©Ola Jennersten / WWF-Sweden

身近な施設で見られる野生動物たち:その利用と問題


先日、岡山県の遊園地から、来園者とのふれあい目的で飼育していたグリーンイグアナが逃走したことが報道されました。

©Antonio Busiello / WWF-US

グリーンイグアナ(Iguana iguana)は中南米原産の爬虫類。ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によりその国際取引は規制されていますが、日本は大量に輸入しており、中には野生由来の個体も含まれます。

こうした野生動物種の飼育は、施設や店舗での展示、個人のペットなどを目的に、日本でも多数行なわれていますが、実はさまざまな問題がついてまわります。

一つは、その動物種の絶滅や、密輸につながるリスク。グリーンイグアナは絶滅危機種ではありませんが、他の種を含めたイグアナ類は、世界的に「ペット需要が高く、それが原因で生息地での違法な捕獲や取引を招いています。

また野生動物との「ふれあい」も、動物に肉体的・精神的ストレスを与えたり、動物から人に感染する、動物由来感染症にさらすリスクを高めます。

©Martin Harvey / WWF

グリーンパイソン(Morelia viridis)もペットとしての人気が高く、一般家庭での飼育に加え、アニマルカフェやイベントなどでのふれあいが日本各地で行なわれています。

さらに、外国産の動物が野外に逃げたり、放したりされた場合、外来種となって日本在来の生態系に深刻な影響を及ぼす可能性もあります。

残念ながら、全国各地のイベントや商業施設では、こうしたさまざまなリスクを伴った、野生動物の展示や販売などが、今も続けられているのです。

©WWF / Dado Galdieri

最近では、買い物や食事で日常的に利用する商業施設にも、野生動物を販売するペットショップや、アニマルカフェなどのふれあい施設があることが珍しくありません。

WWFジャパンが近年訪れた全国各地のショッピングモールにおいても、カピバラやフェネック、フクロウやヘビなどの野生動物に直接ふれあうサービスを提供するイベントや店舗を多数確認しています。

その中には、IUCNのレッドリストで絶滅のおそれが高いことが指摘され、国際的な取引が規制されている野生動物も見られました。

©Beautiful Destinations / @Beautiful Destinations

カピバラ(Hydrochoerus hydrochaeris)は南米に生息する大型のげっ歯類で、名称は現地の言葉で「草原の支配者」を意味します。独特の風貌などから日本でも人気が高く、多数のふれあい施設で飼育や展示が行なわれています。

皆さんにとって身近なお店や施設などでも、海外の野生動物を利用した展示や販売をしている例があるかもしれません。

そうした時は是非、今回お伝えしたような、さまざまな「リスク」のことを、思い出してみてください(野生生物G・岡元)。

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森林・野生生物室 野生生物グループ TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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