© naturepl.com / Nick Garbutt / WWF

オウムとインコ、人気者に迫る危機


オウムやインコは鳥類の中でも特に賢く、優れたコミュニケーション能力を持つことなどからペットとしても人気の高い動物です。

しかしその反面、さまざまな危機に直面しています。

森林伐採などによる生息地の減少に加え、一部の種ではペットとしての需要の高さから乱獲や違法捕獲が行なわれ、個体数が減少しているのです。

© Elton Ferreira da Silva / WWF-Brazil

南米大陸に生息する大型のインコ、ベニコンゴウインコ(Ara chloropterus)とルリコンゴウインコ(Ara ararauna)。

現在確認されているオウムやインコを含むオウム目は全世界で約400種。

ある論文によるとオウム目の約30%が絶滅のおそれがあり、約60%が個体数の減少傾向にあるとされています。

一部の種については飼育下での繁殖も行なわれていますが、いまだ野生からの違法な捕獲は後を絶たず、密輸やロンダリング(野生捕獲個体を飼育下繫殖個体として偽ること)などの違法取引も続いています。

© Michel Gunther / WWF

タンザニアの市場で売られていたヨウム(Psittacus erithacus)。国際取引は原則禁止されていますが、違法取引は後を絶ちません。

ペットとしての需要の高さは絶滅のリスクだけではなく、外来種の問題にもつながります。

最新の調査では、オウム目のうち166種が本来の生息地以外で野生化していることが確認されています。

その原因は、ペットとして輸入された個体が逃げ出したり、遺棄されたりしたことによるものです。

日本でもワカケホンセイインコが外来種として定着している例があります。

外来種は在来種の食料やすみかを奪うなど、生態系に悪影響を及ぼすこともあるのです。

© Ola Jennersten

ワカケホンセイインコ(Psittacula krameri)。本来インドやスリランカに生息しますが、日本を含む多くの国で外来種となっています。

本来の生息地である自然の中で自由に飛び回る美しいオウムやインコたち。

そんなオウムやインコたちを取り巻く危機や問題を知り、ペットとして迎えることにどんなリスクがあるのか、専門家はどんな点に注意すべきと言っているのか、「エキゾチックペットガイド」で調べてみませんか。

(野生生物グループ・橋本)

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)
橋本 香奈

学士(獣医学)。大学卒業後は官公庁に勤務。海外からの動物疾病等の侵入を防ぐ水際検疫等に携わった後、2024年にWWFに入局。ペットプロジェクトを担当。

子どものころから動物が好きで、動物や自然を守るお仕事がしたい!と思っていました。美しい自然や多様な生きものたちを未来に残していけるよう、日々の活動に取り組んでいます。趣味は愛犬と遊ぶこと。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP