© WWF-Japan

中高生向けエネルギーワークショップ2024開催報告

この記事のポイント
WWFジャパンは2019年度より、次世代を担う若い世代を対象に、地球温暖化防止をテーマにしたワークショップを実施しています。2024年度は内容を刷新し、再生可能エネルギー100%の実現に向けて、全国から集まった中高生が太陽光発電を社会に普及させるためのアイデアを考えました。
目次

中高生が全国から集結!地球温暖化防止を目指して

WWFジャパンがこれまで実施してきたワークショップ「選ぶ!私たちの未来とエネルギー」では、理想とする各エネルギー源の使用割合「2030年のエネルギーミックス」を考え、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)などの国際会議でも重要となる「交渉」を体験しました。

前回)
気候変動・エネルギー問題を議論する!中高校生向けワークショップ「選ぶ!私たちの未来とエネルギー」【情報・資料の提供ページ】 |WWFジャパン

2024年度はこれを刷新し、「考えよう!私たちの未来と再生可能エネルギー」としてパワーアップ! WWFが目標とする「再エネ100%社会の達成」のキーとなる太陽光発電を、どう社会に普及・定着させていくかを考え、ディスカッションしました。

ワークショップは2024年12月と2025年1月の2回行い、中学2年生から高校3年生までの77名が、全国各地から参加してくれました。

講義:地球温暖化と再エネについて学ぼう!

グループ内で議論した後は、その意見を全体に共有しました
© WWF-Japan

グループ内で議論した後は、その意見を全体に共有しました

まずはアイスブレイクとして、参加者が実感している地球温暖化による変化を語り合いました。気候の変化だけでなくエコバッグの普及や猛暑による部活動への影響など、さまざまな視点から意見が出て、ほとんどの人が地球温暖化による暮らしの変化を身近に感じているようでした。

続いてはWWFスタッフによる講義です。地球全体で見ると何が起こっているのか。干ばつ、洪水、サンゴの白化、森林火災・・・人間だけでなく野生生物たちにも深刻な被害が出ています。温暖化対策は、もう待ったなしの状況ですが、地球温暖化は私たちの努力で抑えることができます。

そのためには、地球温暖化の原因である温室効果ガスを減らす必要があります。日本では、排出量のうち約85%を化石燃料の利用に伴うCO2が占めます。そのため、大量のCO2を排出する化石燃料の使用を止め、CO2を出さない再生可能エネルギー(再エネ)で、エネルギーの需要を満たすことが必要です。

講師は、そのための世界のルール作りの様子や、日本のエネルギー政策、データの読み解き方のコツなどを、講義を交えながら伝えていきました。

レクチャーパートの講師はWWFジャパンが務めました
© WWF-Japan

レクチャーパートの講師はWWFジャパンが務めました

再エネ100%で電力を賄うことを目標にした場合、一番ポテンシャルが高いのは太陽光発電です。その導入や普及にはさまざまな課題がありますが、後半では複数のグループに分かれ、その解決方法を考えるワークに取り組みました。

ワーク:太陽光発電を普及する方法を考えよう!

参加者は、事前に配布された課題図書から、太陽光発電のしくみや長所・短所を学び、その普及における課題の解決法をそれぞれ考えてきました。まずはそれらをグループ内で共有してまとめ、イメージ図も使いながら解決策を具体化していきました。

それぞれの課題に対する解決策を持ち寄り、ディスカッションして1つのアイデアを練り上げました
© WWF-Japan

それぞれの課題に対する解決策を持ち寄り、ディスカッションして1つのアイデアを練り上げました

各グループのアイデアがまとまったら、いよいよ中間発表の時間です。2グループごとに分かれて、それぞれの解決策をお互いに紹介していきました。発表されたアイデアは、高性能太陽光パネルの開発、政府や自治体によるサポート(補助金、制度や法の整備)、学校での次世代教育の促進、課題解決アイデアコンテストの実施など、多岐にわたりました。

他グループの前で自分たちのアイデアをプレゼンし、フィードバックをもらいました
© WWF-Japan

他グループの前で自分たちのアイデアをプレゼンし、フィードバックをもらいました

発表を聞いた他の参加者は、その解決策の良い点、改善アドバイス、課題点・疑問点をふせんで整理していきました。

ワークの後半は、他グループからもらったコメントを参考にしながら解決策をブラッシュアップしていきました。「なるほど~、この視点はなかった」、「この点はもっと具体化させよう」など、フィードバックを参考にしながら、さらに説得力のある解決策に練り上げていきました。

他グループからもらったコメントを元にアイデアにさらに磨きをかけました
© WWF-Japan

他グループからもらったコメントを元にアイデアにさらに磨きをかけました

最後は、参加者全員に向けてのプレゼンです。発表者は自分たちのアイデアやアピールポイントを堂々と紹介し、他の参加者たちは、感心したり頷いたりしながら真剣に耳を傾けていました。

最後は全体に向けて8つのバラエティに富んだ解決策が披露されました
© WWF-Japan

最後は全体に向けて8つのバラエティに富んだ解決策が披露されました

振り返り~ここからから始まる未来

全グループの発表が終わると、いよいよ終了の時間です。最後にスタッフから、自らアクションを起こすこと、他者と関わることの重要性が熱く語られ、ワークショップは幕を閉じました。参加者からは「もうそんな時間?」、「もっと時間が欲しかった」という声が上がるほど、あっという間の3時間半でした。

ワークショップ終了後にも、参加者同士で語りあったり、スタッフに質問したり、壁のホワイトボードにメッセージを残したりして、しばらく交流の時間は続きました。

参加者アンケートには、

  • 普段は考えない大規模なスケールで環境問題の解決方法を考えられました
  • アイデアを出してチームでブラッシュアップしていく過程が楽しかったです
  • スタッフのサポートが充実していたのがよかった
  • 全国から集まった仲間とのつながりを作れました

などの声が寄せられ、このワークショップが実り多いものだったことがうかがわれました。

参加者がお互いの意見を尊重し、アイデアを出し合い、前向きに議論していく様子は、非常に頼もしいものでした。今回のワークショップでの経験が、参加者の今後の地球温暖化やその他の社会課題への関心を高め、具体的なアクションに繋がっていくことを期待しています。WWFジャパンはこれからも若者たちが担う次世代に豊かな自然環境をつないでいくため、さまざまな活動に取り組んでいきます。

ワークショップ終了後に参加者有志が寄せてくれたメッセージ
© WWF-Japan

ワークショップ終了後に参加者有志が寄せてくれたメッセージ

※なお、本プログラムは上田記念財団の御支援を受けて、実施いたしました。

開催概要:中高校生向けワークショップ「考えよう!私たちの未来と再生可能エネルギー」

日時:2024年12月14日(土)、2025年1月11日(土) いずれも 12:30〜16:00
場所:CO☆PIT(東京都港区港南 2-14-14 品川インターシティフロント 6階)
参加者数:それぞれ41名、36名
主催 :WWFジャパン

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP