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象牙問題とワシントン条約CoP18 シリーズ「象牙問題とワシントン条約CoP18」

この記事のポイント
2019年8月17日より28日まで、スイスのジュネーブで「ワシントン条約」の第18回締約国会議(CITES-CoP18)が開催されます。日本とも関係が深く、国際的にも話題になっている「象牙」は、この会議の中でも特に注目される議題の一つ。とりわけ、前回の第17回締約国会議(CITES-CoP17)で、密猟や違法取引に関わりのある象牙の国内市場の閉鎖を求める「決議10.10」が採択されたことを受け、国際社会は今、国内市場の閉鎖を含めた、積極的な対策を進めようとしています。しかし、象牙をめぐる各国の見解は、必ずしも一致はしていません。象牙問題とはどのような問題なのか。そして、対応の遅れが指摘される日本に必要なことは何なのか。6回シリーズで解説します。

ワシントン条約と野生生物の国際取引

「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)は、世界の野生生物を、絶滅の危機や過剰な取引から守るため、国際取引を規制する国際条約です。

2019年7月現在で182カ国とEUが加盟するこの条約は、これまでトラなどの毛皮やサイの角、ワニやヘビの皮革、またペットとされる鳥や爬虫類などの生きた個体の国際取引を、規制・禁止することで、その野生生物の保全に貢献してきました。

その中で常に注目され、大きな話題となってきたのがゾウの牙、すなわち「象牙」です。

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象牙とアフリカゾウを取り巻く現状

アフリカゾウはサハラ以南のアフリカ大陸、37カ国に生息する、陸上では最大の野生動物です。
アフリカゾウは1979年におよそ134万頭いたと推定されています。しかし、象牙を狙った密猟などにより、現在はおよそ42万頭にまで減少。
今もその脅威が続いています。

密猟が終わらない背景には、「象牙」の所有が富の象徴とされるアジア地域で近年、経済が急激に成長し、需要が大きく伸びたこと。そしてそれに乗じた投機商品とされたことなどがあると考えられます。

さらに、紛争の軍資金の調達など他の国際的な犯罪と、象牙の違法取引が関係していることも指摘されており、国際的にも看過できない大きな問題となっています。

「決議10.10」の採択

そうした中、2016年に開催された、ワシントン条約の第17回締約国会議(CITES-CoP17)において、止まないアフリカゾウの密猟を阻止するために、締約国に対する厳しい勧告が採択されました

「決議10.10」と呼ばれる、条約の公式文書です。

これは「ゾウの密猟や、象牙の違法取引に関与している国内市場については、閉鎖(つまり国内の商業取引を停止する)を求める」という内容の勧告でした。

決議10.10
(抜粋)

・すべての締約国および非締約国に対し、管轄域内において、密猟または違法取引に寄与する合法的な象牙市場がある場合、緊急を要する問題として、必要なあらゆる法律、規制および法執行手段を用い、商業目的の未加工および加工象牙の取引を行う国内市場を閉鎖するよう勧告する

・品目によっては本閉鎖の狭い例外として認可される可能性があるが、いかなる例外も密猟または違法取引に寄与してはならないことを認識する

・密猟または違法取引に関与している合法的な象牙市場が管轄域内にあり、商業目的の象牙の取引を行う国内市場を閉鎖していない締約国に対し、緊急を要する問題として、上記の勧告を実施することを促す

ワシントン条約がこのように、「閉鎖」という強い表現を使い、各国の内政に関わるような踏み込んだ勧告を行なった例は過去にありません。
それほどに、この問題が今、世界的にも深刻になっている、ということです。

「決議10.10」と日本のこれから

世界各国は今、この「決議10.10」を基に、それぞれの国内で市場の閉鎖を含めた、積極的な対策を進めています。一方、いまだ国内に象牙市場を持つ日本は、国際的にも対応の遅れが指摘されています。

長年象牙を利用し、今も大量の在庫を抱える日本はどのような対応をするべきなのか。
アフリカゾウと象牙を取り巻く現状と、日本の対応の在り方について、6回シリーズで解説します。

©WWF US / Colby Loucks    

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