© WWFジャパン

オカヤドカリの大量持ち出しを阻止!@奄美大島


5月7日、奄美大島で、国の天然記念物であるオカヤドカリ、合計160kgを持ち出そうとした疑いで中国籍の男3人逮捕、とのニュースが飛び込んできました。

天然記念物は、現状変更が禁止されているため、許可を得るなどしない限り実質上捕獲や飼育を することができません。オカヤドカリは、1970年から天然記念物の指定を受けています。

オカヤドカリはペットや食用としての利用が確認されている。3月には、宮古島で998匹を所持していた台湾在住の男が逮捕された事件も。
© WWFジャパン

オカヤドカリはペットや食用としての利用が確認されている。3月には、宮古島で998匹を所持していた台湾在住の男が逮捕された事件も。

そのため、こんなに大量に所持していることはとても信じられない事態です。

野生下にいる個体、そして複数の場所から、組織的に捕獲したことが疑われる事件です。

そして今回、逮捕に至った経緯も通常とは少し違っていました。

持ち出しについては、空港で発見されることが多いのですが、今回はホテルでの発見。

部屋の中でオカヤドカリがうごめいていた、その「音」を不審に思ったホテル側が通報

今回の事件の起きた奄美大島では、オカヤドカリ以外にも、シリケンイモリやクワガタなど、野生生物が大量に持ち出される事例が相次ぎ、現地では心配の声が挙がっています。

奄美大島の固有種アマミシリケンイモリ。ペットとして人気があり、捕獲や取引について現状規制がなく、大量捕獲・持ち出しが問題になっている。大量に捕獲され島から持ち出される事態が続けば、その生物種そのもの、また、その種が生息する場所の生態系全体へも影響を及ぼす可能性がある。
© WWFジャパン

奄美大島の固有種アマミシリケンイモリ。ペットとして人気があり、捕獲や取引について現状規制がなく、大量捕獲・持ち出しが問題になっている。大量に捕獲され島から持ち出される事態が続けば、その生物種そのもの、また、その種が生息する場所の生態系全体へも影響を及ぼす可能性がある。

こうしたことから、奄美大島では最後の砦ともいえる空港で、密猟や持ち出し防止のキャンペーンを実施したり、環境省や警察、空港・観光関係者などが連携したりして、島全体でこの問題について取り組みを進めています。

今回の摘発は、そうしたことが功を奏していることが伺えるものでした。

WWFジャパンも、現地で関連セミナーを開催するなど、取り組みの後押しとなる活動を実施しています。

これから夏向けて、旅することを計画している方も多いと思います。

旅先では、その地域の自然を楽しむと同時に、負の影響を与えることのないように意識し行動することが大切です。

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP