環境省提供

マングース・ヒストリーから学ぶこと


先月、私たちの活動にも協力してくださっている研究者で、外来種や島嶼生態系のエキスパートである森林総合研究所の亘悠哉さんが『マングース・ヒストリー』という書籍を出されました。

『マングース・ヒストリー』(東京大学出版会)とWWFジャパン発行の南西諸島の生物多様性に関する報告書。1991年のWWFジャパン報告書「南西諸島の野生生物に及ぼす移入動物の影響調査」でも奄美のマングース問題が取り上げられています。亘さんのご著書には、フイリマングース(Urva auropunctata)導入から根絶までの歴史のほか、奄美大島の地史、動物好き視点の野生動物の紹介や亘青年が外来種の研究をすることになった経緯など魅力的なお話が満載です。殺処分される外来種がかわいそうと思う人や将来自然にかかわる仕事がしたいと思っている子ども・若者に読んで欲しい一冊です。
© WWF-Japan

『マングース・ヒストリー』(東京大学出版会)とWWFジャパン発行の南西諸島の生物多様性に関する報告書。1991年のWWFジャパン報告書「南西諸島の野生生物に及ぼす移入動物の影響調査」でも奄美のマングース問題が取り上げられています。亘さんのご著書には、フイリマングース(Urva auropunctata)導入から根絶までの歴史のほか、奄美大島の地史、動物好き視点の野生動物の紹介や亘青年が外来種の研究をすることになった経緯など魅力的なお話が満載です。殺処分される外来種がかわいそうと思う人や将来自然にかかわる仕事がしたいと思っている子ども・若者に読んで欲しい一冊です。

一昨年、環境省が根絶を宣言した、奄美大島の特定外来生物フイリマングースのお話です。

これだけの広さの島での侵略的外来種の根絶の成功は、世界的にも例を見ません。

南西諸島でながく保全活動に取り組んでいるWWFジャパンにとっても特別な出来事でした。

本来西アジア、中央アジアから東南アジアを生息地とするフイリマングースを日本に持ち込んだのは、毒蛇ハブやネズミ対策が目的とされています。さらに,ハブとの決闘ショーのための展示目的で飼育され、そのことも野外放出を拡大する一因となりました。

その人間の安易な行動のツケを払わされたのは、特定外来生物に指定されたフイリマングース。そして、この肉食動物の獲物となった無数の在来の生きものです。

アマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)は、奄美大島と徳之島だけに現存する固有種です。マングースの根絶により個体数回復が顕著ですが、野生化したイヌやネコによる捕食やロードキルという課題はまだ残っています。近年はさらに農業被害という新たなあつれきが生じています。
© Haruko Ozaki / WWF-Japan

アマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)は、奄美大島と徳之島だけに現存する固有種です。マングースの根絶により個体数回復が顕著ですが、野生化したイヌやネコによる捕食やロードキルという課題はまだ残っています。近年はさらに農業被害という新たなあつれきが生じています。

人間の都合で本来の生息地ではない場所に連れて来られ、外来種となった野生動物は、決してマングースだけではありません。

特に展示や愛玩・鑑賞目的の野生動物の利用は、多くの外来種を生み出す原因になっています。

私たちが先ごろまとめた情報では、政府や国立の研究機関、地方自治体が外来種として認識している哺乳類、鳥類、爬虫類209分類群※のうち、展示目的で導入された分類群が99、ペット由来は123でした。

※種(しゅ)ではなく、上位分類群の属や科で外来種に指定されている場合もあるため

グリーンアノールもペットとしての利用が外来種化の一因とみられています。小笠原で、固有の生きものに甚大な影響を与えています。

グリーンアノールもペットとしての利用が外来種化の一因とみられています。小笠原で、固有の生きものに甚大な影響を与えています。

外来種対策で最も効果的なのは、外来種を生み出さないことです。ペットや展示動物が外来種の最大の供給源となっているのですから、これらの目的で動物を利用している人々の取組みが最も重要です。

商業目的であれ、個人的な愛玩目的であれ、動物の飼育者は、現在の飼育個体のみならず、地域社会や将来の日本の生態系へ影響を与えうることをしっかり自覚する必要があります。

私も一猫飼いとして、世界の侵略的外来種ワースト100入りしているこの肉食動物を決して放し飼いしたり、遺棄したりしないことを誓うとともに、生物多様性劣化の重大な要因である外来種問題の解決にどのように貢献できるか、考え、行動したいと思います。

【WWFジャパン報告書】
『ペット由来外来種:日本における現状と課題』(日本語版)

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、青年海外協力隊(現 JICA海外協力隊)を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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