海の環境と人の暮らしが調和した持続可能な水産業の拡大を目指して ―WWFジャパンの海洋保全活動(水産分野)に対する考えと取組み―


WWFジャパンは、人と自然が調和して生きられる未来を目指し、国内外の様々な地域・国で活動を行っています。豊かな海を守る活動は、WWFジャパンの重要な活動のひとつです。

海に囲まれた日本は、古くから水産業が発展し、各地で四季折々の海の恵みを活かした食文化が培われてきました。しかし、今、その食文化を支える水産業と、豊かな海の恵みを提供する海の環境そのものが危機を迎えています。

日本の食卓を彩ってきたカツオやサンマ、スルメイカなどの大衆魚が不漁になったり、気候変動の影響により海洋環境とそこに住む生き物が大きく変わろうとしています。それに伴い、漁業の継続や経済的な安定が難しくなるなど水産業に携わるコミュニティも影響を受けています。
WWFジャパンは、こうした現状を少しでも改善するために、気候変動対策や生物多様性の高い海の保全活動だけではなく、水産資源の価値向上にもつながる持続可能な漁業・養殖業の支援にも力を入れています。

漁業や養殖業が「持続可能」であるためには、資源である水産物をはぐくむ海洋生態系全体を保全し、事業の改善に取り組む漁業者の暮らしやコミュニティもまた豊かであり続けることが重要であると、WWFジャパンは考えます。
そのため、WWFジャパンは、漁業者・漁協、水産企業、加工業者、スーパー、飲食店、研究者、政府・自治体、そして実際に水産物を選択・購入する消費者に、幅広くアプローチを行っています。

その際に大切にしているのが、科学的な情報や世界の先進事例等をもとに、関係者との対話を重ね、現状と課題を把握し、そして共通のゴールに向けた解決策を一緒に模索し、実施していくということです。

海と水産業は世界とつながっており、また海に関する情報を把握し保全活動を行うことは技術的にも難しいため、これらを持続可能にしていくための課題は多く、また果てしない道のりです。しかしWWFジャパンは、改善への取り組みをあきらめません。関係者のみなさんの、引き続きのご理解とご協力をお願いいたします。

「持続可能な水産業を応援する」プロジェクトは「海の生物多様性を保全する」プロジェクトとともに、WWFジャパンの海洋保全活動の柱です。


WWFジャパンは、生産者、調達企業、海外のWWFオフィスなどと連携して、さまざまな「持続可能な水産業を応援する」プロジェクトを実施しています。

漁業・養殖業改善プロジェクト

生産者のみなさんと持続可能な漁業・養殖業への改善を進めています。

© WWF Peru

・宮城県南三陸町でのカキ養殖の改善
・インドネシアでのエビ養殖の改善
・チリでのサーモン養殖の改善
・カツオ・熱帯マグロ漁業の管理強化
・ペルーでのイカ・アンチョビー漁業の改善

持続可能な水産物の普及

持続可能な水産エコラベルであるMSC・ASC認証などの普及を行っています。

© WWF Japan

・海を守るための魚の選び方・食べ方ガイド
・サステナブルな出汁原料かつお節の販売支援

IUU漁業対策の推進

違法・無報告・無規制漁業を撲滅するため情報発信や提言を行っています。

© James Morgan / WWF-US

・IUU漁業対策フォーラムの設立と連携(外部サイト)
・トレーサビリティ強化のための提言・情報発信
・IUU漁業の解説動画と対策強化のための署名活動

ゴーストギア対策の推進

地域とともに漁具が適正に管理・リサイクルされる仕組みづくりを行っています。

© Fredrik Myhre / WWF Norway

・宮城県気仙沼市での漁具の回収リサイクルの応援

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP