根雪が発電?!垂直型太陽光 北海道酪農学園大学訪問記[後編]
2026/08/17
北海道は大規模農業の地。ここで営農型の太陽光発電が広がるとポテンシャルは大きいですよね!しかし半年以上も雪に閉ざされますので、藤棚式の太陽光パネルだと、雪が積もって発電できなくなります。その点、農地に縦にならべる垂直型の太陽光パネルだと、積もる雪の影響を受けません!その実証を見に北海道江別市にある酪農学園大学に行ってきました。
実際に訪れてみると、大型トラクターが入るように幅を広くとって設置された縦型の太陽光パネルが整然と広大な牧草チモシー畑に並んでいて圧巻です。しかもこのパネルは両面で発電できるようになっています。通常はお昼頃に最も発電量が多くなり、夕方には急激に発電量が落ちる太陽光ですが、この垂直型では、午前中から日が当たるために、朝から十分に発電!しかも夕方日が落ちてくるときには、反対側のパネルが日を受けるので、夕方にも発電してくれるのです※1 すなわち水平に設置する従来の太陽光が発電しにくい時間帯に発電してくれる存在なのです!

図1:24時間の発電量の推移
日射量は昼前後にピークになっているのに対し、発電量は午前中と夕方に多くなっている
提供:酪農学園大学 吉岡徹氏
さらに感動したのが、3月に発電量が多いという発見。というのは、雪が反射するアルベド効果で発電されるそうです。雪の反射がこれほど発電できるものとはびっくりです!しかもその雪は、根雪(積もった雪が長期にわたって溶けずに地面を覆っている状態)になってからが肝だそうで、例年10月頃から降り出す雪は、12月半ばには根雪となり、4月頃まで根雪として残ります。すなわち1月から3月ごろまで根雪も発電してくれるのです!特に3月はだんだん日も高くなってくるので、根雪発電と相まって、図2のように発電量が多くなるのだそうです!

図2:2024年の月ごとの発電量の推移
通常は夏にピークとなるが、根雪も発電に寄与するため、3月など春先にも発電量が多くなっている
提供:酪農学園大学 吉岡徹氏

垂直型の太陽光パネルは両面で発電できるようになっている。実証は、パネルのある畑と隣り合ったパネルのない畑でチモシーの生育状況を比較。初年度の結果としてむしろパネルのある方が収量が上がったという
さらに大量の電力を使う酪農学園大学では、この垂直型の太陽光発電のおかげでなんと年間の電力料金を250万円ほども下げることができたとか!最も電力を使うのは、ロードヒーティングをしなければならない冬だそうですが、この太陽光発電によってピーク電力をカットすることができたために、これほどの節約につながったそうです。

垂直型の太陽光発電のお陰で、冬場のピーク電力をカットすることができ、契約電力を下げることによって電力料金も下がったと話す高島理事長。ビジネスの世界から北海道の酪農業を支える教育へと転身され、経営の観点からも太陽光発電を評価されていました!
雪が邪魔者じゃなくて、むしろ発電量を確保してくれて、かつ特に冬に多く使う年間の電力料金も下がる。しかも、今のところ北海道の酪農でよく使われる牧草チモシーならば、収量は落ちない※2。酪農学園大学では、太陽エネルギーも資源の循環農法の一つとお話ししてくださり、雪の多い北海道で新たな一次産業のモデル創出を図る心意気にしびれました!
この垂直型の太陽光発電は、北海道の大規模農業とうまくいけば、とても相性が良いのではないでしょうか。定着すれば電力供給のあり方を変える可能性を秘めているのではないかとわくわくしました!

酪農学園大学は、酪農・肉畜・作物に関する3つの農業生産ステーションを備えており、 学生たちはキャンパス内にある牛舎で、実際に搾乳、肥育、栽培などを経験し、各分野の強い実践力も育める環境が整っています。 清潔な牛舎で草を食む牛たちも見学させていただきました!
詳しくはぜひ記事をご覧下さい!
小西雅子インタビューシリーズ paint a future 根雪で発電する垂直式太陽光 農業経営に資するエネルギー循環の構築を~(PDF)
※この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」2026年7月号から転載しています。(記事の前編は5月号に掲載されています。)
(気候・エネルギーグループ 小西)



