IUCNレッドリスト更新-鳥好きのあなたへ


先ごろ(2025年10月)IUCNのレッドリストが改訂されました。9千を超える種の評価結果が掲載/更新されました。世界の鳥類の半数以上が個体数を減らしているという残念な報道をご覧になった方もいるでしょう。
今回、公表されたデータの中には203種の日本に生息する種が含まれます。もちろん、鳥類も含まれ、アカヒゲ Larvivora komadori (NT, 個体数減少傾向)など固有種も掲載されています。

奄美諸島及び沖縄諸島にのみ生息するアマミヤマシギScolopax mira(NT,個体数不明)は、今回再評価された種です。前回は、VUでしたので、絶滅のおそれのレベルが一つ下がりました。

奄美諸島及び沖縄諸島にのみ生息するアマミヤマシギScolopax mira(NT,個体数不明)は、今回再評価された種です。前回は、VUでしたので、絶滅のおそれのレベルが一つ下がりました。

固有種とは、その名の通り、ある地域のみに生息する種のことで、一般にその生息環境に高度に適応しているので、環境の変化への感受性が高いと考えられています。

八重山諸島の固有種であるオリイヤマガラSittiparus olivaceus(LC, 個体数安定)も今回更新された種です。少し前まで本州にもいるヤマガラS. variusの亜種とされていました。
© 石垣島バードウオッチングガイドSeaBeans

八重山諸島の固有種であるオリイヤマガラSittiparus olivaceus(LC, 個体数安定)も今回更新された種です。少し前まで本州にもいるヤマガラS. variusの亜種とされていました。

アマミヤマシギとオリイヤマガラは、いずれも南西諸島の固有種です。同じく島しょ部に生息する、日本で最も絶滅のおそれが高い固有鳥類といわれているオガサワラカワラヒワは、まだ、IUCNレッドリストには掲載されていません。ですが、IUCNは、2021年から2030年までの計画の中に26万種の追加評価と14万2千種の再評価を挙げていますので、今後、評価・掲載されることでしょう。

小笠原諸島の固有種オガサワラカワラヒワChloris kittlitziは、IUCNのレッドリスト未掲載ですが、環境省のレッドリストでは、絶滅のおそれが最も高い絶滅危惧ⅠA類 (CR)とされています。小笠原のNPOや東京都、環境省による域外保全活動が行なわれていて、今年、6羽の雛が巣立ちしました。
© Islands care

小笠原諸島の固有種オガサワラカワラヒワChloris kittlitziは、IUCNのレッドリスト未掲載ですが、環境省のレッドリストでは、絶滅のおそれが最も高い絶滅危惧ⅠA類 (CR)とされています。小笠原のNPOや東京都、環境省による域外保全活動が行なわれていて、今年、6羽の雛が巣立ちしました。

11月最初の週末に鳥好きの集まるイベント「ジャパンバードフェスティバル」が開催されます。オガサワラカワラヒワの保全活動に関するブース出展があるそうですので、ご興味がある方は、是非、足を運んでみてください。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、青年海外協力隊(現 JICA海外協力隊)を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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