© David Lawson WWF-UK

絶滅した二ホンカワウソと同じ運命はたどらせない!アジアのカワウソを守るための協会が日本で設立


近年、ペットとして日本で人気を集めているカワウソ。

みなさんは、日本にも昔は野生の「二ホンカワウソ」が生息していたことをご存知でしょうか?

北海道から本州まで、各地の民話に登場するほど身近な存在 でしたが、毛皮目的の乱獲や水辺環境の破壊・汚染により数を減らし、1979年、高知県で目撃されたのを最後に、日本から姿を消してしまいました。

正式に絶滅が宣言されたのは、2012年。

そして現在、似たような運命をたどろうとしているのが、アジアに生息しているコツメカワウソやビロードカワウソなどのカワウソ類です。

各地で個体数が減少していますが、その要因のひとつが、ペット需要を満たすための密猟です。

そして、世界的なカワウソのペット利用国となっているのが、日本。近年は、東南アジアからの密輸も相次いでいます。

コツメカワウソが生息するインドネシアの森
© WWF-Indonesia Jimmy Syahirsyah

コツメカワウソが生息するインドネシアの森

野生のカワウソを絶滅から守るためには、カワウソの生息状況や生態を調査し、生息環境を守ること、そして、密猟や違法取引を防止し、需要を削減することが必要です。

しかし、現実は、現地の開発のニーズや市場の営利活動が壁となることもあり、何より、活動のための人手や技術、支援が足りていません。

そこで、2019年10月1日 、日本やアジアでカワウソの研究に携わるIUCN(国際自然保護連合)の専門家たちが中心となって、「日本アジアカワウソ保全協会(Asian Otter Conservation Society for Japan)」を立ち上げました。

協会では、二ホンカワウソを絶滅させてしまったことを教訓に、アジアのカワウソの保全、一般市民に向けた普及啓発や、学術交流を推進していきます。

WWFジャパンの野生生物取引監視部門であるTRAFFICも、協会のメンバーとして参加し、日本が関わるペット取引の問題など発信を行っていきます。

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自然保護室(野生生物)
北出 智美

修士(生物学、生物多様性マネジメント)
国際的な自然保護に携わることを目指し、カナダのブリティッシュコロンビア大学で生物学を専攻。遺伝子レベルの進化と多様性に魅せられアルバータ大学でシカの遺伝子の研究を行なった。国際NGOでの就職を目指しオックスフォード大学で生物多様性マネジメントを履修し、帰国後外務省任期付職員として環境条約に携わる部署に勤務した後、2013年にWWFジャパンに入局。WWFでは野生生物取引に特化した活動を行うTRAFFICで活動し、2020年より現職(2018年からTRAFFICジャパンオフィスの代表も務める)。

「野生生物取引」の問題は、SNSで話題のカワイイの野生動物ペットから、犯罪組織と巨額のマネーがからむ密輸の問題まで本当にダイナミックで、活動の切り口も様々。日々、新しいことを学びながら、今、自分たちがやるべきことは何かを考え抜き、行動したいと思っています。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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