© 観音崎自然博物館

西表島稲葉の水辺再生地で保全型ツアー


イリオモテヤマネコの餌場となる水辺再生に取り組む沖縄県西表島の浦内川流域・旧稲葉集落では、保全型ツアーの受け入れ準備を進めています。

参考:「【動画あり】旧稲葉集落で進む水辺再生~西表島浦内川での活動レポート」

今夏、この稲葉の水辺再生地へ、神奈川県にある観音崎自然博物館の引率で首都圏の中高校生など16名が訪れました。

船で稲葉へ上陸後、元稲葉住民の平良彰健さん(浦内川観光)からお話を聞く参加者達
© 観音崎自然博物館

船で稲葉へ上陸後、元稲葉住民の平良彰健さん(浦内川観光)からお話を聞く参加者達

日帰りの滞在でしたが、参加者の皆さんは、西表島エコツーリズム協会や浦内川観光の方々のご案内のもと、稲葉の歴史や当時の暮らしについて学ぶとともに、精力的に調査・観察を行ない、24種のチョウ、26種のトンボ、複数種のゲンゴロウなど、さまざまな野生生物に出会うことができました。

シャープツブゲンゴロウ(環境省レッドリスト・準絶滅危惧種)。今回のツアーでは、他にもオキナワスジゲンゴロウ(環境省レッドリスト・絶滅危惧II類)、ミナミツブゲンゴロウ、チビコツブゲンゴロウ、ツヤコツブゲンゴロウなど様々なゲンゴロウ類が観察されました。
© WWF-Japan

シャープツブゲンゴロウ(環境省レッドリスト・準絶滅危惧種)。今回のツアーでは、他にもオキナワスジゲンゴロウ(環境省レッドリスト・絶滅危惧II類)、ミナミツブゲンゴロウ、チビコツブゲンゴロウ、ツヤコツブゲンゴロウなど様々なゲンゴロウ類が観察されました。

参加した学生の皆さんは、調査や観察の合間には、ビオトープの維持作業にも従事し、貴重な水環境の保全にも貢献してくれました。

© 西表島エコツーリズム協会

学生達を引率された観音崎自然博物館・学芸員の佐野真吾さんは、「船を出さないと行けない稲葉での活動は特別感があり、今までにはない体験をすることができました。
朝9時半から20時まで稲葉で活動し、多くの生き物を観察することができました。
暑さに耐えかねガイドさんたちと一緒に浦内川で泳いだことは良い思い出です。
また、夜の浦内川を船に乗って帰る時は、その美しい風景に、大変だった1日の達成感と安堵で非日常的な感覚であったと中・高生たちが言っておりました。」とお話されていました。

今回稲葉を訪問した観音崎生物調査チームNEOとジュニア生物調査隊中学部の高校生・中学生の皆さん。浦内川河口から稲葉へ向かう船上で。
© 観音崎自然博物館

今回稲葉を訪問した観音崎生物調査チームNEOとジュニア生物調査隊中学部の高校生・中学生の皆さん。浦内川河口から稲葉へ向かう船上で。

西表島における重要な水辺の保全と新たなツアー利用の両立を目指す取り組みを、西表島の皆さんと協力して、引き続き進めていきます。

(野生生物グループ 小田倫子)

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

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環境保全団体です。

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