©Greg Armifield

ヤフーが象牙・象牙製品の取り扱いの全面禁止を表明

この記事のポイント
2019年8月28日、ヤフー株式会社が自社プラットフォームでの象牙・象牙製品の取引禁止を発表しました。対象はYahoo! ショッピングでの販売、ヤフオク! などにおける全ての出品。オンライン取引で国内最大の規模を誇るこれらのサービスで、象牙の取り扱いを停止することは、日本で生じている野生生物の違法取引問題の解決に大きく貢献するものです。ヤフーをはじめ、業界各社に対し、象牙取引の停止を求めてきたWWFでは、今回のヤフーの決定を歓迎すると共に、対応が遅れている日本政府に対しては引き続き、政策見直しを訴えていきます。

日本国内の象牙市場とヤフーの判断

野生のゾウの密猟を引き起こす、最大の原因である象牙は、 「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)」の取り決めにより、国同士の間で行なわれる「国際取引」が禁止※されています。

※アフリカゾウの象牙:1989年~、アジアゾウの象牙:1975年~

しかしその後も、日本をはじめ、いくつかの国では、それぞれの国内に限り、すでに在庫として存在する象牙や象牙製品の合法的な取引が続けられてきました。

そして近年は、日本の合法市場から少なからぬ象牙が、海外へ違法に密輸される事態が続いていることが、WWFジャパンの野生生物取引監視部門であるTRAFFICの調査でも明らかになっていました。

特に近年、国内での象牙の取引に積極的に利用され、違法取引 につながる有害な取引が確認されていたのが、ネットオークションをはじめとする、オンライン・プラットフォームの各サービスです。

WWFジャパンはTRAFFIC の調査に基づき、eコマース企業に対して、こうしたプラットフォーム上での象牙取引の停止を繰り返し要請。
これに応える形で、2017年には、楽天株式会社や株式会社メルカリが、日本企業としては業界に先駆け、自社判断で、象牙製品の取り扱いを禁止しました。

また、日本最大級のハンドメイドマーケットminneを提供するGMOペパボ株式会社も2019年2月~3月にかけて、既に禁止商材の対象としていた象牙を含む野生生物由来の製品の出品について、ユーザーへ周知徹底を行なうなど、野生生物の違法取引の対策強化を実施しました。

そして2019年8月28日、多年に及び対話を行なってきた、インターネットのプラットフォーム国内最大手ヤフー株式会社(以下、ヤフー)が、「Yahoo!ショッピング」およびオークションサイト「ヤフオク!」など全てのeコマースサービスにおいて、象牙・象牙製品の取り扱いを、自主的に禁止することを発表しました。

これにより、日本のeコマース業界は、全体としても大きくその取り組みを進めた形となり、WWFは同日、このヤフーの決定を歓迎する声明を発表しました。

eコマースでの象牙製品の取り扱いと課題

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今回の決定により、「Yahoo!ショッピング」および「ヤフオク!」では、約2カ月の猶予期間後の11月1日以降、象牙・象牙製品の取引が禁止されます。

主な商品としては、象牙で作られた印鑑(ハンコ)、アクセサリーや彫刻、数珠、三味線や琴などの和楽器で使われるパーツ、箸を含む食卓用具など。
その他、こうした製品の材料となる、印材やカットピース、牙一本の状態を保持する全形牙なども、全て取引が禁止となります。

また、この措置では、象牙を取り扱う事業者の他、非事業者としてオークション出品を行なう個人も対象となります。

オンラインのプラットフォームでは、匿名性の高さから、事業者と個人の識別が難しいなど、WWFジャパンでも課題を指摘してきました。

特に日本では、象牙を「事業」、つまり加工・製造、販売などで扱う際には、「特別国際種事業」として、国への事業者登録が義務付けられていますが、単発での「個人(非事業者)」間(C to C)の取引については「事業」とは見なされないため、事業者登録をせずに、象牙の売買が可能になっているのです。

個人が取引をおこなう場合、全形牙を除いては、象牙を合法的に入手したものかどうかを証明する義務が一切課せられません。

さらに、誰もが気軽に利用できる利便性のため、誰が売ったかだけでなく、誰が買ったのかなども、追跡が困難で不透明な状況にあります。

実際、違法取引に繋がる象牙の調達手段としてこうしたサービスが利用され、中には18カ月 (2011年11月~2012年4月)にわたり、3.2トンもの象牙製品を密輸していた中国国籍の人物が、日本のeコマースサイトで調達を行なっていた例も報告されています。

©Shujiazhuang Customs
©Shujiazhuang Customs

2016年8月、河北省石家荘税関で押収された、1,639点(重量101.4kg)の象牙製品。これは日本のeコマースサイトで調達され、違法に輸出されたもの。

業界による取引停止の措置は、こうした不透明な象牙取引を排除し、その後に起きている違法な輸出を阻止することにも繋がります。

日本政府に求められる対応

しかし、各社が自主的に取引を禁じた後にも、取引の動向を注視する必要があります。
TRAFFICが2018年に行なった調査でも、象牙取引を禁止したプラットフォーム内で、「象牙風」や「象牙色」といったタイトルで出品している製品の中に、本物の象牙である可能性が高いものが確認されました。

特に取引規模の大きなプラットフォームであったヤフーでの取引が禁止になることで、どのような変化が生じるのか、継続的な監視やユーザーの動向の調査は、引き続き求められていくということです。

こうした企業による先行した取り組みを後押しする意味でも、日本は国として国内市場の動向を把握し、象牙取引の実態を踏まえた政策を策定する必要があります。


2011年から2016年までに、発覚しただけでも2.42tにおよぶ在庫象牙が、国内から国外に密輸された日本は、国際社会から対応の改善を求められています。

2019年8月17日~28日にかけてスイスで開催されていたワシントン条約の第18回締約国会議では、象牙の国内市場を維持している国に対し、密猟や象牙の違法取引の要因となることを防ぐ対策の実施状況の報告を求める決定が合意されました。


WWFジャパンでは、eコマース企業による新たな取り組みを支援し、それが今後の日本の象牙市場に、どのような変化を引き続き起こすのか、調査を継続すると共に、政策改善の面において遅れをとっている日本政府に対し、今後も対応の要請を行なってゆきます。

eコマース企業による取り組みは世界で進んでいる。「野生生物の不正なオンライン取引終了に向けた国際的な連合体(Global Coalition to End Wildlife Trafficking Online)」には現在、Alibaba、Baidu(百度)、Facebook、Google、Instagramなどアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカのe-コマース・ソーシャルメディア業界の30社以上が参加している。

eコマース企業による取り組みは世界で進んでいる。「野生生物の不正なオンライン取引終了に向けた国際的な連合体(Global Coalition to End Wildlife Trafficking Online)」には現在、Alibaba、Baidu(百度)、Facebook、Google、Instagramなどアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカのe-コマース・ソーシャルメディア業界の30社以上が参加している。

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