして2013年から始まった第2約束期間では何をしていくのか、日本は2020年まで何をしていくのか?一緒に見ていきましょう!

2013年3月号「温暖化対策を組み込んだエネルギー選択、社会インフラ構築を」

2013年になって京都議定書第2約束期間が終了し、第2約束期間に始まりました。しかし京都議定書に数値目標を持たない日本は、現在は国際的にも国内的にも法的な拘束力のある温暖化政策がない国となっています。早急に温暖化政策を定めていく必要がありますが、実は温暖化対策とは、そのままエネルギー対策ともいえます。日本で再生可能エネルギー導入を阻んできた大きな社会的バリアの電力システムの改革に今回は迫ります。

2013年1月号「ドーハCOP18・COP/MOP8報告」

カタール・ドーハにおいて開催された気候変動に関する国際会議COP18・COP/MOP8では、先進国と途上国の間に歴然たる歳を設けていた京都議定書体制から、すべての国を対象とした新しい枠組みの交渉体制にスムーズに移行できるかどうかの結果と合意について解説しています。

2012年11月号「COP18ドーハ会議の論点」

COP18を前に、現在の国際交渉の本質的な課題、COP18の焦点、日本に期待されることについて、解説しています。

2012年9月号「安全で温暖化も進めないエネルギー選択をしていこう!」

温暖化が著しく進んできた近年では猛暑が当たり前となり、熱中症患者も急増して、日本でも温暖化に対する備えが日常的に必要になってきています。温暖化対策の先送りが致命的になること、今決められる2020年に向けた温暖化対策が重要であることを数字で示しながら説明し、再生可能エネルギーによる社会の実現に向けて真剣に検討することを呼びかけています。

2012年7月号「温暖化の国際会議と国際NGOの役割」

COPやCMPなど国連の気候変動に関わる会議の仕組みと、その中において地球益を考えて各国政府に働きかけ、国際交渉の最前線にいて最新の情報源となっているNGOの役割について、参加している立場からわかりやすく解説しています。

2012年5月号「温暖化国際交渉のこれまでと、COP17の成果」

2011年末に南アフリカのダーバンで開催された地球温暖化に関する国連会議COP17/CMP7は、当初もはや合意なしかと危惧されていました。しかし、本会議で2005年から7年間に及ぶ長い国際交渉を経て、2013年以降の温暖化の国際条約についてなんとか一定の合意の達し、京都議定書に続く温暖化防止の枠組みは継続されることになった。

雑誌『月刊ビジネスアイ エネコ』への寄稿

2015年7月号「COP21・パリ会議に向けて 気候変動交渉に吹く風」
~世界は「脱石炭」を求める流れ 日本は石炭火力で国際貢献でいいのか~

  • この記事は、株式会社日本工業新聞社のご許可を受けて「月刊ビジネスアイ エネコ」7月号から転載しています。

6月8、9日 にドイツ・エウマウで開催されたG7サミットの首脳宣言には、「2050年までに2010年比でGHG(温室効果ガス)の40~70%の上方での削減」という長期目標とともに、「今世紀中の世界経済の脱炭素化」というビジョンが添えられた。
このビジョンを達成するには、今世紀末までに「脱化石燃料」が必要であり、 その中でもCO2排出量が多い石炭からの早期脱却が必要となる。実際に国際的に見ると石炭への資金支援は減少傾向にあるが、実は日本においては逆行している。この8年間で着実に石炭支援を増やしており、今や世界一の石炭支援国だ。 日本の優れた石炭技術が世界の気候変動に関する国際貢献になるとの主張だが、 このまま石炭支援が国際貢献の主軸でいいのか、WWF山岸が疑問をなげかける。

2013年7月号「環境面から見た洋上風力発電の留意点
-基礎データ収集と環境影響評価の手法確立が急務」

  • この記事は、株式会社日本工業新聞社のご許可を受けて「月刊ビジネスアイ エネコ」7月号から転載しています。

世界的に多くの再生可能エネルギーが急速に普及している中、海洋国である日本にとって、洋上風力発電には各界から大きな期待が寄せられています。一方、大規模な洋上風力発電の開発に伴う野鳥や海洋の生態系などへの影響は、最小限に抑えなければなりません。海洋の生態系は未知の分野が多いため、環境アセスの基盤となる基礎データの収集と手法の確立が急務です。欧州の文献を調査し、日本の洋上風力発電に伴う環境アセスへの示唆を試みました。

雑誌『世界』(岩波書店)への寄稿

2023年1月号掲載 温暖化による「損失と損害」基金創設へ
-COP27の成果と課題(執筆:小西雅子)

  • この記事は、岩波書店の「世界」2023年1月号に掲載されたもので岩波書店様のご許可を得て掲載しているものです。

岩波書店の月刊誌『世界』2023年1月号に、WWFジャパン小西雅子のCOP27報告が掲載されました。大洪水や干ばつなど気候変動の深刻な被害が相次ぐなか開催されたCOP27の最大のテーマは、「損失と損害」に対する資金支援。難航した議論の推移や、1.5°C目標への対策強化のゆくえを、現地から報告しました。「損失と損害」をめぐる歴史的対立から解きほぐし、今回の新基金設立に至る経緯と意義、そして残念ながら進展しなかった温室効果ガスの削減強化と、日本の課題について、長年交渉現場をつぶさに見て来た小西が詳述しています。

2017年2月号掲載 ビル・マッキベン氏インタビュー
「気候変動を疑う新政権 どう立ち向かうか」(聞き手:小西雅子)

  • この記事は、岩波書店の「世界」2017年2月号に掲載されたもので岩波書店様のご許可を得て掲載しているものです。

ベストセラー『自然の終焉』等の著者で環境ジャーナリストであり、気候変動防止の行動を訴える国際NGO「350.org」共同創設者であるビル・マッキベン氏に、気候変動を疑う米国次期政権にどう立ち向かうか、WWFジャパンの小西雅子が聞きました。
米国の世論はどう考えているのか? 日本にできることは何かあるのか? 
国際社会の動きは? 小西の解説「問われるトランプ政権と日本」もございます。 どうぞご覧ください。

2014年8月号掲載 『温暖化「2度未満シナリオ」を可能にするために』

  • 岩波書店の「世界」2014年8月号に掲載されたもので岩波書店様のご許可を得て掲載しているものです。

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