© Emmanuel Rondeau / WWF-US

なぜトラを守る?かわいいだけじゃない重要な役割とは


かわいくて、かっこよくて、美しい。
古くから人々にこよなく愛されてきた世界最大のネコ科動物。
いいですよね~トラ。

しかし一方で、毛皮や骨(伝統薬の原料として)を目的に密猟の対象にもなってきました。
それに加えて生息地である森林が激減したことで、野生では4,000頭以下にまで減少してしまいました。
そこでWWFのトラ保全の一環として、私もメコン地域における保全活動を担当しています。

かわいいは守りたいのはじまりだから、だけではありません。
カリスマだから、だけではありません。
トラには、守らねばならない理由があるのです。

生態系ピラミッドという言葉をご存知でしょうか?
生きものの食う食われるの関係を模式的にあらわしたものですね。

トラを頂点とした生態系ピラミッドのイメージ

トラを頂点とした生態系ピラミッドのイメージ

トラは、東南アジアなどの森林生態系ピラミッドにおいて頂点に位置する生き物です。
トラが生きていくためには、餌となる草食動物が必要で、その草食動物が生きていくためには、餌となる植物が必要であり、ひいては健全な森林が必要になります。
しかも、トラ1頭が必要とする森林面積は地域により異なりますが、メスで約70km2、オスではなんと250~300km2にもなることがあるのです!
さらに、繁殖して子孫を残し、将来にわたって生息し続けることまで考えると、さらに広大な森林が必要となります。

これだけ広大な森を必要とするので、トラを守るということは、自ずとその森に暮らす生きもの、たとえばオランウータンやサイ、ゾウといった動物たちをも、守ることにつながるのです。
このような生きもののことを、アンブレラ種と言います。
その種を守ることで、その効果が傘のようにその下の生きものにも波及するという考え方です。
トラを守ればすべての生きものを守れるということではありませんが、保全活動から最大限の効果を生み出すためには重要な考え方なのです。

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自然保護室 森林グループ所属
岩渕 翼

東南アジアの森林や野生生物の保全プロジェクトを担当。

小学生の頃にファーブル昆虫記を読んで感激し、その頃から将来は生き物に関わる仕事をすると心に決めていました。さらに中学生の頃に「沈黙の春」を読み衝撃を受け、環境保全を意識するようになりました。そのあと生態系の仕組みを調べる研究者になり、科学に基づいた保全を追求するために保全の現場に関わるようになりました。森林保全プロジェクトと同時に子育てプロジェクトも進行中。

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生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

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