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気候マーチが行なわれました


ベレンはさわやかな朝を迎えました。
 2週間開催されるCOP30が1週目の折り返しを迎える11月15日は「世界気候行動デー」。中心部にあるサンブラス市場の広間を埋め尽くした大勢の人々が、ゆっくりと市内を行進します。各国から参加しているWWFの専門家たちも、おそろいの緑のTシャツを着て参加しました。

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COPの期間中に行なわれるマーチが会場の外で行なわれるのは、イギリス・グラスゴーで開催されたCOP26以来、4年ぶりです。COP27のエジプト、COP28のアラブ首長国連邦、COP29のアゼルバイジャンでは会場外でのマーチが許可されなかったため、COP参加者が会場内を行進するしかありませんでした。そのため、世界各地から訪れたCOP参加者が開催地の市民とともに、会議の成功を願いながら心をひとつにして歩くマーチの復活は画期的なできごとです。

 気候変動に取り組むNGOの国際ネットワーク、CANインターナショナルによれば、ベレンでは約7万人が参加しただけでなく、27カ国の100カ所以上で気候マーチが行なわれました。

 ベレンでは、マイクを使って気候変動対策の強化を訴える団体もあれば、軽快な音楽に合わせて踊る団体、仮面をかぶり仮装をしてパフォーマンスをする団体など、表現の方法は多種多様。カーニバルの国、ブラジルならではの熱気を放ちながら、「化石燃料からの脱却を」「アマゾンに化石燃料はいらない」「気候正義の実現を」などと思い思いのメッセージを衣装やプラカードに表現し、気候変動の解決を求めて行進します。

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ブラジルのソニア・グァジャジャラ先住民大臣とともにマーチに参加したマリナ・シルバ環境・気候変動大臣は、その思いを受け、「私たちは石炭、石油、ガスへの依存を終える道を策定しなければならない」と、COP30成功への決意を語りました。

ベレンでのマーチには、アマゾン地域から多くの先住民族も、それぞれの民族衣装に身を包んで参加。歌や踊りを披露し、豊かな伝統文化を通して、生きる基盤であるアマゾンの自然を開発から守るように訴えました。先住民の土地や文化を守ることは、気候変動の緩和や適応を進めていくために必要な自然と共生する技術や英知を守ることにほかなりません。

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このマーチの熱意が、2週目の交渉に反映され、期待される成果がもたらされるよう、WWFは後半の1週間も積極的に活動していきます。

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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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