農地にパネルを縦に並べる新しい太陽光発電!北海道酪農学園大学の挑戦 訪問記[前編]
2026/07/10
猛暑、洪水など気候変動の影響がより目の前に広がる中、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのさらなる導入拡大が不可欠です。しかし、適地の減少や自然環境保護に配慮が足らない開発が、導入ペースに影を落としています。実はこれからの太陽光発電のポテンシャルは、林地を開発するようなメガソーラーよりも、建物の屋根等に設置する方式と、営農型を含む農業関連のポテンシャルの方がはるかに大きいのです!太陽光発電協会がまとめたこれまでの導入ポテンシャルの研究を見ても一目瞭然に緑で示された農業関連が多いのがわかります!

出典:太陽光発電協会「太陽光発電産業の新ビジョン“PV OUTLOOK 2050”(2024年版ver.1)
一方で、太陽光パネルの下できちんと営農できるのか、その地域でどんな作物ならば適しているのか?ましてや雪が降る地域、北海道などではどうすればいいのか?こうした中、農地にパネルを縦に並べる新しい太陽光発電、垂直型太陽光発電が注目を集めています!
北海道江別市にある酪農学園大学では、自然電力と共同で、2024年から新たな垂直型の太陽光発電を導入しました。酪農学園大学は、食や農、獣医学などの分野で有能な人材を多数輩出すると同時に、北海道における酪農業振興をリードする研究拠点です。新たな一次産業モデルの最前線に立つ、北海道の酪農学園大学を訪ねて、実際に垂直型の太陽光発電を見せていただきました!

大型トラクターも稼働できる幅をとった垂直型太陽光
北海道と言えば、耕地面積が全国の4分の1を占める規模で、稲作や畑作、酪農などを大規模かつ専業的に経営が展開されているところです。ですから、耕地面積も広大で、農業機械も本州とは桁外れに大型で幅8メートルを超えるようなトラクターが動いています。そのため、いわゆる藤棚方式の太陽光発電では、稼働に十分なスペースが確保できないのです。
そこで幅を広くとることが可能な垂直型の太陽光パネルの出番です!この太陽光パネルは両面で発電できるようになっていて、一日を通しての発電量はほぼ藤棚式に劣らないそうです。垂直型の柱ですから、その幅は自由に決められます。酪農学園では、持っている農機具に合わせて8メートル幅と10メートル間隔を設定し、元々栽培していた牧草のチモシー畑で2024年から実証に入りました。
結果として、なんとチモシーの牧草の収量は太陽光パネルがあっても全く落ちなかったそうです!牧草は一番草と二番草の二回収穫するそうですが、最も暑い時期に刈り取りを迎える二番草の収量はむしろ上がったそうです!酪農学園大学の吉岡徹教授によりますと、チモシーは寒さに強い品種ですが、近年は夏の気温が上昇し、収量が落ちる傾向にある中、太陽光パネルのおかげで適度な陰ができて生育環境にとってプラスに働いたのではないかということでした。
2025年にはデントコーンで実験しているそうです。もちろん実証1年目ですので、まだ確定はできませんが、少なくとも牧草に関しては、大いに期待がもてそうです!実に楽しそうにチモシー畑をご案内くださる酪農学園大学の先生方のご様子に、新しいことに躊躇なく取り組んで、時代に合った農法を社会に提案していこうという進取の気性を感じて、胸が熱くなった取材でした!

酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 吉岡徹先生、家畜飼料学研究室 土井和也先生、北海道自然電力㈱ マーケティング部 プロジェクトマネージャー 郡川駿佑氏
データを見せながら熱く語ってくださった先生方と導入を提案された北海道自然電力さん、北海道の酪農業のためにこそ果敢に新規事業に取り組む!
詳しくはぜひ記事をご覧下さい!
小西雅子インタビューシリーズ paint a future ~農地における垂直式太陽光発電の可能性 フィールド研究を重視した産学連携で(PDF)
※この記事は、日報ビジネス株式会社のご許可を受けて「隔月刊 地球温暖化」から転載しています。(記事の後編は2026年7月号に掲載されます。)
(気候・エネルギーグループ 小西)



