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山と海をつなぐ水の恵みを絵にする~石垣島


「森は海の恋人」という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃると思います。宮城県気仙沼で長年にわたり豊かな海を守るために山に木を植える活動をされてきた畠山重篤さんやその仲間の皆さんの活動から生まれた言葉です。

山と海・沿岸は水系を通じてつながっている。これは東北だけではなく、南西諸島の島々でも同じです。けれども、山は山、海は海という考えが一部では根強くあり、実際の事業計画などでは、陸域での開発や人間活動の影響が水環境や海に与える影響について十分に顧みられない場面を多く目にしてきました。

沖縄県・石垣島の日本最南端のラムサール条約湿地・名蔵アンパルの上流域で進められている大規模ゴルフリゾート開発計画においても、山地での開発が水環境に及ぼす影響について、事業計画ではあまりに軽視されているという懸念を持っています。

この点をどうやったら分かりやすく伝えることができるか。畠山さんと絵本「山に木を植えました」を制作された絵本作家スギヤマ カナヨさんに相談したところ、先日、石垣島の現場を訪れてくれました。

名蔵アンパルからゴルフリゾート開発計画地である前勢岳を望む風景。写真右から、絵の制作にご協力頂くアンティグアグッドフェローズ・塗師章広さん、現地をご案内頂いた石垣島エコツーリズム協会事務局・青木康夫さん、絵本作家スギヤマカナヨさん、WWFジャパン・小田

スギヤマ カナヨさんが石垣島を訪問された際、名蔵アンパルの自然を守る活動を長年続けてこられた皆さんと対談も行われました。

©WWFジャパン

対談の様子。写真左から、アンパルの自然を守る会の藤本治彦アドバイザー(日本魚類学会自然保護委員)、山崎雅毅事務局長、島村賢正共同代表、スギヤマカナヨさん、WWF小田

そして、スギヤマさんには、この目に見えないけれど、確実につながっている、島の水の恵みのつながりを絵にするプロジェクトにご協力頂けることになりました。

この絵が石垣島での保全活動の力になることは間違いなく、今後関連する記事などで紹介できればと考えています。

©スギヤマ カナヨ

石垣訪問直後にスギヤマ カナヨさんが制作くださった、名蔵アンパルから石垣天文台のある前勢岳の風景のラフ絵。これからの展開が楽しみです。

(野生生物グループ 小田倫子)

追伸 石垣島から戻り後に気仙沼の植樹祭にいらっしゃったスギヤマさんから、次のようなメッセージを頂きました。
「毎年6月に気仙沼の『森は海の恋人植樹祭』に参加しています。
木々豊かな山々がしっかりと保水した雨水は、湧水となり川となります。川は地表の流れと地下の水脈となり、山からの養分と鉄分を運びながら気仙沼の舞根湾へ注がれます。
30年以上続くこの取り組みがどれほど海を豊かにしていることか。
これはあらゆる命を繋ぐ、気仙沼のみならず自然の仕組みです。
 とりわけ石垣島は太古からの自然が手付かずのままで、それこそが宝島!自然の力であるエコシステムはあらゆる問題を解決してく鍵を内包しています。
山に足を踏み入れればぐっと酸素が濃くなり、山から溢れ出る水のせせらぎが、アカショウビンをはじめ鳥の声と共鳴しています。
名蔵アンパルの干潟を歩けば、マングローブの根元でシオマネキやチゴガニらがわらわらと出迎えてくれます。
彼らはそこで生きながら干潟を浄化し肥沃なものにしているのです。
そして砂地からは山からの湧き水がこんこんとまるで生き物のように湧き出しています。
忘れてはならないのは、この命をつなぐ自然の仕組みの中に私たちの命も含まれているということ。
これらのものがこれからも変わらず存在していくことは、石垣島のみでなく、日本の、ひいては世界のために必要不可欠で、もしそのことに気づき理解できなければ、未来を生きる子どもたちに多大なる代償を背負わせることになると思うのです。」

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森林・野生保護室 野生生物グループ
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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